サッカー欧州王者のFCバルセロナ(以下、バルサ)に、この秋入団を果たした日本人選手がいるのをご存知だろうか? 名前は久保建英(くぼ・たけふさ)、なんと10歳だ。

 アメージングスポーツラボジャパン(ASLJ)社のホームページによると、久保君は2009年に同社が日本で開催したバルサのキャンプに参加し、 MVPを受賞。翌年春にベルギーで行なわれた9歳以下の国際大会にバルサスクール選抜の一員として出場し、7試合で6ゴール1アシストの大活躍。この大会でもMVPを獲得し、今年4月にはスペイン本国での入団テストに参加。その才能を認められ、「カタルーニャ州出身以外の13歳未満の選手は獲得しない」というクラブの規則を曲げ、特例として契約に至ったという。

 はたしてバルサに認められた天才少年とは、どんなプレーヤーなのか、久保くんを川崎フロンターレU−12で5月から指導していた高崎康嗣監督に話を聞いた。

「最初に見たときから、すごく賢い子だなと思いましたね。判断が早くて的確なんです。状況、状況で自分の力を発揮しやすいように、考えて行動することができる。そこが彼の一番の才能で、それができる子は多くない。そこがバルサでも評価されたんだと思います」

 この賢さは、プレーに関してだけではないようだ。10歳にして、すでに将来のビジョンをしっかり持っているという。

「建英はホントにサッカーが大好きなサッカー小僧。スペインに行きたくて、日本にいるときから言葉の勉強もしていた。本人の夢ですし、評価されて世界に出ていけるなんてありがたいことですよ。うまくいかないこともあるでしょうけど、それも勉強。いろいろ吸収しながら成長していってほしいと思いますね」(高崎監督)

 この天才少年の出現に、「時代は変わりましたね」と感慨深げなのは、『キャプテン翼』の作者、高橋陽一先生だ。『キャプテン翼』の主人公・大空翼も、漫画の中でバルサに入団している。まさに漫画の世界が現実になったのだ。

「もし、今『キャプテン翼』を描いていたら、翼もJリーグのユースチームに所属したり、それこそバルサのキャンプに参加して、テストに呼ばれて入団していたかも(笑)。でも、こういうチャンスがあるのは素晴らしいことだと思います。遠回りをするのも悪くないと思うけど、若くして海外に行くという選択肢があるなら行ったほうがいい気もするし。シャビとかイニエスタみたいになってくれるとね……って、彼が目指しているのはメッシですか。それだと代表じゃ活躍しないかも(笑)。とにかく、うまく“リアル翼くん”に育ってくれたらいいですね。背番号は2+8をつけて(笑)、カンプノウに立ってほしいです。そのときはバルセロナまで観に行きますよ!」

 10歳の久保君の挑戦は、まだまだ始まったばかり。長い目で、将来の代表10番候補の成長を見守ろう。

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