「何か問題でも?」とでも言いたげな菅首相。いつまで居座るの?

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「一定のメドがついたら辞める」――6月2日に民主党代議士会で宣言したものの、いまだ一向に辞める気配がない菅直人首相。26日には民主党の岡田幹事長が「11年度2次補正予算案と特例公債法案が成立し、再生可能エネルギー固定価格買い取り法案が採決されれば、8月31日の今国会会期末を待たずに退陣すべき」との認識を示した。だが、菅首相のこれまでの言動を見ると、「まだメドがついていない」と言い出しかねない。

 しかし、こうした図太い“居座り”を駆使する人は、何も首相に限ったことではない。実は、どの会社にも権力の座にしがみつく人間はいる。一度つかんだものは離さない、菅首相ばりの“居座る技術”の実例をいくつか紹介しよう。

●ライバルをつぶす社長
「うちのトップは常に当たり障りのない人を後継候補の座に置き、問題が起きるとクビをすげ替えてきました。正論を述べて反対するような人は飛ばされる。しかもすごく元気。気がついたら役員たちも彼の子供のような世代になってました。もう誰も何も言えません」(新聞社)

●くじけない窓際族
「わが社には、ラインを外れて窓際に追いやられても、仕事がない部署に回されても、聞こえよがしに『あの人、何しに会社、来てるんだろう』『プライドはないのか』なんて言われても、まったくめげないおじさんがいます。このままあと10年、定年までやりすごすつもりのようです」(広告代理店)

●母を使う若手社員
「体調不良を理由に、遅刻や無断欠勤を繰り返す2年目の社員に、上司が『休暇をとって、しっかり治してから復帰したほうがいいんじゃないか』と告げたところ、翌日母親から電話が。『うちの子を子供扱いしてクビにしようなんて、どういうつもり!』と怒鳴られまくり、『そんなこと、ひと言も言ってません』と平謝りしていました」(金融)

 居座る=迷惑。確かにそうかもしれないが、弱い立場にいる者にとって、居座るのは生き残るための戦術のひとつ。特に、会社を相手にした場合がそうだ。『メイド喫茶でわかる労働基準法』(PHP研究所)の著者で社会保険労務士の藤田遼氏がこう話す。

「解雇は労働基準法で厳格に制限されています。たとえクビを宣告されても、すぐに解雇はできません。雇用を継続するために必要な視点は、(1)解雇の理由は何か、(2)不当な解雇か否か、だと思います。簡単に引き下がらず、労働局などの機関や専門家にも相談して、自分の生活を守ることは必要です」

 会社員ならば、主張すべきことは主張し、何を言われても堂々と居座ることもときに必要。ただ、社内の声と民意の違いは分かってほしいものだ。

(取材/梶野佐智子)