カンブリア宮殿で岡田武史が言い放った22の名言

カンブリア宮殿に前日本代表監督の岡田武史が出ていた。もうこれがなんというか最高で、サッカー的にもとてもおもしろかったし、サッカー知らない人でも岡田さんが発する言葉ひとつひとつを楽しめるものだったんじゃないかと思った。カンブリア宮殿はずっと見てるんですけど、本当いつもよく取材しているし編集もうまい。今回の岡田特集も完璧でした。

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サッカーという視点で考えてもおもしろく、ビジネスや人生という視点で考えてもおもしろい“岡田語録”というか名言がたくさん飛び出た番組でした。もちろんそれ以外にも、福島大学の川本教授による「日本人は膝が強い、柔らかい。だから日本人は出だしのスピードがある」といった話や日本代表選手たち向けに作られたモチベーションビデオの話とか、盛りだくさんの内容でした。見てない人は本当残念です…としか言いようがない。再放送の予定もないようです(試合映像の放映権料がバカ高い説あり?w)。90分拡大版の番組だったので、さすがに全部書き起こすのは大変だと思ったので、個人的に気になったというか刺さった部分だけ書き起こしてみました。

文面だけでなく、岡田さんの言葉の裏側なども想像して読んでみると、ハッとなるものがあるはず。




以下、岡田さんがカンブリア宮殿で言い放った名言まとめ(まあ名言ってほどのものじゃないのもあるんですが、エピソードがおもしろかったりするので許してください)。
青字が岡田さんの言葉。

重みのある言葉は言葉以上のものを伝える


心から言った言葉は言葉以上のものを伝えるんですよね。だからベスト4にしても、ボクが本気でベスト4だと思ってないと伝わらないんですよ。本当にオレはそう思っているか?と自分にといかけて伝えるくらいの重みのある言葉は、必ず言葉の意味以上のものを伝えてくれる。

自分の責任でリスクを冒すのが究極のエンジョイ


選手によく話すんですけど、究極のエンジョイってのは、自分の責任でリスクを冒すことだと。要するに、監督が「ここだ」と行ってる。でも「オレはここだ」。これで成功した時にこんなに楽しいことはないんですよ。

だからギャンブルでね、自分のなけなしの金で賭けてるから、無くなったら大変だ!勝ったらこれで何を買おうかという喜びがあるわけですよね。スポーツはお金賭けないでできるギャンブル。そこが本当の楽しみなはず。最高に面白いところだぞ、ここはと。

言われたことをこなすだけじゃ面白くもクソもないだろうという言い方をするんですけど、でもリスクを冒して失敗したらオレは怒るぞと。怒るかもしれないと言いますけどね。だからリスクなんですよ、怒られるからリスク。「リスクを冒して失敗しても褒めよう」なんてそれはリスクじゃなくなるんですよ、それは。



オレは運を掴み損ねたくねえんだ


いろいろな巡り会わせっていうのをうまくつかんで行かなければいけない。選手にもよくいうけど、運は誰にでもどこにでも流れているそれをつかめるかつかみそこねるか。オレはつかみ損ねたくねえんだと。
こっからここまでダッシュと言ったら、ここまで。1メートル手前じゃない。たった1メートル手前で力を抜いたために運をつかみそこねてワールドカップに行けないかもしれない。ボクは結構そういう細かいことにうるさいんですよ。「勝負の神様は細部に宿る」と選手に言うんですけど、勝負を分けるのって戦術論やシステム論も大事なんだけど、ボクの感覚ではね、8割くらいは小さいこと。

お前が1回「まあいいか」と思ったおかげて負けたとかね。だからそういう運を掴み損ねないようなことをしていると不思議と最後なんかね、もうあやしい話になりますけど、神様がご褒美をくれるような…。


「監督に言われたから…」は選手じゃない


ここに敵が二人いたらね、ボールを持っている方に必ず味方一人がディフェンスに行きますよね?敵がもう一人いてもそこに行ってはいけないんで、カバーリングのポジションに下がれとボクは言う。でも、ボールを持つ敵がおどおどしていてパスを出さなそうならそこに行けばいい。敵が逃げたら2人で行く。これは選手が判断する。ボクはココが正しいポジションだと言う。「監督に言われたからここにいました」これでは選手じゃない。この傾向が(日本人は)外国人よりちょっと多い。


90分のたかがサッカー


試合前、選手にこの詩を紹介し、話をしたというエピソード
井上靖の詩集「北国」より 人生
地熱から算定して地球の歴史は二千万年から四千万年
乳は生まれて四十年、そしておまへは十三年にみたぬと。
?私は突如語るべき言葉を喪失して口を噤んだ。
人生への愛情がかつてない純粋無比の清冽さで襲って来たからだ。

90分のたかがサッカーだと。
でも90分だからこそ全力を尽くさなければいけない。


自分は自分以上でも自分以下でもない


今の自分に出来ること以上はできない。
今の自分のすべてを出す以外、やれることはない。

自分は自分だし、自分以上でも自分以下でもない。
ありのままの自分をしっかり受け止めていたい。


くそう!というそういう魂


なぜ2度目の代表監督を受けたのか?と聞かれ
なんか知らないけど、くそう!というそういう魂。「お前これに立ち向かわないのか」と。本当はね、理屈ではこっちでのんびり暮らしていたいんだけど。
98年ワールドカップの時は大変だった。有名になるとは思ってなかったので電話帳に載せてたんですよ。そしたら脅迫状や脅迫電話が止まらなかったですし、変な人がくるので、パトカーが24時間家の前で守っていたこともあるぐらいだったんでね。家族もかなり大変だったですね。

だから、家族もまさか(代表監督を)引き受けないと思っていたみたいで、やると言ったら「本当にやるの?」と言うから「やらせてほしい」つって「自信あるの?」と聞かれて「全然ない」と「じゃあなんでやるの!」つって怒られましたけどね。


なんで個で勝てないとか決めつけてんだろと


福島大学の白石教授との話…
日本のサッカーは個で勝てないので組織で戦うんです、って言ったら「どうして個で勝てないんですか?」って言われた時、ボクにとってはものすごく大きなスイッチなんだよね。えっ 個で勝てないのはボクらにとっては常識ですからね。サッカー界では。最初はカチンときたけどね笑。そういやそうだよな、なんで「個で勝てない」と決めつけているんだろうと。


オレは本気でベスト4目指す奴とやる


大体監督が「予選突破くらいでいいや」と思ったら、下(選手)は「1勝すればいいや」になるんですよ。お前ら自分たちのチームで「Jリーグで通用するからいいやというプレーじゃダメだよ」と。「ベスト4行くんだろ? 本気で」と。「オレは本気でベスト4を目指す奴とやる」と宣言しましたから、それから毎回毎回「本気で目指してみないか」っていうようなことを言い続けて、手紙も出したりね。

ボクはもう…鬼の所業ですよ


ワールドカップでそれまで主力だった選手を外したことについて
ボクはナラ(楢崎)も外しましたし、ナラのこのワールドカップに懸ける気持ちはオリンピックのオーバーエイジを辞退するくらいでしたから、ものすごい気持ちがあった。でもボクはもう鬼の所業ですよね、そういう気持ちの奴、俊輔にしてもナラにしても外したと。

ところが彼らがすばらしかったですよ。もうその悔しさをおくびにも出さず、チームのために一生懸命やってくれて…そしたらね、若い選手はさぼれないし、試合に出る選手はいい加減なことなんてできないですよ。あの人たちの悔しさを分かっているから、俺たちがやらなきゃいけないって。まあそういう意味では、ああいうベテランがチームを引っ張ってくれたと。


ガチャン、ポロ、ドン


個で勝とうと思ったわけですよ。組織だけじゃなくて個でもある程度勝たないと無理だと。で、走り勝つ、ボール際で勝つ。ボールががしゃんと当たった時に、ボールが自分の前にこぼれるのか、相手の前にこぼれるのか。じゃあ今まで日本は的にパスでスコン、スコンとやられて来たかといったら、ガチャン、ポロ、ドンでやられるのが多いんですよ。だからここで勝てるかどうかがすごく大きいんでね。そういうので何かないかとありとあらゆるものを探しましたね。


その他、気になった岡田さんの名言


文脈関係なく箇条書き。
・ボクの理想のサッカーは選手がピッチの上で目を輝かせて生き生きと躍動するようなサッカー
・サッカーおもしろいですよね。不思議な魅力のあるスポーツかもしれないですね。
・重圧やプレッシャーは重力みたいなもので、重力がないと筋肉も骨もダメになっちゃう。
・ボクが迷っていたらチームも迷う
・ボクの人生はよくジェットコースターみたいだと言われる
・97年の時はジョホールバルで負けたら日本に住めないかなと思っていましたから。
・自分にとってそこで精一杯生きてきたかどうか、そういう意味で後悔はしていない。
・ヤット、その腹でベスト4行けるか? と。あ、これ言っちゃいけない笑。本人には言ったけどね。
・走れるようになっても走らなきゃ意味がないんですよ。体幹トレーニングしていても体を当てなきゃ意味がない。
・やれる限りのことをやった上で、勝負はやっぱり神様が決めるんだよね。また神様の話になっちゃった笑。
・(大学教授に贈ったメール)「選手を私が信じなければチームになりません。彼らはこんなものではありません。彼らを信じてチームに輝きを取り戻してみせます」



北の国からで知られる倉本さんとも親交が深い岡田さん。番組内で紹介された倉本さんのこんな言葉も印象に残っています。

芝居の感動がスポーツの感動に負けるのは
なぜなんだろうとずっと追い求めて来たんですよね。
やっぱりどうも役者とアスリートじゃ
かく汗の量が違うんじゃないかという。


最後に、村上龍氏と岡田さんのやりとりを。

村上龍:今度はいつ代表監督に?笑
岡田武史:笑。もうないと思いますね。


本当示唆に富んだ発言が多くて、番組を見ている時もグイグイ吸い込まれるように見てしまいました。サッカーだけじゃなくて、仕事とか自分の状況に当てはめてみて考えてみると結構おもしろいかもしれません。ボクは一番好きなのは最後の「選手を私が信じなければチームになりません」という言葉。上に立つ人って下を信じて仕事しないと本当ダメだよなあ…とか思ったり。

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