お楽しみはエンディングに?『スラムドッグ$ミリオネア』

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第81回アカデミー賞授賞最多8部門受賞、世界中で話題の『スラムドッグ$ミリオネア』を見た。未だに貧富の差が激しい現代インドの様子や、一攫千金のアメリカン(?)ドリーム、ギャング映画的なスリリングに加え、主人公とヒロインの“純愛”まで描いた盛りだくさんの内容に一部の批評では大絶賛のこの映画。劇場も連日満員の人気ぶりだ。でもこの映画を見た記者が思ったのはそのものズバリ!“あのクイズ番組”の大掛かりなCMを見を見ているようだということ・・・。


(C)2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation



アカデミー賞を受賞したからといって、その映画が万人に面白いかというと実はそうでもない。映画『スラムドッグ$ミリオネア』ははっきり言って、海外の貧困問題や“あのクイズ番組”をみたことの無い人にはわかりにくい内容に仕上がっている。

それこそ、厳しい環境の中でたくましく生きる少年達の姿や一夜にして大富豪になるかもしれない展開、初恋の少女との再会を夢見てクイズに挑む主人公の生さ様など、たしかに見ごたえはあるのだが、どうしても「なぜ“ミリオネア・インド版”を映画で見なきゃいけないの?」という疑問が浮かんでくる。そりゃ記者だって一攫千金はうらやましいと思うけど、自分の人生にそれほど“ミリオネア”を必要としていない。

貧しいインドのスラムでは、ミリオネア以外金持ちになる方法が無くってこの番組がものすごい人気。だとして見ていくが、前半の主人公の生きてきた半生が怖すぎる。まさに死ぬか生きるか、ああ、日本に生まれてよかった。子どもたちは常に生死のはざまを彷徨い、主人公はすんでのピンチを切り抜け生き抜いてゆく。映画は試練に耐え成長する兄弟を通して、社会福祉が置いてきぼりのまま超近代化されていくインドの都市ムンバイの姿を浮き彫りにしていく。

大人になった主人公の就職先がコールセンターというのも象徴的だ。今や、英語圏のコールセンターは全てインドにとって変わられるのではないかと言われている。その一方でまだ日本の終戦直後のように貧しい側面をもつインド。このようにリアルな海外の現状を見せられると心が痛む。

日本や欧米などの先進国だってちゃんと彼らを苦しめる“貧富のひずみ”を日々作り出している。宗教間の問題にすり替えられる「スラム街の焼き討ち」や理不尽な警察の態度、安い賃金で危険な仕事をさせられる子供たち。これらを知りながらインド政府に弱腰な態度しかとらない我々先進国。“彼らを助けるために”とばら撒かれた“ODA”を回収するために道路やビルの建設に協力し、途上国を食い物にする投資ファンドに参加する。安い労働力を誇るインドを踏み台にして先進国は大きな利益をあげているのだ。他人事のような顔をして「かわいそう」など言っている場合ではない。

この映画の残念なところは、いまいちクイズの答えと主人公の経験があんまり「かみ合わない」という所である。いいエピソードもあるのだが、これってただの偶然じゃない?と思うエピソードもある。みのもんたの粘っこい「正解!」に慣れている日本人には、サラリと告げられるインド版の司会者の「正解!」にも納得がいかない。(悪意は十分あるのだが。)さらに字幕なので、肝心な答えのシーンで「あれ、問題なんだったけ?」ってなってしまう。子どもたちのシーンも、笑いやユーモア一切なし。これでどうして8冠?世界中に威力を発揮するみのもんたの差し金?そんな力あるの?

と、『スラムドッグ$ミリオネア』をいまいち楽しめない記者のような人にも、映画ラスト・エンディングにお楽しみが用意されている。嵐・二宮似の主人公と、成長したアニキもKAT-TUN田中聖そっくりで、キレイな瞳の登場人物たちは何気にジャニーズ系。美しく成長したヒロインも黒木メイサみたいでどことなく日本人に親しみやすい。個人的には子役と大人の間に出てきたローティーンの3人が一番好きだが、韓流ブームが下火となった今後、日本でもアジアン・ビューティーならぬ、“インディア・ビューティー”が流行るかもしれない。
『スラムドッグ$ミリオネア』は、絶賛公開中。
(編集部:クリスタルたまき)

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