今週末イタリアで最もヒートアップする試合はすでに決まっている。セリエB最終節でジェノアとナポリがぶつかる決戦だ。前41節にナポリが逆転に成功し2位奪取(勝点78)、ジェノアは3位の位置にいる(勝点77)。

 来季セリエA昇格枠は3つで、1つは首位ユベントスがすでに得ている。2位チームまではストレートにそのまま昇格が可能で、3〜6位の4チームがプレイオフを戦い、勝者が残り一つの椅子を得る、とレギュレーションでは定められている。
 試合を盛り上げている要因は「3位チームが4位チームに勝点差10をつけた場合、プレイオフなしで昇格決定」という特記事項があることだ。だがこれまでそのケースが適用されたシーズンはない。

 ナポリ、ジェノアともに例年にない高いレベルのセリエBで勝利を重ね続け、現在の4位ピアチェンツァ(勝点67)に勝点差10をつけた。だがもしプレイオフ参加ということにでもなれば、ここまでの苦労が泡と消えてしまうだけでなく、昇格するためにさらに4試合を戦わなくてはならない。A昇格の可能性は著しく狭まってしまうのだ。

 かつてナポリで黄金時代を築き、マラドーナらと“魔法のトライアングル”と呼ばれたカレカは、決戦を前に「もしナポリが昇格できたら、自分たちが獲得した1990年のスクデットより困難な偉業となるだろう」とコメントを出している。

 リーグ前半戦、ナポリのホームで行われた同カードは1−1のドロー。ナポリは鉄壁の守備を誇り(29失点/リーグ2位)、ジェノアは抜群の攻撃力を備える(68得点/同2位)。この試合の勝敗は天国と地獄を分ける。4位以下チームの結果にも左右されるが、最終節での直接対決にイタリア中の目が注がれるだろう。

弓削高志