連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第6週「夏の思い出はメロン色」第48回 5月27日(土)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:渡辺哲也 


48話はこんな話


綿引正義(竜星涼)が実家の事情で、急に茨城に帰ることになった。
みね子(有村架純)は、時子(佐久間由衣)たちから、正義に恋していたんじゃないかと指摘されて・・・

正義が突然、茨城に


いつもの喫茶店で、クリームソーダをはさんで語るみね子と正義。
いきなり「ごめん」と切り出す正義。

「いっつもそうだね 悪いくせだ 最初にちゃんと説明しないからよけいな心配かけてしまう」

この言い方、ものすごく親密感あるけど、ふたりには全然自覚がない(少なくともみね子には)。
海水浴の回で、茨城で警察官をやってるお父さんの話をした正義だったが、そのお父さんが怪我して、仕事ができなくなったため、実家に戻るという。もう警察も辞めていた。早っ!

「ちょっと似てるね、俺たち。
お互い親で人生が急に変わっちまった。
でもさ、やなだけじゃないよね。子供として嬉しいことでもあるよね。そう思わない?」

そう言われて、複雑な表情をするみね子。
喫茶店のほかの客が席を立ち、誰もいなくなる店内。カメラがじわりじわり動いて、ふたりの言葉にならない気持ちの揺れを感じさせる。

「遊びに来るよ茨城なんて近いもんだよ」という何気ない台詞も、これまで、何度も茨城と東京の関係を語ってきた正義だから、印象に残る。東北地方と比べて東京と近いから、なんとなく浮いているように感じていたが、近いゆえのメリットがやっとできたわけだ。

勝手に名台詞の収蔵庫〈会話編〉に収蔵決定です! 


正義「溶けちゃったね」
みね子「溶けても美味しいですからクリームソーダは」
正義「ああ、そうか、えらいなあ、がんばんなあ、クリームソーダ、働きもんだなあ」
みね子「そうですね」

溶けてもおいしい、働き者のクリームソーダ。
ここには、いろんな解釈の可能性がある。
例えば、“恋は溶けてもおいしい 甘美な失恋の思い出”と解釈してみた。

同志の別れ


別れにラーメンを食べる正義と雄大(井之脇海)。

雄大「頼みがあるんだが、金を貸してくれ」
正義「別れを告げに来た人間に借金すんのか」
「別れを告げに来た」っていう言葉遣いが古風でいい。

金額を聞いて「少ないなあ、しかも細かいなあ」と言う正義に、雄大はおごりたいが金がないので必ず返すから、金を貸せと言う。ええ話や!

借金を「必ず返しに行く」と、返さなかったら「取り立てに行く」という会話に、また必ず会おうというふたりの気持ちもこもっているではないか。ええ話や!

優子は座敷わらし


乙女寮では、優子(八木優希)が体調悪くなっていた。
ちょこんと座っているのが座敷わらしみたいとみんなに囃し立てられ、むくれる優子。

そこに前述の雄大と正義のラーメントークを1回、挟んでからの、みね子は正義に恋していたんじゃないかという女子トークが炸裂。
自分の気持がわからないみね子から、コーラスの場面に切り替わって・・・。
「恋はやさし野辺の花よ」(作詞:F. Zell・R.Genee・訳詞:小林愛雄)を歌うみね子。

みね子にとって正義は“疑いの霜を 冬にもおかせぬ わがこころのただひとりよ“という歌詞のような人だったのか。それともこれからそうなる可能性はあるのか。はたまた、ほかにそういう人が現れるのか。

その歌に、最後まであきらめずに、お父さんを探している正義の姿が重なる。
余談だが、モデルもやっているからか、なんでもおしゃれに着こなす、竜星涼に感心。
ハンティングにタートルネックにブルゾンって、下町の安い酒屋や競馬場でもよく見かけるおじさんスタイルでもあるから。

正義がいなくなって、喫茶店で、ひとりクリームソーダを飲むみね子。へんな気持ちを味わっている。
この、恋だかなんだかわからないもやもや体験を描くドラマもいいなあ。

みね子はこれからもっと明確な恋を経験して大人になっていくのだろうか。
竜星涼、かなりいいキャラだったので、みね子がいつか地元に戻って、正義と結婚すればいいのになどとひとしきり妄想した。
これで最後にしないで。岡田惠和さん、お願いします!
(木俣冬/「みんなの朝ドラ」発売中)