三菱総合研究所とPKUTECH、「AI Memory RAG」を共同開発

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株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下MRI)と株式会社PKUTECH(代表取締役社長:劉 甚秋、以下PKUTECH)は、生成AIが情報の時系列変化や意思決定の経緯を踏まえて回答できるRAG技術「AI Memory RAG」を共同開発しました。従来のRAGでは類似した情報を単発で検索することが中心でしたが、AI Memory RAGは過去の議論や判断プロセスに照らした横断的な分析・回答が可能となり、実務での迅速かつ適切な意思決定を支援します。


1. 背景

業務での生成AIの活用が進む中、企業独自のデータを活用する方法として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)が広く利用されています。RAGは、事前に学習した情報だけでなく、そのほかの関連する情報(例えば自社データ)も検索して回答の正確性を高める技術ですが、従来のRAGには以下のような課題がありました。


- 日々更新されるニュースや議事録など、継続的に蓄積される情報の変化を追跡しにくい
- 過去の議論や変更の経緯、合意形成プロセスを踏まえた回答が難しい
- 一見独立した出来事同士の関係性や、時間経過による変化を把握しづらい

特に、MRIが取り組むインテリジェンス領域(※1)や、PKUTECHが展開する議事録管理・問い合わせ対応支援領域では、「時系列性」と「文脈の蓄積」が重要であり、一般的なRAGでは十分な対応が困難でした。


こうした中、近年、生成AIが過去の情報や対話履歴、蓄積された知識を継続的に記憶・活用しながら、文脈に応じた推論や回答生成を行う「AI Memory」が登場し、関心が高まっています。MRIとPKUTECHは、このAI Memoryをベースに、情報の時系列性や文脈を適切なデータ形式で保持・検索する技術を付加し、“経緯を追える” RAG技術「AI Memory RAG」を実現しました(特許出願中)。


2. AI Memory RAGの概要と特徴

AI Memory RAG(以下、本技術)は、ニュースや議事録などを主な検索対象として想定し、既存のAI Memory が検索対象のデータを保存する方式を拡張しています。特徴は、時系列的な変化や人物・キーワード間の関係性を考慮するために、文書の内容や特性に応じて構造化した点です。具体的には、まず、ニュースや議事録などの文書データをページ・章・表・メタデータなど複数の粒度で分解します。その後、分解したデータの内容に応じて保存形式を自動判定し、以下のような構造で保持します。


- 時系列構造 : 議論や出来事の推移を時間軸に沿って保存
- グラフ(ネットワーク)構造 : 発言者、キーワード、関連人物などの関係性を構造化
- リポジトリ(変更履歴)構造 : 要件定義書や法令など、変更履歴が重要な情報を管理

回答生成時には、上記の構造化データをAI Memory の問い合わせ処理機構と組み合わせます。従来のRAGのような単発の類似検索ではなく、問い合わせ内容を分析し、必要なデータ取得・推論の手順(回答計画)を生成します。 例えば、システム開発プロジェクトで仕様変更の経緯を問い合わせる場合、


- 関連する議事録を時系列で取得
- 意思決定者の過去の発言やステークホルダーとの関係性を分析
- 意思決定者の意向が変化した時点と変化の要因を抽出

といった複数のステップを通じて変化の経緯を取得し、回答を生成します。これにより、情報の関係性や変化の流れを横断的に把握し、意思決定の背景を含めた分析が可能になります。



                図:本技術と既存技術の比較




3. 活用イメージ

本技術は、以下のような領域での活用を想定しています。


- ニュース監視・インテリジェンス分析 : 継続的に流入するニュースやレポートから個別事象の関係性や変化の兆候を抽出し、将来的な変化やリスクの兆候を把握
- 開発管理・議事録管理 : 要件定義から設計・開発に至るまでの議論や変更経緯を保持し、「なぜその仕様になったのか」「誰がどのような判断をしたのか」を踏まえた検索・回答を実現
- ナレッジ継承 : 問い合わせ履歴、障害対応記録などから、過去の経緯・判断理由・対応状況を提示することで、知見を共有しやすくなり、引き継ぎの負荷軽減と安定した対応品質を実現

4. 今後の予定

さらなる精度検証や実証を通して実用性を高め、MRIとPKUTECHのAIソリューションへの展開を目指します。MRIでは企業のインテリジェンス業務を支援するAIソリューション「インテリジェンス基盤」におけるニュース監視・ナレッジマネジメント技術としての活用を検討しています。PKUTECHでは開発管理・議事録管理・問い合わせ対応支援領域などのナレッジ管理技術としての実装を進め、PKUTECHが提供するAIエージェント基盤「Egeriaシリーズ」(※2)に「Egeria-AI Memory RAG」として搭載していきます。


今後も両社は、生成AIの業務活用高度化に向けた共同研究・技術開発を推進し、お客さまの生産性向上と高度な意思決定支援に貢献していきます。



※1 AIエージェントを活用した「インテリジェンス基盤」を提供開始 企業経営における国際情勢変化への対応力を強化(ニュースリリース 2025年3月5日)(https://www.mri.co.jp/news/press/20250305.html)


※2 AI導入のリアルな悩みに寄り添い解決する伴走型AI業務コンサルティングサービスと、 当社独自の「Egeria(R) AIエージェント基盤」を提供開始(株式会社PKUTECH)(https://pkutech.co.jp/news/2026/03/10/6197/)



参考


株式会社三菱総合研究所 


1. 名称:株式会社三菱総合研究所


2. 本社所在地:東京都千代田区永田町二丁目10番3号


3. 代表者の役職・氏名:代表取締役 社長執行役員 籔田健二


4. 事業内容:シンクタンク・コンサルティングサービス、ITサービス


5. 資本金:63億3,624万円


6. 設立:1970年5月


7. 担当部署:AIコンサルティング本部



株式会社PKUTECH


1. 名称:株式会社PKUTECH


2. 本社所在地:東京都千代田区神田西福田町3番地 RBM神田ビル7階


3. 代表者の役職・氏名:代表取締役社長 劉 甚秋


4. 事業内容:AI・データ分析、マルチクラウド基盤とセキュリティ、ローコード開発プラットフォーム


5. 資本金:9,750万円


6. 設立:2007年2月


7. 担当部署:DXコンサルティング本部