ドラフト会議前から大リーグ挑戦を表明していた花巻東・大谷翔平は、彼を強行指名した北海道日本ハムファイターズの懸命な交渉により、その考えを改め、今月9日、同球団入りを正式に伝えた。

なぜ大谷の気持ちは動いたのか――。10日、NHK「ニュースウオッチ9」では、「大逆転生んだ交渉術」として、日ハムのゼネラルマネージャ・山田正雄氏にインタビューを行った様子を放送した。

「『大谷翔平君 夢への道しるべ』〜日本スポーツにおける若年期海外進出の考察〜」という、50ページにも及ぶ資料を用意し、大谷に提示している日ハム。ここでは、「日本スポーツにおける競技別海外進出傾向」、「世界で戦うための日本人選手の手法」といった幾つもの項目で詳細なデータを紹介、大谷に“日本プロ野球界で経験を積むことこそ、大リーグで成功を掴む近道になる”と提案している。

番組内で山田氏は、「最初は非常に難しいかな、手ごわいかなって感じました。会ったときにも、こちらに目を向けてくれる態度がなかったものですから」と、交渉開始時を振り返ったが、「メジャーに行くという夢を潰しているわけじゃなくて、あと何年か先で夢は叶えられる。我々のチームなら、それが可能」と説明し、「こちらから色んなことを説明していけば、18歳の少年の考えることを覆せるのではないかと思ったわけです」と語った。

その他にも、卓球やサッカーといった他の競技における海外挑戦時と比べたデータや、高校卒業後、すぐ大リーグに挑戦した韓国選手の9割以上が活躍できず、その一方で、日本のプロ野球からMLB挑戦を試み、成功した選手は7割以上にのぼるといったデータを出し、18歳の心を動かした日ハム。大谷の入団が、大リーグ挑戦を前提としていることについて、批判の声も見られるが、山田氏は「今いる選手を伸ばそうと。そういう気持ちがあって、いる選手を使っている」といった指針を語っている。