――完成した作品を観て、一番印象に残っているシーンは?

小澤:僕のシーンじゃないんですけど、麻耶がお母さんのところに行って、しりとりをやってるシーンですね。実は、あのシーンは台本読んで涙出たんですよ。あ、監督が言いたいことはこういうことなんだなと。監督も家族の看病という経験をされたと聞きまして、幸せっていうのはお金じゃ買えないのかな、と。だから、麻耶はそうやってみんなに配ったわけですよね。それで自分の周りの大切な人が良くなればと思ったんですよね。でも、彼女はお金ではない部分で幸せを見出そうとした。あの深い優しさがあのしりとりのシーンで凝縮されてますね。

――撮影中に監督から指導された言葉で印象に残っているものは?

小澤:特定の言葉はないですかね。それは森田芳光監督という空気の中に染まるということですからね。森田さんが見てる前で芝居をする、存在が言葉を語るというか。

――言葉では無く、空間で教えられると。

小澤:一つ楽しかったのは、僕が小雪さんと海岸で話すシーンの撮影で、太陽待ちをしていたんですね。そうしたら急に、森田さんが「わっ!」とか言って海岸に下りていって。どうしたのかな?って思ったら、飛行機が低空で飛んでいて、森田さんが、携帯電話のカメラ写してたんですよ。かわいい人だなぁと(笑)。

――無邪気な一面が垣間見れたわけですね(笑)。

小澤:やっぱり、そういう部分に惹かれるんだなと思いましたね。だから言葉じゃないんです。男は背中です、その森田さんの写メ撮ってた背中です(笑)。

――ミステリアスな女性を演じきった小雪さんと共演されていかがでしたか?

小澤:いや、ミステリアスというより透明なんですね。だからこの役は彼女にしかできない。その透明感が無欲でお金をいらないっていうキャラクターに見える。

――キャスティングの冥利もあり、完成された映画であったと感じますね。

小澤:そう。この映画は簡単なエンターテイメントではないですから。見るしかないんですよね。見た方が100人見たら100人違う意見だと思うんですよ。色んなキャラクターの立場に立って見るだろうし。学生時代、ヘミングウェイの「日はまた昇る」を読んだ時、正直、作者の言わんとしている事が分からなかったんです。その時は「つまらなかった」とさえ感じました。しかし、それから数ヵ月たち、小説を読んだことも忘れかけ、ある所へ向かうべく雑踏の中をを歩いていたら突然、ヘミングウェイが「日はまた昇る」を通じて言わんとしていた事、人生とはどうあるべきか、みたいなことが、まるで空から降ってきた猫みたいに、ライチの皮がつるっと剥けた時みたいに、時間を経て分かったんです。「わたし出すわ」ってそういう作品なんですよ、後からくる。だから見て、ダメな人もいるし、ど真ん中な人もいると思うけど、それで良いと思う。それが本当の映画だから。

・ Hair&Make 岩井マミ
・ Stylist 田代みゆき

わたし出すわ」ストーリー

山吹摩耶が、突然故郷に帰ってきた。東京でどう稼いだのか、彼女は莫大な財を築いている。高校卒業以来何も変わって いないこの街で、久々に同級生たちと再会する摩耶。そこで彼女は、彼らの「夢」 や「希望」の実現の為に、次々に「わたし、出すわ」と、大金を差し出すのだった。 友人たちは、戸惑いながらも、その大金を受け取ってしまうのだが――。

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