クールジャパン機構はなぜ失敗したのか 世耕弘成元経産相が語る失敗の構造的要因
540億円の累積赤字を抱えたクールジャパン機構。「日本のらしさを、もっと世界へ。」をキャッチコピーに、官民が総力を挙げたが、今や風前の灯に。鳴り物入りで始まった国家的プロジェクトの“失敗の本質”とは――。
産業再生機構は成功したが…
2013年11月に設立されたCJ機構。アニメやファッション、食などの日本文化を海外に売り込むことを目的とした、当時の安倍政権の肝煎り政策だった。
「官民合わせて計約1513億円を出資し、政府が9割、ANAホールディングスやみずほ銀行、電通などの民間企業が1割を負担。初代会長はフジ・メディア・ホールディングスの取締役を務めた飯島一暢氏、初代社長はイッセイミヤケ社長や松屋執行役員などを歴任した太田伸之氏が務めました」(経済誌記者)
誕生のきっかけについて、立ち上げに関わった関係者が振り返る。
「03年、経営危機に陥っていたカネボウやダイエーの救済を目的に設立された最初の官民ファンド、産業再生機構の成功です。4年間で700億円超の利益を生み、国民負担はゼロ。その後、政府は“2匹目のドジョウ”を狙って10近くの官民ファンドを乱立させた。その1つがCJ機構でした」
世耕弘成氏が語る失敗の構造的原因
しかし、政府の資金が入る官民ファンドであるがゆえに、発足当初から“ハードル”も抱えていた。当時の内閣官房副長官で、後に所管大臣である経産相として機構の舵取りも担った世耕弘成氏が指摘する。
「官民ファンドは民業を圧迫してはいけないので、確実に儲かるところには出資できない。かといって赤字にもできない。民間がやりたがらないけれど可能性があり、投資の呼び水になるような案件に出資する。言うのは簡単ですが、実際にやるのは非常に難しい」

所管大臣を務めた世耕元経産相
そのため、政権内でも懸念の声が上がったという。
「きちんと管理しないとダメだと思い、政府としてKPI(重要業績評価指標)の設定やモニタリング体制づくりなどのガイドラインを策定。これに沿って、各ファンドの状況を定期的に報告させました」(同前)
だが、発足直後から躓いた。
《この続きでは、ショッピングモール事業やコンテンツ事業、森岡毅CEOが率いる株式会社「刀」やスパイバーへの出資などが失敗に終わった背景を問題出資先のリスト付きで詳しく報じている。この記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および7月23日発売の「週刊文春」で読むことができる》
