AIバブル「一旦破裂」そして買い場がやってくる…そのとき選ぶべき「具体的な銘柄」
【前編を読む】専門家も「相場は危険水域に入った」と警告…AIバブル「破裂のタイミング」が見えてきた
暴落したときにはどうすればいいか
現役ファンドマネージャーの石原順氏の意見もこうした見方を補強する。
「たとえば、トルコでは自国通貨の価値がドルに対して90%下落する過程で、名目の株価指数はそれ以上の割合で急騰しました。インフレが進行すれば、企業が保有する資産や売上高の名目上の金額は膨張し、それに連動して株価も上がるからです。
仮に1ドル=200円にまで円が暴落した場合、日経平均株価が8万円というシナリオも十分に現実味を帯びてきます。
そのときにはインフレで日常的な飲食の価格も上昇するはずで、現在、欧州のレストランでの一般的な夕食が8000円ですが、日本でもかなりの金額を覚悟すべきでしょう。そうなると、株式などの金融資産を持たない世帯は生活の維持すら困難な状況に追い込まれます」
短期的に見れば、株式には暴落の兆候が見えつつある。しかし、中長期的には円安傾向は続くと見られ、物価上昇対策として投資で資産を運用しなければ生活は苦しくなるばかり。
したがって、目先の暴落は買いというわけだ。
インフレがこれ以上続くとどうなるか
では何を買えばいいのか。前出の鈴木氏は比較的安全な投資先として、日経平均株価に連動するインデックスファンドを買う戦略を提唱する。
「日経平均株価は大きく乱高下する局面に差しかかっており、短期的には現金が最強かもしれないと思っています。しかし、現金はインフレで目減りします。ずっと現金を持ち続けるのが正しいわけではありません。こうした相場では、個別株を無理に選ぶのではなく、基本はインデックス投資でいいのではないか。
仮に日経平均株価が5万5000円くらいまで下がる局面があるなら、日経平均連動型のインデックスファンドを購入し、インフレに対抗していく。これが個人投資家の基本的な考え方だと思います」
個別銘柄を選ぶとしても、中心に据えたいのはインフレが続くというシナリオだ。そうすると、自ずと注目セクターが見えてくる。
「インフレが続く限り、銀行や建設、不動産セクターの銘柄は大きくは崩れないと見ています。インフレが進み、金利が上がる場面では、銀行株には追い風が吹く。具体的な銘柄で言えば、三井住友フィナンシャルグループです。
建設や不動産も、インフレによる資産価値の上昇や需要の底堅さを背景にまだ上昇余地があるはずです。建設では大林組がいいのではないでしょうか。資材価格や人件費の上昇という課題はありますが、インフラ投資や再開発など都市部の建設需要を考えると、まだ上昇余地がある。不動産では、三菱地所は都心に優良不動産を多く抱え、インフレ相場の中で引き続き、強さを発揮する可能性があります」(前出・平野氏)
ただし、インフレが長引き、庶民に耐え難い苦痛をもたらすようになったら、中央銀行は政策金利を上げることで、物価の安定に乗り出さざるを得ない。そこで問題となるのが、長期金利の水準だ。前出の石原氏はこう言う。
「名目のGDP成長率を長期金利が上回ると、金融システムが危機に直面します。本来、経済成長率が金利を上回るのが資本主義の基本構造ですが、金利が成長率を凌駕したときに資金循環が逆回転を始めます。企業に投資するよりも、国債を買っているほうが儲かるからです。
その基準となる長期金利の水準は、日本で3%、米国で6%とされています。長期金利がこの水準を上回っていく(国債価格が下落する)ようだと、株式投資から逃げたほうがよさそうです」
さらに、円安と逆に円高に振れるリスクも気にしたほうがいいと石原氏が続ける。
「米国は今、物価高が深刻で国民の金融機関への借金は200兆円近くもあります。不景気に陥り、金融機関の破綻が発生し、米ドルから資金が逃避するような事態になれば、数兆ドル規模の資金が一斉に国内に逆流し、株式市場は歴史的な暴落に見舞われます。円高への急激な反転は、名目上の資産価値を破壊し、深刻なデフレを再び引き起こすでしょう」
AIバブルがいつ弾けるにせよ、資産運用を真剣に考えなければいけない時代になったことだけは間違いない。
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「週刊現代」2026年7月6日号より

