「月間売上3000万円」だった有名ホストの「転職活動」が地獄すぎた…お祈りメールに書かれていた「心をエグられる一言」

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毎晩のように若者たちが集まり、欲望が渦巻く新宿・歌舞伎町。そのピラミッドの頂点に君臨するのが、この街に約300店舗が密集しているホストクラブだ。

そんな日本一の繁華街を卒業し、転職活動を始めた男性がいる。天城光希さん(仮名・30代)。かつては月間3000万円を売り上げたこともある、歌舞伎町では言わずと知れたカリスマホストだ。

しかし夜の世界での功績が、転職市場で評価されるとは限らない。元ホストであることを理由に、不採用になった企業もあったという。「夜の帝王」のセカンドキャリアを追った。

採用担当者に言われた「辛すぎる一言」

近年、ホストクラブへの締め付けが厳しくなっている。2023年には、悪質ホストが高額な売掛金を支払わせるために、女性客に性風俗店での売春を強要するなどのトラブルが続出。そこで昨年6月、警察庁はホストクラブの営業行為の規制を強化した「改正風営法」の施行に踏み切り、女性の恋愛感情につけ込む「色恋営業」を禁止した。

同時に、性風俗店が女性の紹介を受ける見返りに、ホストやスカウトに報酬を支払う「スカウトバック」も禁止することで、ホストクラブ側が女性客を風俗店に斡旋させられない法律に変更した。

ホストに対する、世間のイメージが悪化の一途をたどる今、夜の世界から足を洗い、一般企業へ転職を目指すホストは増えているのか。夜職から昼職への転職を支援する「株式会社昼JOB」代表、坪嶋拓真氏は言う。

「これが結論、ほぼ変化はありません。弊社の転職支援サービス『昼job』には、キャバクラや風俗、ホストクラブを中心としたナイトワーカーの登録が、月に200〜300件ほどあります。コロナ禍には、飲食店の休業が余儀なくされた影響で、登録者は増加。平時の5倍にあたる、毎月1000件以上に跳ね上がりました。

しかし、改正風営法の影響はゼロ。昨年以降も、ホストの登録者数に変化はありません。彼らの多くは、結婚や真剣交際している彼女を理由に転職を志望しています」

都内在住の男性、天城光希さん(仮名・30代)もその一人。全盛期には月間3000万円を売り上げたこともある、歌舞伎町では言わずと知れたカリスマホストだ。そんな彼も、自身の姫(常連客)との結婚を機に、惜しまれつつも業界を引退。その後、求職者と企業の間に入り、マッチングから入社までを無料でサポートする「転職エージェント」の登録に踏み切った。

だが、ホストとしての功績が、転職市場で評価されるとは限らない。天城さんはため息まじりにこう語る。

「当時はホストをやっていたことに誇りを持っていたので、経歴としては『こいつちょっとすごいな』とアピールできるんじゃないか、と淡い期待を抱いていました。しかし、周りの反応はむしろ逆でした。

転職エージェントの担当者に『これは(転職活動)ちょっと厳しくなるかもしれません』と言われたとおり、業界や業種を絞らずに『正社員』という条件のみで何十通も応募しましたが、通過はゼロ。落選の理由について、担当者を通じて『もともとホストで働いていた方と、ともに働いていくビジョンが見えない』と伝えられたこともありました」

ホスト時代の「華々しい日々」

天城さんは、地方の国立大学を卒業後、地元の一般企業に勤務していた。しかし2019年、「SNSでフォローしていたホストの投稿を見るうちに、自分がホストとしてどれだけ通用するか気になった」との理由で上京。歌舞伎町のホストクラブで働き始めた。

だが、天城さんが思い描いていたほど、ホストの世界は甘くなかった。内勤スタッフを含めて総勢70名を超える有名ホストクラブでデビューを飾ったが、在籍しているホストの半分以上は、売り上げを立てられずに半年ほどで店を去ったという。

「ホストは外から見ると『なんとなく楽しそう』と思うかもしれませんが、やはりナンバー(店内の売上トップ10)に食い込む人気キャストは、根が真面目な人が多い。まずホストという仕事は、業務時間外でも姫(常連の女性客)のメン(タル)ケアは欠かせません。朝起きたら、山のように溜まったラインを返す作業から始まり、その後も一日中、姫とのラインのやり取りに追われる。

自分の場合、姫に『電話嫌いだからやめてね』と言っていたので電話は少なかったのですが、ホストをやっている以上、姫とのラインは永遠に続きます。だから『女好き』で、なおかつ真面目な人じゃないと務まらないんです」

努力の甲斐もあり、天城さんはデビューから半年が経ったころから、売上が増加。やがて月平均で1000万円を売り上げるようになり、ナンバー常連のカリスマホストに成長した。姫が注文した酒を飲めば飲むほど、給料日には帯封付きの札束も増えていったという。

「周りの売れてるホストは、だいたい西新宿のタワマンに住んでいました。ただ僕自身、ホストがずっと続けられる仕事ではないことは十分に理解していたので、山手線沿いの家賃が20万円くらいのマンションに抑えていました。

とはいえ、ホスト時代はそうやって気をつけていたわりには、金銭感覚は狂っていましたね。当時は自制心が効かなくなっていたので、欲しいものはなんでも買っていた気がします。服は一着20万円くらいのハイブランドで全身固めていましたし、姫との店外(デート)で頻繁に旅行に行ったり、何十万円もするジュエリーをしょっちゅうプレゼントしていたりしていました」

当時の一日は、まさに売れっ子ホストそのものだ。姫とアフターで宿泊したラブホテルで起床すると、昼間には別の姫と店外デートに出かける。そのまま一緒に自身が勤める店に行って、シャンパンを入れてもらい、その姫とアフターで一晩を過ごす。

そんな刹那的な毎日を送っていた天城さんだが、サラリーマンに対する”後ろめたさ”はずっと感じていたという。

「朝から晩まで世の中のために働いて、社会に必要なことをしている人があまり稼げずに、僕みたいな人間が稼げていることに対して罪悪感を抱いていました。同時に、社会の役に立てていない自分に対して、コンプレックスもあったんです。

そのため、サラリーマンの人を馬鹿にするとかそんな気持ちは一切なく、むしろ尊敬していました。また自分自身、ホストなんていつまでも続けられるもんじゃないし、キリのいいところで卒業しようと思っていました」

提示された給与は「ホスト時代の10分の1」

そんな天城さんの転機となったのが、姫との結婚だ。結婚の条件として「女性を接待する仕事は辞めてほしい」と提示されたこともあり、同年にホストを卒業。だが、当時の貯金は500万円ほど。妻もエース(一番お金を使う客)だったわけではなく、昼職勤務だったことから、結婚後も収入面で頼るのは難しかった。

また転職しようにも、ナイトワーカーがどんなセカンドキャリアを歩んでいるかも知らなかった。天城さんは、「ホストを卒業してから歌舞伎町のサパー(男性版のラウンジやスナックのような形態の店)で働いたり、路上でスカウトをしたりしている人は知っています。ただ歌舞伎町から去った人については、連絡が途絶えているので何をしてるか知らなかったんです」と当時を振り返る。

悩んだ末に頼ったのは、転職エージェントだった。しかし冒頭のとおり、前職に「ホスト」と書かれた履歴書を見た担当者の反応は、想像に反して渋かった。また天城さんは、転職活動を続ける上でこんな不満も抱えていた。

「ホストのころに金銭感覚が狂ったからか、転職エージェントから提示された求人を見ても、『あれ、給料安すぎね?』と思ってしまう。だいたい額面が20〜30万円台といったところで、その日いくら頑張っても、手取りで20数万円しかもらえないんです。

ホスト時代は、自分が頑張れば頑張るほど、それが給料に反映されました。また提示される求人は、ホスト時代の売上の調子が悪い月と比べても、給料が1ケタ違う。求人票を見てもテンションが上がることはなかったです」

転職活動を初めて1カ月が経ったころ、30〜40社もの応募の末、ようやく1社の面接まで漕ぎつけた。幸いなことに、天城さんは面接1社目にして、内定を勝ち取ることになる。興奮気味に当時を振り返る。

「その会社は施工管理系の会社で、元ホストであることも含めて、自分の経歴を『面白い』と好意的に見てくれました。面接自体は、会議室に入ったら面接官が3人いて、初っ端からホストについて色々と突っ込まれましたね。『ホストってどんな仕事なの?』とか聞かれるので、それに関して答えたら面接官も笑ってくれる。

ただ面接の中では、僕が元ホストだからこそ、入社したあとにちゃんとやっていけるのか、心配する質問が多かった気がします。『ウチはホストと比べたら(給料が)安いよ』とか『生活がガラッと変わるけど大丈夫?』とか聞かれましたが、無事に後日内定をいただけました」

昼職への内定を勝ち取った天城さんだが、その後、思いもよらぬトラブルが待ち構えていた。後編記事『結婚を機に「昼職」デビューした有名ホストが“絶望のどん底”…「隠していたタトゥー」が入社先でバレた「切なすぎる理由」』では、その様子をリポートする。

【つづきを読む】結婚を機に「昼職」デビューした有名ホストが”絶望のどん底”…「隠していたタトゥー」が入社先でバレた「切なすぎる理由」