皇族の減少をめぐり、そのあり方に注目が集まる中、女性・女系天皇をめぐる“議論の現在地” はどうなっているのか。そもそも「女性天皇」や「女系天皇」とはどういうことなのか。

【映像】愛子さま、4歳の時の貴重映像

 ニュース番組『わたしとニュース』では、この女性・女系天皇の議論の歴史と現状について、テレビ朝日政治部の野中里紗記者と「FIFTYS PROJECT」能條桃子氏(以下、能條氏)とともに深掘りした。

■欧州では女性に王位継承権…かつては日本でも議論が活発化したが

 戦闘機での飛行訓練やパラシュートで上空からダイブするなど、士官学校での過酷な訓練に挑み話題となったスペインのレオノール王女。スペイン国王フェリペ6世とレティシア王妃の長女で、王位継承順位は第1位となっている。スペインだけではなく、ヨーロッパでは愛子さまと同世代の女性が王位継承権を持つ国がいくつもある。

 女性の皇位継承について、街行く人々の考えを聞いてみると。

「男女で区切っているのが今の時代はちょっと不自然かなと思うので、もっと世の中が自由というか柔軟に対応できたらすごくいいなと思います。逆に女性がダメな理由を教えてほしい」(30代女性)

「女性天皇は別に僕はOKだと思いますよ。男系であれば。(Q.女系はどうですか?)今まで日本の歴史の中で女系の天皇はいないのでNG」(60代男性)

 女性天皇を認めることに賛成の声は多かったものの、父方ではなく母方のみが天皇につながる女系天皇となると、話は複雑になるようだ。

「愛子さまにお婿さんが来るってことでしょ。お婿さんの家系とか、そういうのもまた難しくなっていくんじゃない?」「(難しいのは)男も女も同じだと思うけどね」(70代女性)

 日本でも女性天皇や女系天皇についての議論が活発になったのが2005年だ。安定的な皇位継承を議論するために開かれた有識者会議で、女性天皇や女系天皇を容認する内容の報告書がまとめられた。

 「女性天皇、女系天皇も認めた方がいいと思っております」──。有識者会議の報告に沿って皇室典範の改正を目指す考えを示した当時の小泉純一郎総理。しかし、ちょうどこの日の答弁の最中に届いたのが紀子さまご懐妊の一報だった。日本中が祝福ムードに包まれる中、女性天皇、女系天皇の議論は先送りされることになった。

 当時の安倍晋三官房長官は、会見で「(女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案について)施政方針演説の時とは違う、極めて重要な要素も加わった。(Q.本質的な議論を長官仰っていない)ですからそれは先ほど来からもう何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も申し上げているように、党においてご議論をいただいていると」と話し、女性・女系天皇に道を開く皇室典範の改正を目指す方針について、事実上断念したことを滲ませた。

■「誰のこだわりを反映するべきか」女性・女系天皇の議論の停滞

 女性・女系天皇について20年前に議論が活発化したものの、トーンダウンした後“棚あげ”の状態が続く現状。王位継承権を女性にも認めている海外の状況との違いを踏まえ、能條氏は次のように語る。

「国が違えば、そういう風になっている(愛子さまが王位継承している)可能性もあるのに…。過去を見れば、日本でも女性が天皇だった時代はあるので、男性天皇こそが日本の伝統だという考え方は意外と近代に作られてきている。ただ、女性天皇はいいけど、女系天皇はダメというところにすごく問題の根深さを感じる」

 保守派として知られる高市総理の存在が、今後の議論にどう影響を及ぼすのか。野中記者は現在の国会の力学を踏まえて次のように解説する。

「現時点では男系男子による皇位継承を変更する法改正の議論は進んでいない。この背景にあるのが、現政権のトップにいる保守的な高市総理。今、国会で3分の2を占める自民党を引っ張っているのが保守的な高市総理となると、なかなか女系天皇の実現に向けた議論は進まないと思う」

 一方、ANN世論調査では「女性天皇を認めるべき」が85%、「女系天皇を認めるべき」が78%といずれも賛成派が多数を占める結果となっている。この国民の感覚について、能條氏は次のように見解を述べる。

「この数字が一番私の中ではしっくりくる。どういう風に国民の広い理解を得ていくかという話があるが、多くの人たちが『いいんじゃない?』と思っていることをこの数字が表している。じゃあ(女性・女系天皇の議論について)誰のこだわりを反映するべきなのかが難しいところだと思う」

■そもそも女性天皇と女系天皇って違うの?法改正への高いハードルと今後の見通し

 改めて押さえておくと、女性天皇は皇族の女性が天皇になる場合であり、女系天皇は母方のみが天皇につながる場合を指す。一方の男系天皇は、父方が天皇につながることで、高市総理をはじめとする保守派議員は、これまでは「男系」で皇統が継承されてきた点を重視。もし愛子さまが天皇になることがあるとすれば、男系の女性天皇になるが…。

 減少している皇族数の確保に関する今後の議論の進み方について、野中氏は次のように説明する。

「10日に再び与野党の全体会議があり、そこでおそらく国会の総意として皇族数の確保に関する案が取りまとまると思うが、その後は議長案を基に政府与党が法案を作るフェーズに。骨子ができたら議長に見せ、議長が承諾したら、その骨子をさらに要項にする。要項ができたら各党会派に確認。そして各党会派が承諾したら法案になり、国会提出となる。このようにかなりステップが多い。政府与党は今国会中に成立させたいと言っているが、ステップが多いので、本当にできるのかまだ見通せない状況だ」

 これを受けて能條氏が「なぜ急いでいるのか」と問うと、野中氏は「高市総理が選挙で掲げたのがやはり大きい。養子案(旧宮家養子案)を第一優先にやると掲げて選挙戦で大勝しているので、公約を実現したいという思いがあるのではないか」と応じた。

 議論のスピードや背景に様々な思惑が見え隠れするが…能條氏は。

「天皇制の正当性を歴史で説明することもあるかもしれないが、やはり今生きている人たちの納得感がないと形成されない。そこに照らし合わせて納得がいくようなものを作らないと国民みんながどんどん離れていってしまうと思う」

(『わたしとニュース』より)