5日、ロッテ戦後の井上温大

写真拡大

ボール球が先行するマルティネス

 先週の巨人はオリックス、ロッテと続く交流戦6連戦を4勝2分け、「負けない巨人」だった。

【写真】5日にプロ初完投の井上温大 昨年のファンフェスでは「鬼滅の刃」コスが話題に

 ロッテ戦こそ延長12回を戦い抜き、15年ぶりとなる2日連続引き分けとなったが、2位のヤクルトに0.5ゲーム差、首位の阪神には1.5ゲーム差と首位争いに加わってきた。

 それにしても7日、ロッテとの第3戦でライデル・マルティネスが9回二死から安田尚憲に同点弾を浴びるとは思ってもみなかった。

 今季のマルティネスはボール球が先行する傾向がある。真っすぐの威力が少し落ちている。何度か指摘してきた。この場面でモロに出た。2ボールからの真っすぐだった。スピードはあったもののど真ん中だった。

5日、ロッテ戦後の井上温大

 仕方ない。責められない。こんなこともある。オリックス戦は3連投、この日も連投だった。ここで田中瑛斗を出すわけにはいかない。

 打った安田をホメるべきだ。あの場面で打てと言われても、そうそう打てるものではない。

西舘勇陽は制球力が良くなった

 投手陣が頑張って原動力となっている。

 井上温大が5日のロッテ戦で先発して5勝目を挙げた。9回に2ランを浴びて完封勝利こそ逃したが、自身初の完投勝利を飾った。

 注文がある。もっと球数を減らすことだ。技巧に走っているように見える。遊び球はいらない。0−2と追い込んだら3球勝負でいい。5月29日の日本ハム戦では5回を86球だった。

 5日だって点差が少なかったら替えられていた。戸郷翔征、赤星優志にしても球数が増えるタイプだ。でも完投しようと思ったら球数を減らす工夫をすることだ。

 西舘勇陽は制球力が良くなった。7日の第3戦では7回を111球投げて与四球は2だった。落ち着いてマウンドに立っていた。まだまだ余力があった。

 ベンチが最もイヤなのはムダな走者を出すことだ。特に四球、先頭打者だったら最悪だ。点が入るケースが多い。どこの監督も思っている。

 フォレスト・ウィットリーはその典型だ。スピードはあるし威力だって十分だ。だが変なところでムダな四球を乱発する。いくら5、6回をまとめてもベンチの信頼は得られない。ストライクとボール球がハッキリしている。課題もまたハッキリしている。

 則本昂大が7戦目でやっと初勝利を挙げた。真っすぐが速い。田中将大もよくやっているが、彼らは経験値があり、その持ち味を出している。

 でも則本、田中将に長いイニングは期待できない。打線の奮起が必要だ。

走者を溜めての一発が最も効く

 橋上秀樹監督代行はオーソドックスな野球をしているし、ベテラン勢も阿部慎之助前監督よりは起用している。

 いまの巨人打者の顔ぶれを見てメインになるのは、もろい面はあるがトレイ・キャベッジ、ボビー・ダルベック、大城卓三、そして丸佳浩の4人だと思う。

 巨人打線は四球、単打、四球でつないでも、ここ1本が出ない。坂本勇人が5月13日、福井の広島戦で延長12回にサヨナラ3ランを放ったように、走者を溜めての一発が最も効く。

 3日のオリックス戦で丸が代打で逆転満塁弾を放ったのも同様だ。打率が1割台でも大きな魅力だ。

 私は「丸3番固定」が持論だが、この丸を含めて4人を要所でずっと優先して使う。引っ込めない。調子が悪いから外す。それではダメだ。

 本塁打を打てる打者は、1シーズンを通して起用すれば必ず数字を残す。

浦田俊輔と泉口友汰は打ち方がいい

 吉川尚輝と坂本は残念ながら不調に陥っている。ヘッドが下がっているから速球にはついていけず、遅い球に対してはこねる。泳いでしまう。

 その点、浦田俊輔はヘッドが下がっていない。打撃が良くなっている。泉口友汰も一時調子を崩したが復調してきた。2人とも打ち方がいい。

 9日からは仙台で楽天3連戦、そして交流戦最後はベルーナドームで西武との3連戦だ。現在2位の西武は交流戦初Vを狙っているという。最後の3連戦がカギを握るかもしれない。

 阪神が今年もまた交流戦で振るわない。巨人は楽天に最低でも2勝1敗で乗り切って西武戦に臨んでもらいたい。

 巨人にチャンス到来だ。

(記録などは8日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部