【韓国地方選】強制わいせつに性売買…性犯罪歴ある候補者9人が出馬 全員50〜60代男性、「離党して当選、後に復党」の“小細工”も
韓国の第9回全国同時地方選挙の出馬候補者名簿を眺めていると、思わず目が止まる名前がある。その横に記された「前科記録」のためだ。
本サイト提携メディア『時事ジャーナル』が今回の地方選に出馬した候補者7828人(5月16日登録基準)を全数調査した結果、2627人の名前の横には「前科者」というレッテルが貼られていた。
このうち、性犯罪の前科がある者は9人だ。
罪名は、強制わいせつ、特殊強制わいせつ、性売買、青少年の性保護法違反、通信媒体利用わいせつ行為、売春等防止法(現・性売買処罰法)違反などである。
未成年者も含まれる被害者たちに一生消えない傷を植え付けた者たちが、住民の暮らしに責任を持つと称して出馬を表明したのだ。

これら9人のうち、基礎議員選挙に出馬する候補は6人、基礎自治体長候補は2人、市・道議会議員候補は1人だ。立法・予算・監視の権限を握り、ジェンダー平等政策から福祉・教育・安全までを担う職の入り口に、性犯罪の前歴者が堂々と立っている格好だ。
裁判所による審判は終わっており、判断は今や有権者の手に委ねられている。正確な判断のためには候補者情報の確認が不可欠であるという観点から、9人の性犯罪歴を詳しく見ていく。
性犯罪歴のある候補者9人は、全員が50代から60代の男性であった。このうち8人は無所属の候補で、政党所属はわずか1人(国民の力)だった。
一見すると、政党がそれなりに検証の役割を果たしているようにも見えるが、その裏には、前科を巡る騒動が起きると離党して出馬し、当選すれば復党するという「小細工」も存在した。
所属の有無にかかわらず、候補者登録の要件さえ満たせば、どのような前科であれ投票用紙に名前を載せることができる制度的限界を解決すべきだという声が高まっている。
性犯罪歴のある候補9人は全員50・60代の男性罪名別に見ると、「強制わいせつ」の前歴者が3人で最も多かった。
慶尚南道(キョンサンナムド)宜寧(ウィリョン)郡守の3選に挑む「国民の力」出身の無所属オ・テワン候補は、記者懇談会で女性記者にセクハラ(強制わいせつ)をした容疑で、2024年に罰金1000万ウォン(日本円=約104万円)の判決を受けた。
オ候補は今回の選挙を前に「党に負担をかけるより、ひたすら郡民の選択と評価を仰ぎたい」として離党し、無所属での出馬を宣言した。同氏は2022年の地方選挙時も、強制わいせつ容疑での起訴の影響で公認候補争いの効力が停止されると、離党して無所属で出馬し当選、その後に復党した経歴を持つ。
慶尚南道では、居昌(コチャン)郡議会議員の無所属イム・チェオク候補も特殊強制わいせつ容疑で2004年5月に懲役1年6カ月、執行猶予2年の判決を受けている。
これに対し、慶尚南道地域の女性団体は5月19日、イム候補とオ候補を名指しして声明を出し、「性犯罪の処罰歴がある候補は市民に謝罪し、即刻辞退すべきだ。政治圏も女性への暴力加害歴がある者の登録排除基準を強化すべきだ」と促した。
忠清南道(チュンチョンナムド)扶余(プヨ)郡議会議員選挙に立候補した無所属キム・ジョンス候補も、2016年に強制わいせつ容疑で罰金300万ウォン(約31万円)の有罪が確定している。その後、キム候補は当時の「自由韓国党」を離党し、第8回地方選挙に挑んだのに続き、今回の選挙にも無所属で名乗りを上げた。
また、全羅光州(チョンナム・クァンジュ)統合特別市の市議会議員選挙に出馬する無所属チョン・ジョンチョル候補は、2019年に強制わいせつ容疑で懲役6カ月、執行猶予2年の判決を受けている。
被害者が未成年であった犯罪も確認された。
京畿道(キョンギド)加平(カピョン)郡守選挙に出馬した無所属イ・ジニョン候補は、2003年に「青少年の性保護に関する法律違反」(現・児童・青少年性保護法)で罰金300万ウォンの有罪が確定した。20年以上前である当時の法律は現在の法律に比べて処罰水準が低いうえ、身元情報の公開や就業制限なども限定的であった。
イ候補は、青少年を対象とした犯罪への批判が起きた後も、2007年の再・補欠選挙と2010年の地方選挙に無所属で出馬し、加平郡守の再選を果たした。同氏は今回の選挙戦におけるメディアのインタビューで、「過去の過ちを本当にしっかりと償っているのだと思ってもらえるよう、残りの人生をすべて捧げるつもりだ」と述べた。
しかし、加平の住民の間では「加平郡を代表し、責任を負うべき郡守候補が未成年対象の性犯罪歴を持っているというのが事実なら、郡民は到底受け入れられない」という批判の声が上がっている。
「離党→当選→復党→離党」 検証の死角地帯性売買や性売買あっせんの前歴も少なくない。
江原道(カンウォンド)太白(テベク)市議会議員選挙に名乗りを上げた無所属パク・ムボン候補は、2013年に性売買あっせんと出入国管理法違反の容疑で懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた。パク候補は前科11犯で、2000年代に入って刑事罰を受けた前歴だけで10件に達する。
代表的なものとして、与信専門金融業法違反で今年2月に罰金700万ウォン(約73万円)、医療法違反で2020年に懲役8カ月、執行猶予2年、2015年に公職選挙法違反で罰金300万ウォンなどの判決を受けている。
忠清南道泰安(テアン)郡議会議員選挙の出馬者である無所属キム・ヨンイン候補も、1999年に売春等防止法違反で罰金200万ウォン(約20万円)の有罪判決を受けた。
売春等防止法は、現行の性売買処罰法以前の法体系において性売買関連の犯罪を処罰していた法律で、性売買そのものだけでなく、あっせん・紹介、店舗運営、場所の提供、客引き行為なども処罰対象に含まれていた。
同時期、「国民の力」所属であるキム・ジャンファン慶尚北道(キョンサンプクト)尚州(サンジュ)市比例代表基礎議員候補は、売春等防止法違反の容疑で1999年に罰金200万ウォン、2000年に罰金100万ウォン(約10万円)の判決をそれぞれ受けている。
キム候補は、性犯罪歴のある候補の中で唯一、「国民の力」の公認を受けて名を連ねた候補であり、政党の候補検証システムに対する根本的な問題提起もなされている。特に、政党を見て候補者を選ぶ有権者が多いだけに、2度の性売買歴など候補者の前科を確認する作業については、党がより厳格な物差しを当てるべきだという指摘だ。
最近猛威を振るっているオンライン性犯罪の容疑で処罰された前歴も確認された。慶尚北道星州(ソンジュ)郡議会議員選挙に出馬した無所属ヨ・ノヨン候補は、わずか4年前の2022年10月に、性暴力犯罪の処罰等に関する特例法違反(通信媒体利用わいせつ)で罰金200万ウォンの判決を受けた。
性犯罪の前歴があるからといって、出馬が禁じられるわけではない。強制わいせつで懲役刑の執行猶予を受けたり、未成年の買春で罰金刑を受けたりしていても、書類上の要件さえ整えば選挙に出ることができる。
候補者の犯罪歴が選挙公報や選挙管理委員会のサイトに記載されさえすれば、あとは有権者の判断に委ねられる。
しかし、情報の非対称性の中で、有権者に「この人物が自分や家族の暮らしを代表する資格があるのか」という判断を助ける制度や情報が不十分であるという批判も出ている。
(記事提供=時事ジャーナル)
