大山悠輔

写真拡大

 阪神・大山悠輔内野手(29)が今年4月に取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使することが12日、分かった。この日、球団に意向を伝え、申請手続きを行った。宣言残留も十分な選択肢だが、リーグ屈指のスラッガーには巨人などが本格調査に乗り出す可能性が高く、争奪戦は確実。14日にFA宣言選手がNPBから公示され、15日に他球団との交渉が解禁となる。

 悩み抜いた末に、大きな山が動いた。虎の主砲を担ってきた大山が国内FA権の行使を決めた。この日、球団に意向を伝え、申請書類を提出した。今オフのFA市場の目玉の一人が、ストーブリーグをにぎわすことは必至となった。

 関係者によると、大山は熱意ある残留交渉に感謝する一方で、野球人生の岐路に立ち、新たな挑戦への気持ちや他球団の評価を聞いてみたい思いを抱いているという。そのため、球団が認める宣言残留を選択肢として残し、すべての可能性をテーブルにそろえた上で結論を出す考えに至ったとみられる。

 球団も引き続き全力で慰留に努める。今季年俸2億8000万円からの大幅増と4年契約を提示しているとみられるが、さらなる条件面の見直しも視野に入れる。藤川新監督のもとで2年ぶりのV奪回を目指すなか、嶌村球団本部長も「残ってもらいたい気持ちは変わらない」と口にした。

 大山は16年ドラフト1位で阪神入団。18年から7年連続2ケタ本塁打を記録し、20年には自己最多の28発を放った。昨季は全143試合で4番を務めて打率2割8分8厘、19本塁打、78打点。18年ぶりリーグ優勝、38年ぶり日本一の立役者になった。今季もリーグ2位の得点圏打率3割5分4厘をマークするなど勝負強さを発揮。堅実な一塁守備、体の強さ、全力疾走といった献身的なプレーは模範だった。

 阪神から国内他球団にFA移籍した選手は過去7人で、17年の大和(DeNA)が最後。生え抜きの中軸選手は前例がない。リーグを代表する4番には、打線強化が課題の巨人など複数球団が本格調査に乗り出す可能性が高い。恩義と愛着のあるタテジマに再び袖を通すのか、それとも…。時間をかけて、野球人生最大の決断を下す。

 ◆大山 悠輔(おおやま・ゆうすけ)1994年12月19日、茨城県生まれ。29歳。つくば秀英(茨城)では甲子園出場なし。白鴎大を経て、16年ドラフト1位で阪神に入団。23年に最高出塁率、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を獲得し、38年ぶりの日本一に貢献。8年目の今季は130試合に出場し、打率2割5分9厘、14本塁打、68打点。181センチ、94キロ。右投右打。今季年俸2億8000万円。