ソウル市鐘路区のタプコル公園前の屋台では、夕方の早い時刻から高齢者が集まり始めていた=2024年9月2日、安仁周撮影

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 韓国が急速に高齢化している。

 2024年の高齢化率は19・2%と、日本の29・3%より低い水準だが、26年に21%を超える見通し。同年までには日本と同じ「超高齢社会」になる。目立つのはその進行ペースの速さ。国連や韓国政府の推計などによると、40年代前半には、現時点で世界一の高齢国である日本を韓国が抜く見通しだ。

【写真】「65歳以上は無料」の地下鉄を利用して、荷物を宅配する71歳の高齢者=ロイター

 高齢化率とは、総人口に占める65歳以上の割合を指す。韓国の高齢化率が14%を超え、「高齢社会」となったのは18年。韓国政府の予測通りなら「高齢社会」から「超高齢社会」への移行に要する期間は8年以内で、日本の13年よりもはるかに短くなる。

 平均寿命の伸びに加えて、1970年代初めごろまで合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数)が4を超えていた韓国では、今後高齢者になっていく人口が多い。一方で出生率は23年に0.72まで下がるなど、世界的にも異例の「超少子化」が進んでいる。

 今後も高齢化はさらに進む見込みだ。韓国政府が昨年12月に発表した人口推計によると、40年には高齢化率が34・3%と日本とほぼ並ぶ水準まで高まる。50年には40・1%に達する。

 急速な高齢化は、社会のありようや年金、医療などの制度にも変容を迫る。特に韓国は日本と比べると、公的年金などの整備が遅れたこともあり、高齢者の生活難や貧困が大きな社会問題になっている。貧困率の高さは先進国では一、二を争う水準だ。

 尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は8月末、「高齢者が貧しく、若者が信頼できない今の年金制度を根本的に改革しなければならない」と述べ、年金制度改革に取り組む決意を表明。韓国政府は9月、改革の実施計画を発表した。(稲田清英)