この老人を誘ってみたところ「付き合っていられるか!」と降りていった。

 うるさい老人もいなくなり、席も空いてきたので座った。まあ、胸糞悪い出来事だったけど、酔って座る電車は謎に気持ちいいんだよな。

◆悲劇は続く

 爆睡していると、国分寺駅に着いた。北口を出て、ピカソで足りなかった洗剤を買って、テクテクと歩いていると、「あれ!さりぃ久しぶりだね!どうしたの?」と声をかけられた。昔よく通っていた居酒屋の大将だ。

「おはよー、飲みすぎちゃって」

 そう答えながら気がついた。いま住んでいるのは国分寺ではない!

 当時の自宅は中野である。酔っていたことに加えて痴漢と老人の説教で混乱し、間違えて昔住んでいた国分寺まで来てしまったのだ。さらに買い物までしてアパートに向かっていたのだから、大将に会わなければ、そのままドアをガチャガチャしていた可能性もあると思うと怖い。他人の家に入ろうとして通報されていたかもしれない。この一件以降、そこそこ酔ったら電車を使わずタクシーで帰ることにした。

<文/吉沢さりぃ>

―[乗り物で腹が立った話]―

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720