12歳少女の集団レイプ疑惑に抗議し、仏リヨンの集会に集まった人々/Jean Philippe-Ksiazek/AFP/Getty Images

(CNN)フランス北部で少年3人がユダヤ系少女(12)を集団レイプしたと疑われる事件が発生し、反ユダヤ主義の高まりを非難する声が出ている。今月予定されるフランス議会選挙では、この問題が主要な争点になりそうだ。

あらゆる立場の政治家が事件に言及しており、フランスのマクロン大統領は、国内の学校で「反ユダヤ主義の災い」が深刻化していると非難。極右の指導者は、反ユダヤ主義を十分深刻に受け止めていない左翼に責任があると非難した。

ナンテール検察は19日、「12歳の少女からの通報」を受け、未成年者に対する「加重性的暴行」容疑で捜査に着手した。事件は15日に発生した。

検察によると、12〜13歳の少年3人が身柄を拘束されたという。

少女が宗教を理由に標的にされたのかどうかも捜査の焦点となる。検察の声明によると、少年2人は未成年者に対する加重集団性的暴行や、未成年者に対する宗教を理由とした集団暴行、殺害脅迫、宗教を理由とした侮辱の容疑で調べを受けている。

事件は少女が友人と会って帰宅する途中で発生。少年2人が少女に近づき、自宅前で行く手をふさごうとした。地元テレビは警察筋の話として、3人目の少年の到着後、一行が少女を襲撃し始め、反ユダヤ主義的な侮辱の言葉を浴びせたと伝えた。

内務省のデータによると、フランスでは2022〜23年、反ユダヤ主義的な事案が284%増加した。フランスのダルマナン内相は今年、反ユダヤ主義行為が反宗教行為全体に占める割合は22年が26%だったのに対し、23年は60%になったと上院で証言していた。

フランスの政治家はパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘に絡み国内で反ユダヤ主義が深刻化していると指摘しており、今回の事件を機に激しい政治的な議論が起きている。

19日には、選挙で自党・国民連合(RN)の躍進を狙う極右ジョルダン・バルデラ氏が、当選すれば反ユダヤ主義対策に取り組むと公約。バルデラ氏は報道陣に「我が国では10月7日以降、極めて憂慮すべき形で反ユダヤ主義の空気が拡散、深刻化している。我々は闘わなければならない」とコメントした。