男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「普通の女が、超ハイスペな医者と結婚の約束までこぎつけられた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:豪華タワマンで医者とホムパ。「電車で帰るので」とタクシー代を断った28歳女に、男の反応は…




37階の僕の部屋からは、今日も東京タワーが綺麗に見える。

艶やかに輝く六本木の夜景を背景に、僕は真琴にワイングラスを差し出しながらずっと思っていたことを伝えてみた。

「真琴ちゃん、僕たち付き合わない?結婚もちゃんと視野に入れて」
「もちろん…!」

今年33歳になる美容外科医の僕と、28歳事務職の真琴。

美人だし、僕のタイプではある。

でも外見だけでいうと、東京にはもっと綺麗な人や条件がよい女性はたくさんいる。

芸能人やモデルと知り合う機会も多いなか、どうして僕が真琴と付き合いたいと思ったのか?そこにはいくつかの明確な理由がある。


A1:タクシー代を断る健全さが新鮮だった


真琴に出会ったのは、僕の先輩の自宅で開催されたホムパだった。

僕は大手美容クリニックに勤務しているのだが、先輩はその中でも“看板医師”でもあり、華やかな生活を送っている。

飲むことが好きな先輩で、彼の超高級タワマンでは頻繁にホムパが開催されている。

この日は、同業の男性医師が4人、女性4人の合計8人の会。

女性陣は皆、高級レジデンスに到着した瞬間から家主の先輩に対して目がハートマークになっていたけれど、毎度のことなので、下っ端の僕は先輩の家のキッチンで準備したりしていた。

すると、キッチンにいた僕の所へ近寄ってきた子がいた。それが真琴だった。




「あの。何か手伝えることはありますか?」
「大丈夫だよ、真琴ちゃんは座っていて」

今までも、手伝ってくれようとした子は何人かいた。でも、僕が大丈夫だよと言うと、すぐに先輩のほうへ戻っていく子ばかり。

端にいる僕には、わかりやすく態度を変える女性もいる。

「でも…。せめて、譲さんの飲み物取ってきます!ワインですよね?」
「うん、ありがとう」

しかし真琴は、僕の隣で飲もうとしてきた。

「真琴ちゃんも、あっち行って話してきたら?」
「いや、私はここがいいです。実はちょっと人見知りで」

本人がこっちがいいと言うならば、追い払う理由はない。気がつけば、僕たちはキッチンで立ったまま、話し込んでいた。

「そうなんだ。真琴ちゃんは、お仕事何をしているの?」
「私は事務職です。譲さんも、皆さんと同じ職場なんですよね?」
「そうそう。男性は基本的にみんな一緒。ひとりだけ病院違うけど」

真琴は、華やかな美人だけど意外に話しやすくて、いい子だなとは思った。

しかし僕が彼女のことをいいなと思い始めたのは、帰り際のことだった。




毎回このホムパでは男性側が、各々一番仲良くなったり、話していた女性にタクシー代を渡すのが習慣になっている。

この日は、僕が一番真琴と話していたので、彼女にタクシー代を支払う役目だった。

「1万円で足りる?お家どこだっけ?」
「家は三宿なんですが…」

― 三宿だったら余裕だな。

そう思いながらタクシー代を渡そうとすると、彼女は柔らかな笑顔で僕が出そうそしていた1万円札を戻してきた。

「ありがとうございます。でもまだ電車があるので、私は電車で帰ります」

先輩のホムパに参加する女性陣は、わかりやすい子が多い。

ガッツリ医者を“本命”狙いで参加している子。

もしくは港区界隈で飲み慣れており、“一緒に飲んだ以上、タクシー代くらいは貰って当たり前”という子。

真琴はどちらにも当てはまりそうに見えるのに、意外な対応に僕は少し驚いた。

そもそも、普段一緒に飲んでいる女性がいつも派手な感じの人が多いせいで、こんな歪んだ発想になってしまっているのかもしれないけれど…。

「本当?わかった」

しかもこの翌日、真琴は個別で僕にお礼LINEをくれた。そこで僕は彼女を食事へ誘ってみた。


A2:ミーハーそうなのに、地に足が着いていた。


初デートは、西麻布のフレンチを予約した。どこが良いか迷ったけれど、王道系が好きかなと思ったからだ。

「真琴ちゃんは、いつもどの辺りで食事しているの?」
「私は…恵比寿とか渋谷界隈が多いですね。女友達と遊ぶのは表参道とか。オフィスが渋谷なので。譲さんは?」
「僕はこの界隈が多いかなぁ」

そんな会話をしながら、僕は改めて彼女を見つめてみる。前回も思ったけれど、肌がとても綺麗だ。

職業柄、顔の造形はもちろん気になるが、それ以上にナチュラルな美しさに目がいく。

真琴は透き通るような肌をしている。

「真琴ちゃんって、肌綺麗だよね」
「そうですか?そんな、プロの方に言っていただけると嬉しいです」

そして大き過ぎないバランスの取れた目に、笑うと片方だけえくぼができるのも可愛い。

「実は、真琴ちゃんの顔すごいタイプで」

口をついて出た自分の言葉に驚く。僕はどちらかというと、ストレートに女性を褒めるのが苦手なタイプだから。




真琴が聞き上手なのか、気を使うことなく会話が弾む。

「譲さんも、素敵です。そもそもお医者様という時点ですごいですけど」
「いやいや、別にそんな大したことないよ。周りにもたくさんいるでしょ?」
「全然いないですよ。私、あまりお酒が強くないから夜も出歩かないですし。家でのんびりしている時間が一番幸せなんです」

これも、意外だった。

前回ホムパに来ていた女性陣は、みんな美人でスタイル抜群、そのうえ派手だったので「飲み歩いてそうだなぁ」と思っていたから。

でも真琴は、彼女たちとは違うようだ。

「そうなの!?意外。この前いた女性陣、みんな華やかだったのに」
「周りは華やかなんですけどね、私はそんなことないです。譲さんも、華やかな毎日送ってそうですよね」
「僕?全然だよ。仕事がある前日は極力飲まないようにしているし。ゲームが好きだから、意外と引きこもってる(笑)」

美容外科医になってから急に華やかな人が周りに増えたけれど、僕は本来休日は家から一歩も出ずゲームをしたりするのが好きなタイプだ。

「そうなんですか!?意外すぎます」

ケラケラと笑う真琴。

― お互い家にいるのが好きなタイプだし、一緒にいたら楽なんだろうな…。それに、結婚するなら派手に遊ぶ人より家庭的な人がいいなぁ。

気づいたら結婚までイメージしている自分がいた。

真琴とは食事デートにもう一度行った後、三度目のデートは昼間からドライブに出かけることにした。

自慢の愛車で真琴を迎えに行くと、彼女は目をまん丸にして、ひたすら僕の愛車を褒め称えてくれた。




「すごいお車ですね…カッコイイ。内装まですごいですね」
「そう?ありがとう!実は結構こだわりがあって。この革は…」

車を褒められたのが嬉しくて、つい饒舌になる。これまでデートした女性たちは、車を見るとわかりやすく目に“\マーク”が浮かんでいた。

でも真琴は、純粋に車を見て褒めてくれるし、そこに計算は感じない。しかも、聞き上手で絶妙に僕のプライドをくすぐってくれる。

― この子、安心できるな。

本当は、真琴も僕の肩書に惹かれたのかもしれないが、それを表に出さない。それに彼女は、落ち着いていて独特の癒やしのオーラがある。

遊び目的であれば、派手で有名な子のほうがプライドが満たされるのかもしれない。

でも実際に結婚となると、真琴のように地に足が着いている真面目な子がよい。

東京で何人もの女性と遊んできたけれど、真琴のような子は意外にいない。だから僕は、この次のデートで真琴に交際を申し込んだ。

結局、男性は真琴のような子が好きだから。誰かに取られてしまう前に僕のものにしたい、そう思った。

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