「中1生徒が勝手に設計してた」音楽教室の講師が投稿した手書きのシンセサイザー回路図に驚きと賞賛の嵐
中学1年生が自主制作したシンセサイザーの回路図がX(Twitter)に投稿され、その内容にどよめきが起こっている。
田舎のしがないリトミック教室なんですが、中1生徒が勝手にシンセを設計し始めてて、意味が分かんないです。#音楽教室ミューレ https://t.co/03doi5AasS
— 坪井佳織@社長|リトミックの先生|ローランドのメルマガライター (@nerio_mulee) 2023年9月18日
投稿したのは、静岡県浜松市で音楽教室ミューレを営み講師として活躍する坪井佳織(@nerio_mulee)さん。教室では0歳〜高校生の子どもたちにリトミック※を教えており、件の回路図を描いたのも、そこに通う中学生の生徒だそう。
※リトミックとは、音楽に触れることで「潜在的な基礎能力」の発達を促す教育のこと。
生徒は坪井さんや他の人から教えられたわけでも課題を出されたわけでもなく、独学でシンセサイザーの仕組みを勉強し、この複雑な回路図を紙いっぱいに描き上げ見せてくれたのだそう。
この投稿に、X(Twitter)ユーザーからは「つよい中1だ…www」「すぐに技術者になりそう」と驚く声や、「ICが実体なのに整然としていて見やすい」「電子回路設計ソフトKiCadをおすすめします」など称賛やアドバイスの声が上がった。
田舎のしがない音楽教室なのに中1の生徒がいきなり"シンセ"を設計し始めて意味がわからない「将来有望」
一体どういった経緯で中学1年生がシンセサイザーの回路図を描き上げたのか? 詳しい話を聞いた。
クラファンを立ち上げ、電子管楽器でオーケストラ参加も
この回路図を初めて見た時の感想は?
「シンセを作る!」ということは聞いていましたが、まさか実際に回路を描いているとはまったく知らなかったので、本当に驚きました。
制作した生徒さんは、普段の教室ではどのような様子ですか?
2歳から教えていますが、最初は虫好きな男の子でした。とにかく好奇心が旺盛で、一度やり始めたことは最後までやり抜きます。人の役に立つこと、お手伝いすることも大好きです。
教室ではレッスンを受けるだけではなく、私の手伝いや機材の準備、片付けまで熱心に参加していたので、どんどん詳しくなっていきました。
電気製品の分解を一緒にやったことがきっかけで、電子工作に興味を持ったようです。小6の時には、小学生の仲間とクラウドファンディングで資金を集め、子どもたちを募って電子工作のワークショップを開催していました。
ちなみに件の生徒さんは、他にも坪井さんの薦めでエアロフォンにも興味を示し、さらなるチャレンジをしているようだ。
彼は、私が提案することに対し大変興味を示してくれます。エアロフォン(電子管楽器)にも興味を持っていたので、さまざまなイベントへ応募するよう薦めたところ、最年少でオーケストラへ参加したり、コンテストで優勝したりしました。
私は、友人であるローランド社のエンジニアとこの子を繋いで、アドバイスを受けられるよう手伝いました。
また、理系に優れた素養・興味を持つ小中学生を支援する育成プログラム「ダヴィンチ・キッズ・プロジェクト」に参加してはどうかと提案し、推薦状を書きました。
ご両親は毎週のようにパーツ屋さんに行ってあげたり、私の教室に週に何度も送迎したり、それでいて口出し手出しはせず…と、とても素晴らしい対応をしています。
・わたしは20年以上前にローランドの開発部に勤めていて、今もメルマガ書いてるけど、ガチでシンセの設計なんて何も知らないから、マージーでー、わたしの差金では断じてない!!!この子自身の努力と勤勉さ、ご両親の協力!!
— 坪井佳織@社長|リトミックの先生|ローランドのメルマガライター (@nerio_mulee) 2023年9月21日
生徒さんからシンセサイザーを設計するまでの思いは聞きましたか?
はじめに電子工作キットを買ってきた時から「自分で回路を描きたい」と、最初から説明通りではないオリジナルの回路作りにチャレンジしていました。まず「プー」と音が鳴る回路の作成、次にピッチの変更など、一歩ずつ工夫を重ねていました。
「シンセを作る」とことあるごとに言っていましたが、「将来の夢」なのかなと思っていました。今思えば、最初から「自分オリジナルを作りたい」という思いが強かったのかもしれません。
この設計図は、実際にこれからパーツを一つずつ購入し、実物を作っていくそうです。
坪井さんはインタビューで「こういう子が他にもたくさんいます」とも語っている。
音楽に関する体験のみならず、子どもたちの独自性を尊重し「生きる力をつける」ことを掲げる坪井さんの音楽教室。
今回の生徒さんのように、坪井さん自身も想像しなかった数々の才能が開花しているようだ。
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