VWと小鵬汽車は技術提携の皮切りとして、小鵬汽車の旗艦モデル「G9」をベースにVWブランドの2車種を共同開発する(写真は小鵬汽車のウェブサイトより)

ドイツ自動車大手、フォルクスワーゲン(VW)の中国法人は7月26日、VWグループが7億ドル(約984億円)を投じて中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)の株式を4.99%取得すると発表した。両社は技術提携の枠組みについても合意。VWはEVシフトが進む中国市場で巻き返しを図る。

発表直後からニューヨーク証券市場に上場している小鵬汽車のADS(アメリカ預託株式)は急騰。26日の前日比上昇率は一時26%以上に達し、終値は19.46ドル(約2735円)、時価総額は168億4800万ドル(約2兆3682億円)に膨らんだ。

小鵬のAI自動運転技術を搭載へ

VWによると、両社の技術提携の最初の取り組みとして、まず中国市場向けにVWブランドの2車種のEVを共同開発し、2026年の販売開始を目指す。小鵬汽車側が26日発表したところによると、共同開発する2車種は小鵬汽車の旗艦モデル「G9」の車台をベースとし、小鵬汽車のAI(人工知能)自動運転補助システムを搭載する予定だ。

また小鵬汽車に対するVWの出資完了後、VWは小鵬汽車の董事会(取締役会に相当)にオブザーバー1名を参加させる権利を得る。

小鵬汽車は将来的構想として、VWとの提携範囲を新たなEV用車台、ソフトウェアやサプライチェーンなど複数の分野に広げていくとしている。

VW中国法人によれば、小鵬汽車は自動運転補助システムと音声識別能力が業界内で抜きんでている一方、VWはエンジニアリング、品質、製造面が強く、双方の提携は「強強連合」になるという。


VWは自社開発のEVを中国市場に投入したが、販売は苦戦を強いられている(写真はVWと上海汽車集団の合弁会社のウェブサイトより)

2023年1〜6月期のVWグループ全体の世界販売台数は前年同期比12.8%増の437万2000台を記録したものの、中国市場では同1.2%減の145万2000台と振るわなかった。

ファーウェイとの提携交渉は頓挫

EVに限ってみると、世界販売台数は同48%増の32万2000台だったのに対し中国では前年同期を1000台程度下回る6万2400台で、EVシフトが進む中国市場での出遅れが鮮明になっていた。


本記事は「財新」の提供記事です

不振の原因として、VWはソフトウェアと自動運転技術が弱みであると判断。財新の取材によれば、VWはかつて中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)と真剣な提携交渉を進めたが、最終的に合意できなかった経緯がある。

(財新記者:安麗敏 戚展寧)
※原文の配信は7月27日

(財新 Biz&Tech)