日米韓首脳会談後の記者会見で質問に答えるアメリカのバイデン大統領(中、写真・2023 Bloomberg Finance LP)

日米韓の首脳がアメリカの大統領山荘キャンプデービッドで歴史的な首脳会談を行った。これにより、3カ国協力の新しい時代が到来したことになる。

新冷戦時代といえる国際情勢に対応し、3カ国の関係を安全保障や経済安保まで網羅した包括的、かつ多層的な協議対として格上げすることになった。また、2024年には2回目の3カ国首脳会議を韓国で開催する可能性も上がっている。日米韓の密着はさらに強まり、かつ加速しそうだ。

3カ国は1年には1回、首脳同士の会談に加え国家安全保障室長や外交、国防、産業の閣僚級が定例会議を持つことに同意、そのために3カ国の協力における制度的枠組みを設置した。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は8月20日、自身のSNSに「次は日米両首脳とともに韓国での3カ国首脳会議を開催したい」と明らかしている。

次回首脳会議は2024年上半期か

韓国大統領室関係者は「2022年5月に日本の広島で日米韓首脳会談が行われ、今回はアメリカで開催した。次は韓国、となるのは自然な流れだ」と打ち明ける。2024年11月にはアメリカ大統領選挙があるため、次の3カ国首脳会議の開催は2024年上半期に行われる可能性が高い。

今回の首脳会談では、日米韓の継続的な協力指針となる「キャンプデービッド原則」と、その具体的な履行方法を示した「キャンプデービッド精神」、さらに域内外の共通的な脅威について協議する「3カ国協議に対する公約」の三つの文書を採択し、3カ国協力の幅と深さを広げている。

また、ますます高度化する北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗して、日米韓3カ国の合同訓練を定例化するなど、安全保障での協力を深めることになった。

韓国大統領室の李度運(イ・ドウン)報道官は「今回初めて、3カ国の首脳が集まって会談したことで、国際社会に与えるメッセージ力は強かった。原則、精神、公約といった価値が付加された文書が採択されたことも注目すべきだ」と述べた。

とくに「3カ国協議に対する公約」は、2カ国中心でなされてきた安保協力のレベルを新たな高みに引き上げたと評価されている。

現時点ではどこまで実効的な中身になるかという疑問もあるが、国際情勢が「自由陣営」対「中ロ北朝鮮」といった対立の構図が深まっている中、米中対立も継続しているインド太平洋地域において今後さまざまな紛争発生の可能性が懸念されている。これらを考えると、今後、安全保障上の危機が生じた時に、3カ国が共同で対応すべき対象とその範囲を具体化せざるをえないだろう。

3カ国協調の範囲については、今回の3カ国首脳会議では、これまで存在してきた朝鮮半島の地政学的重要性がインド太平洋地域にまで拡張されたという指摘がある。3カ国が発足させる「インド太平洋対話」と「開発政策対話」によって、インド太平洋地域に対する3カ国共同の関与がさらに高まることになった。

Quad、AUKUSより幅広い対中国戦略

さらにアメリカは、日本と韓国を自国のインド太平洋戦略の両翼として活用し、Quad(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)やAUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリア)より幅の広い対中国協議対が完成したという分析も出てきている。

共同声明「キャンプデービッド精神」には、両岸問題(中国と台湾)や南シナ海での紛争について直接言及しており、韓国がアメリカの中国牽制政策により近づいたという見方がある。尹錫悦政権が出口を見つけられずにいる中国との関係をどうするか、今後はよりいっそう、そのかじ取りが試されることになる。

2023年9月にインドで開催されるG20(主要20カ国)首脳会議といった場で、日中首脳会談が行われる模様であり、韓国も中国との首脳会談開催を推進する一方で、韓国が議長国である日中韓首脳会議を2023年中に開催し、韓国と中国の関係を管理できる水準にまで引き上げる可能性もある。

韓国の趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長は韓国メディアに対し「規範に基づくインド太平洋地域の平和と繁栄のためにともに進もうという方向に、中国が参加することを希望して要求したものだ。中国を非難した訳ではない」と述べた。

さらに「韓国と日中の首脳会議開催が可能か議論も進めている。相互尊重を軸に、韓国と中国の関係を発展させようという原則は変わっていない」と付け加えた。

(ソウル新聞)