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ブランドのル・マン初勝利から70周年

スピードを出さなくても、このクルマが持つ栄光の歴史の断片を味わうことができる。黒光りするブレーキペダルを蹴飛ばすと、レーシンググリーンのジャガーは驚くほどの勢いで減速した。

【画像】価格3億円以上 ジャガーCタイプ・コンティニュエーション 復刻される名車は他にも 全107枚

スチール製のディスクと、ダンロップ社製の油圧キャリパーは、効果的に熱エネルギーへ変換してくれる。1953年のル・マン24時間レースを優勝に導いた要素の1つが、この強力な制動力だった。


ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション

ジャガーXK-120C、通称Cタイプは、1951年に初挑戦したル・マンでも優勝を掴んでいる。さほど驚異とはならなかったライバルに対して、その時はドラムブレーキで挑んだ。

70年前の話題で恐縮だが、今回試乗が許されたクルマは、そのCタイプの復刻版。ジャガーが正式に手掛けたコンティニュエーション・モデルで、21世紀の技術を活かしXK-120Cが現代に蘇った。

製作する動機付けになったのが、自社のル・マン初勝利から70周年を迎えることだった。その歴史を知っていた方が、このクルマの意味もより理解できると思う。

これまでにもジャガーは、コンティニュエーション・モデルを複数生み出している。XKSSやDタイプ、Eタイプ、Eタイプ・ライトウエイトなどが、少量ながら復刻されてきた。Cタイプは、その最新版となる。

英国での販売価格は3億円以上

予定されている生産数は16台で、英国での販売価格は180万ポンド(約3億60万円)。既に8台ぶんの申込みがあったそうだが、今なら残りの1台を入手できるかもしれない。金額を用意できれば。

復刻版とはいえ、クルマ1台に対しては桁違いといえる金額ではある。だが、53台が作られたオリジナルのCタイプをオークションで落札する場合は、300万ポンド(約5億100万円)はくだらない。それと比べれば、現実的な値段とはいえるだろう。


ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション

実際、Cタイプ・コンティニュエーションを運転すれば、その金額の理由が見えてくる。XK用の3.4L直列6気筒エンジンは、ブロックから再制作されている。1950年代の航空技術が応用さられた複雑なディスクブレーキ・システムも、現代技術で再現してある。

オリジナルの設計図をデジタル化し、現存する実車両も計測することで、ディティールにも抜かりはない。雛形として選ばれたのは、1953年のル・マン24時間レースを優勝したマシン、そのものだという。

そのCタイプには、トリプルウェーバー・キャブレターを搭載した直列6気筒エンジンが搭載され、最高出力は208ps以上を発揮したといわれる。復刻版は218psで、車重は1063kgしかないから、現代でもパワーは充分以上といっていい。

新車のようにタイトでパワフル

魅力にも不足はないが、少し不自然な印象もなくはない。それは、隅々まで新しいから。クラシックカーの場合は、高額をつぎ込んでレストアされていても、何かしら年代物の部品が残っていたりする。だが、このジャガーには古いと感じる部分が一切ない。

一見するとカタチが古い部品も、すべて新品。細部に至るまで。そしてそれは、運転した印象にも反映している。新車のようにタイトでパワフルで、ガタガタと余計な振動音などは発しない。凛としている。


ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション

サウンドは、最新モデルのように静かではない。エグゾーストノートは激しく、時々アフターファイヤーも混ざる。勢いよくキャブレターが空気を吸い込み、ツインカムの6気筒エンジンは、回転上昇とともにクレッシェンドしていく。パワーを放出しながら。

それでいて当時のジャガーらしく、絹のように滑らかに回る。時々、アクセルレスポンスがつまずく。キャブレターが載っていることを、思い出させる。

運転席に座って、すぐに気安く乗れるクルマではない。クラッチは突然繋がるし、4速マニュアルのトランスミッションには、ギアの回転数を合わせてくれるシンクロメッシュが備わらない。ある程度の慣れが必要となる。

ステアリングラックはラック&ピニオン式で、オリジナルのXK120へ組まれるボールナット式より感触が良い。ステアリングホイールの直径はより自然で、軽量なCタイプのボディと相まって、路面やタイヤの状況を把握しやすい。

眺めているだけでも満たしてくれる

筆者には難しいが、軽妙な四輪ドリフトも可能だという。精度の高いステアリングと、アクセル操作でコーナリングラインを絞っていける、シャシーバランスを備えている。

テストコースのストレートでは、160km/h以上まで加速させることができたが、印象的なほど走りは安定していた。操作をマスターすれば、コーナーも素早く処理できる。


ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション

ちなみに、このCタイプ・コンティニュエーションは、広いサーキットで楽しむのがベスト。1953年のマシンが意図された場所というだけでなく、公道を走ることが許されていないためだ。

驚くほど高価なジャガーは、サーキットで開かれるヒストリック・イベントやレースで、素晴らしい喜びを与えてくれるに違いない。オリジナルが70年前でありながら、真新しく高品質な仕上がりは、眺めているだけでも多くの人を満たしてくれるはず。

ジャガー・クラシック Cタイプ・コンティニュエーションのスペック

英国価格:180万ポンド(約3億60万円)
全長:3988mm(オリジナルCタイプ)
全幅:1638mm(オリジナルCタイプ)
全高:1080mm(オリジナルCタイプ)
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.0秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1063kg
パワートレイン:直列6気筒3442cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:218ps/5250rpm
最大トルク:30.3kg-m/4250rpm
ギアボックス:4速マニュアル