ソニーが新ブランド「INZONE」(インゾーン)を立ち上げ、ゲーミング機器市場に本格参入。4K/144HzとDisplayHDR 600に対応した27型ゲーミングモニター「INZONE M9」を7月8日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は154,000円前後を見込む。

INZONE M9(SDM-U27M90)

INZONE M9(画面はイメージ)

また、同じ27型でフルHD/240Hz対応の液晶パネルを搭載し、DisplayHDR 400に対応した「INZONE M3」も合わせて発表。INZONE M9とは液晶パネルやバックライト、DisplayHDRの仕様が異なる。2022年中の発売を目指しており、発売日や価格は後日改めてアナウンスする。

INZONE M9(SDM-F27M30、画面はイメージ)

「没入」と「勝利」をテーマに掲げたINZONEブランドでは、薄型テレビのBRAVIAやWH-1000XMシリーズのヘッドホンといった、ソニーならではのAV機器の技術を投入していく。同ブランドのネーミングは「Into your zone」から来ているとのこと。

ソニーのゲーム機器といえば、グループ会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が展開するPlayStationシリーズを想起する向きもあると思われるが、今回はエレキ事業を手がけるソニー自らが、INZONEブランドでゲーミング市場に参入したかたち。PCユーザーをコアターゲットに据え、より高品質なゲームプレイをしたい人向けに訴求していくという。

ソニー自らが「INZONE」ブランドでゲーミング市場に参入

第1弾製品となるゲーミングモニターのM9は、4K/3,840×2,160ドットで27型のIPS液晶パネルを搭載し、HDR映像信号はディスプレイ用HDR規格のVESA DisplayHDR 600に対応(M3はフルHD/1,920×1,080ドット、DisplayHDR 400対応)。M9の色域は、デジタルシネマ規格「DCI-P3」の色域を95%カバー。M3はsRGB 99%に対応する。最大色表示は10.7億色。表面はノングレア。視野角は上下左右178度。

BRAVIAで培った高画質技術を活かしているのも大きな特徴で、M9のバックライトは直下型LED(フルアレイ・ローカルディミング)を搭載し、部分駆動に対応することでさらなる高コントラストを追求。M3はエッジ型LEDバックライトを備える。ピーク輝度とダイナミックコントラスト比は、M9が600cd/平方メートル、80,000:1。M3が400cd/平方メートル、1,000:1。

M9はVESA DisplayHDR 600に対応

表面はノングレア

M9は144Hzの高リフレッシュレートで照準を合わせやすくし(M3は240Hz)、応答速度は高速モード時1msで残像感を低減。NVIDIAのG-SYNC CompatibleとVRR(HDMI 2.1)の両方に対応し、激しい動きの映像でも表示の崩れやカクツキを抑える。

ほかにもゲームを遊びやすくする機能として、明るい部分の白飛びを抑えながら、暗所の視認性を向上させ、敵を見つけやすく調整できるブラックイコライザー機能や、クロスヘア機能なども備える。

主にPCゲーミング向けの製品だが、M9のみPS5と組み合わせて使うときのための「Perfect for PlayStation 5」をサポート。オートHDRトーンマッピング(モニターの特性に合わせたHDR設定の自動調整)や、コンテンツ連動画質モード(モニターがPS5から出力するコンテンツを判別し画質モードを自動切り替え)に対応し、映像に合わせた画質でゲームを楽しめるという。また、4K/120Hz映像の入力にも対応する。

どちらもオンスクリーンディスプレイのメニューで各種設定が行え、Windows PC用の設定ソフト「INZONE Hub」からも各種設定を調整可能。プレイするゲームタイトルごとに異なった設定を保存することもできる。

オンスクリーンディスプレイのメニューで設定しているところ

また、PCとPS5などのコンソールゲーム機をM9/M3に両方接続しているときは、「オートKVMスイッチ」によって入力をPC/コンソールで切り替えると、キーボード、マウス、ヘッドセットといった周辺機器の接続先を自動で切り替えられるという。この機能を使うには、別途USB-B/Cケーブルが必要となる。

インタフェースは共通で、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×2、USB-A×3(ダウンストリーム)、USB-B×1(アップストリーム)、USB-C×1(DP Alt mode/アップストリーム)を装備。ステレオミニの音声出力や、出力2W×2のスピーカーも内蔵する。

M9/M3のインタフェース

どちらも、PS5にも合わせやすいデザインの3点支持スタンドを採用し、キーボードやマウスを収納・配置しやすくした。スタンドは高さ調整とチルト機能に対応し、設置面からディスプレイの下部まで46mm〜116mmの範囲で調整できる。チルト角度は20度



3点支持スタンド採用。PS5にも合わせやすいデザイン

スタンドは高さ調整とチルト機能に対応

スタンドの中を通すかたちで、接続したケーブルをまとめられる穴を装備。スタンドを分離して、100×100mmのVESAマウントで他のディスプレイアームなどに取り付けることもできる。また、M9のみ13色から選べるライティング機能を背面に搭載する。

M9の消費電力は139W。スタンドを含む本体サイズは共通で、61.5×24.8×47.9cm(幅×奥行き×高さ)。M9の重さは約6.8kg。

スタンドの中に接続したケーブルを通してまとめられる

M9の背面

M9は13色から選べるライティング機能を背面に搭載