緑茶の輸出好調 1〜3月、15%増 健康志向高まり 産地は有機対応加速

写真拡大

 緑茶の輸出が好調だ。農水省の農林水産物輸出入統計によると1〜3月の緑茶の輸出額は前年同期比15%増の51億円だった。欧米で人気の高い抹茶を含む粉末状茶では同25%増。前年の主要国によるロックダウン(都市封鎖)の反動と、健康志向による需要の高まりが背景にある。産地では、海外でニーズが高まる有機茶の生産拡大の動きが活発化している。

 年間の輸出額が過去最高(204億円)だった2021年を上回るペースで輸出が進む。国別では、特に需要の高い米国向けの経由地・カナダへの輸出金額(1〜3月)が前年比3・4倍に増加。欧州連合(EU)向けの集積地であるドイツへの1月の輸出金額は同1・5倍だった。日本茶輸出促進協議会は「各国は仕入れを強めており、22年産の引き合いも強まる」とみる。

 主産地は、世界的な需要増加を見据え、残留農薬基準の厳格なEUに対応した防除体系の導入を進める。中でもEU向け輸出の8割強を占める有機茶の生産拡大に向け、有機JAS認証取得の栽培面積を拡大している。

 鹿児島県の21年の有機JAS認証取得の栽培面積は17年比4割増の578ヘクタール。20年の輸出金額は同2・8倍の7億6300万円に上った。静岡県の同認証取得の栽培面積は、17年の209ヘクタールから19年には2割減らしたが、20年は186ヘクタールと再び増加。「手間とコストをかけて有機茶を作っても販路がない」(産地関係者)課題を抱えていたが、生産者と茶商の連携強化などで好転した。

 22年産の一番茶取引でも「有機茶の引き合いが例年以上に高い」(静岡茶市場の内野泰秀社長)情勢だ。農水省も「米国向けに占める有機の割合は2割程度だが、ニーズは年々高まっている」(農産局果樹・茶グループ)とみる。

 緑茶の輸出は茶問屋の商流を活用するケースが多い。同省は「輸出ロット拡大に向け、需要情報を持つ茶商と生産者、JAの連携強化が重要だ」(同)と指摘する。