井上尚弥【写真:Getty Images】

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リング誌が特集、ライバルの11秒KO男テテが井上の強さを証言

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝でIBF・WBA王者・井上尚弥(大橋)は5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)と激突する。今大会は肩の故障でドネア戦の前に離脱した“11秒KO男”WBO王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)は井上の基礎技術の高さ、着弾性能、ボディショットの3点を称賛。「パウンド・フォー・パウンド(PFP)最強の1人」と脱帽している。米ボクシング専門誌「ザ・リング」が報じている。

 森川ジョージ氏の描いた井上のイラストはボクシング界で権威を持つ米専門誌「ザ・リング」9月号の表紙を飾った。「聖書」と呼ばれる同誌で2度目の単独表紙となる栄誉だが、同誌は「モンスター創造論」と題して特集。様々な名トレーナーや世界王者、ライバルの井上に対する証言を紹介している。

 WBSS準決勝の5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)戦を肩の故障で棄権したテテも証言者として登場。名だたる世界チャンピオンを3試合計441秒でなぎ倒している井上に対し、テテはまず基礎技術の高さを評価した。

「彼は全てにおいて完璧にやってのける。あれだけ小柄なのに、彼は長身のファイターの攻略法を知っている。彼の技術とタイミングは完璧なんだ。それこそが、パウンド・フォー・パウンド(PFP)最強の1人たらしめているんだ」

 2017年11月に世界戦史上最速の11秒KO勝利を挙げたテテは、同階級の井上をボクシング界最強の一角と絶賛。その強みとして、技術とタイミングを挙げた。

「実現したら好試合になるだろうね。頭脳戦だよ。イノウエはとても賢いファイターだが、自分もそうだ。チェスの試合になるだろう。ミスを犯した方が代償を支払うんだ」

ロドリゲスを沈めたボディも称賛「相手は戦意を失う」

 WBSSの決勝カードとして期待された井上対テテだが、将来的に統一戦が実現するなら、チェスのような理詰めのバトルになると分析。「惑星一のパンチャー」とも称されるほどの強打を誇る井上だが、テテはその着弾率の高さにも注目していた。

「ファイターとしては標的に着弾させなければいけない。パンチを打つことそのものが目的であってはならないんだ。オレの試合で無駄なパンチをあまり見ないのはそういうことなんだ。標的を定め、打ち込む。標的がそこにいなければ、打たない。疲弊してしまうからだ。自分のパンチには常に意味が込められている。そして、パワーも込めている。イノウエも同じことをやっている」

 自らのパンチを誇ったテテだが、それは井上も同様と分析。井上は昨年10月のWBSS初戦フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦で、この試合の実質的なファーストパンチだったワンツーで失神させ、70秒KO勝ちを収めていた。そして、最後は代名詞とも呼べる強烈なボディショットだ。

「彼はすごく優秀なボディパンチャーだ。それを放つのはKO狙いだ。前回の試合(ロドリゲス戦)で見たけれど、ひとたび、イノウエがボディに着弾させてしまえば、相手は戦意を失う。それほどの痛みなんだ。ボクシングというスポーツでボディ撃ちは必殺技だよ。ノックアウトしたければ、ボディから頭を攻める(コンビだ)。ボディで仕留めるのは最大の有効策だ」

 バンタム級でモンスターの対抗馬と評される11秒KO男ですら、絶賛を重ねる井上。規格外の強さはライバルも認めざるを得ないようだ。(THE ANSWER編集部)