練習前に話すR・ロドリゲス監督と馬渡(左)ら。写真:上野照文

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[J2 10節] ジェフ千葉 2-0 徳島ヴォルティス
2017年4月29日/フクアリ
 
 10節の千葉戦で馬渡和彰がボールボーイの身体を突いた乱暴行為とサポーターの水かけ問題に揺れる徳島ヴォルティスが4月30日、徳島スポーツヴィレッジで練習を再開した。練習前には20分ほど時間をかけてミーティングが行なわれ、今回の件についてリカルド・ロドリゲス監督が改めて選手たちに「絶対に許されない行為。様々な感情が起きることはサッカーの一部。その気持ちをコントロールしなければいけない」と伝えたという。
 
 ミーティングを終えた選手たちは、2班に分かれて練習。前日試合に臨んだ9人が軽いランニングなどでダウンをして、他のメンバーはパスゲームなどをこなした。ゴールデンウィーク中の日曜日とあって大勢のサポーターが練習場に集まり、その様子を見守っていた。
 
 主将の岩尾憲は練習後に神妙な面持ちで、「今回の件は、選手個人とともに、チーム全体の問題でもあります。(ボールボーイの)方への申し訳ない気持ちしかありませんし、一人ひとりが自分たちの起こしたことを受け止めて、次の試合(5月3日、ホームでの福岡戦)に向けて準備をしていくしかありません」と語った。
 
 千葉戦の14分、カルリーニョスのサイドチェンジに、左タッチライン沿いを馬渡が駆け上がると、飛び出したGK佐藤優也がスライディングでクリア。ゴールががら空き状態のため慌てて佐藤が戻り、一方、馬渡はボールボーイにボールをすぐ渡してほしいと要求した。
 
 そこで少し間が空き、時間稼ぎだと感じた馬渡がボールボーイのところまでボールをもらいに行った。驚いた様子のボールボーイから馬渡がボールを押し戻すような形で受け取り、その胸を突いた。
 
 高山啓義主審は馬渡にレッドカードを提示。審判と徳島の選手、さらに千葉のベンチスタッフなどで揉み合いになった。そのあとチームメイトらを落ち着けた主将の岩尾は主審からの説明を受けると、ボールボーイのもとに行って声を掛け、握手をかわして試合に戻った。

 そのことについて、岩尾は次のように説明した。
 
「馬渡のとった行動は、紛れもなく許されないことです。僕がボールボーイの立場であったら、間違いなく傷付いたはずです。相手の立場になって考え、咄嗟にですが握手を求めました。選手、スタッフ、クラブとして反省しなければいけません」
 
 さらに試合後には徳島のサポーター席から何者かがピッチに向けて、水をまいていたことが明らかになった。
 
 30日にはクラブが公式ホームページで「4月29日の試合における事象に関するお詫び」を発表。▽馬渡に関しては、Jリーグ規律委員会の処分確定後にクラブとしての処分もあわせて決定する▽スタンドからボールボーイに水をまいたとされる行為については、行為者を特定し、運営管理規定に則った処分等を決める、としている。
 
 徳島の岸田一宏社長は「いずれの件におきましても、ジェフユナイテッド千葉に関わる皆様、Jリーグを支える皆様、徳島ヴォルティスを日頃より応援していただいている皆様にクラブとして非常に重大なご迷惑をおかけ致しましたことを深くお詫び申し上げます。今後、早急に処分内容などの決定をおこない、今後の対応等につきまして、あらためて皆様にご報告させていただきます」(原文ママ)とコメントしている。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)