北朝鮮の国営通信社、朝鮮中央通信は3日付で、同国の一部で旱魃(かんばつ)が深刻化していると報じた。穀倉地帯にも大きな被害が出ていると紹介。耕作地に水を引き入れているが「すぐに乾く」、「被害は相変わらず解消されないとみられている」などの、“悲観的”な論調が目立つ。同国報道は日ごろ、敵対する相手に対して「無慈悲な報復攻撃」などの激越な論調を用いるので知られる。「無慈悲な」は朝鮮語で「容赦ない」程度のニュアンスだが、今回は同国が「容赦ない天災」に見舞われた格好になった。

 旱魃被害が発生している地域を列記した上で、「特に穀倉地帯である黄海南・北道(ファンヘナムド、ファンヘプクト)の被害は深刻」と紹介した。

 旱魃対策に「引き続き努力」と論じた上で、「持続する旱魃と高温現象によって水を引いた田畑がすぐ乾く」などと、効果があまり出ていないことを認めた。

 今後の予想としては「8日まで豪雨とにわか雨が一部の地域には降りそうだが、旱魃がひどい地域での被害は相変わらず解消されないものとみられている」、「持続する干ばつによって、今年の農作が大きく懸念されている」と、深刻さを強調した。

 自国については言葉を極めて賞賛し、対立する相手には「無慈悲な報復攻撃を受けるだろう」、「火の海になるだろう」などと激越な調子で非難・攻撃する同国の報道としては、異例だ。

 深刻な旱魃が事実とすれば今年の食料生産が落ち込み、端境期となる2015年の夏ごろに、同国の食料事情は深刻な事態になる恐れがある。(編集担当:如月隼人)