フランス人が、ワインの情報サイト「Intothewine」にて、フランスの議会がワインと日本酒への対応をめぐって一部から批判を受けていることを伝えた。

 筆者によると、フランス議会では、もうすぐワインに新しい課税をかける報告書が提出されるという。しかしその一方で、一部の議員が「日本酒友の会」というものを結成していると伝えた。

 この「日本酒友の会」とは、日仏友好議員連盟のフランス人議員が、2012年に訪日した際、東日本大震災の被災地で日本酒を味わい、その味に感激したことから生まれた。日本酒を「コメのワイン」と表現し、フランス料理にも合うことなどをアピールし、日本酒の魅力をフランス人に伝えることを主旨としている。

 筆者によると、ワインはほかに比べるとアルコール度数も低いのに、公衆の健康に危険が及ぶ可能性があるとの研究結果を議会が受けて、課税をしようとしていると説明した。筆者は、「ワインはいつもこの手の調査の対象になりがちだ」と残念そうに述べた。

 筆者は、ワイン生産者やジャーナリスト、何人かの政治家をはじめ、ワインの熱烈な支持者たちは、断固としてこの嫌がらせに立ち向かうだろうとし、ワインへの課税に反対する姿勢を示した。また、「ワインは我が国の重要な文化的要素であり、課税の対象となるべきものではない」という意見も紹介した。

 こういった問題が出ているなか、何人かの議員たちが「日本酒友の会」を結成し、日本の酒のプロモーションに尽力しているというのはどういうことか、という怒りが筆者の中にあるようだ。また、かつては葉巻愛好家を集めた議員たちによるアソシエーションがあったが、今ではそれが日本酒に様変わりを見せたと皮肉を込めた。

 筆者は、日仏友好のための会は重要という認識を示しつつも、フランス人同士の友好も大事にするべきだとし、ワイン課税は友好的措置ではないことを訴えた。フランスのワイン生産者の利益を尊重してこそ、世界におけるフランスのイメージをよくすることができるとも述べた。

 また、ワインはフランスの輸出部門で第2位を占めており、昨年はおおよそ110億ユーロもの利益をもたらしているとし、果たして本当にワインへの課税がアルコール依存症の現実的な解決策につながるのかと疑問提起をした。筆者は、過去10年にわたって、ワインの消費量は減っており、ウォッカやウイスキーなど、よりアルコール度数の高い蒸留酒が消費される傾向が強まっていると伝えた。ワインへの課税が実現したら、よりアルコール度数の高いお酒を購入する人が増え、それは逆効果だと指摘した。

 最後に筆者は、「日本酒友の会」のメンバーが、「日本酒風呂」に入るのを見るのが楽しみだと皮肉を込めたジョークをつづり、日本人が「ボジョレーヌーボー風呂」に入っている写真を掲載した。

 もし日本で逆のことが起こったら、日本人はどんな反応を示すだろうか。もっとも、日本人はワイン好きでもあるため、筆者がつづったような「嫉妬」ともとれる感情は抱かない気がする。ワインはワイン、日本酒は日本酒と捉え、その味を楽しめるだろうか。

 フランスは、食糧に関しては昔から自給率が高く、日本は逆に輸入大国である。フランス人が外からくるものに対して嫌悪感を示したり、ナショナリズム的な姿勢を見せるのは、このような背景も関係がありそうだ。(編集担当:下田真央・山口幸治)