NPBのプロ野球ドラフト会議は、いよいよ明日26日に迫った【写真:Getty Images】

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猛烈プレゼンも? 実は前日がスカウトの集大成…運命の日を前に何をするのか

 NPBのプロ野球ドラフト会議は、いよいよ明日26日に迫った。今年は午後5時から東京・グランド新高輪プリンスホテルを会場にして行われる。今日25日は各球団、多くの球団が最終スカウト会議を実施。指名候補の詰めの最終検討に入る。ドラフト会議までの“24時間”をスカウトたちはどう過ごし、何を行っているのか。

 大半の球団は前日にスカウト会議を行い、指名候補の最終検討を行う。球団社長、監督、GMら編成トップ、スカウト部長に加え、各担当スカウトが参加し、会議を実施。事前に絞り込んできた100人前後の候補リストから評価を洗い直した上で、各球団の指名シミュレーションを行い、狙いの選手は何位で指名できるかを想定する。最もわかりやすい例は、1位競合数の予想だろう。

 担当スカウトにとっては勝負の日でもある。1年間、自分の目を信じ、冬場の雪の降る練習場から夏場の炎天下の試合まで全国を駆け回り、追いかけてきた候補選手たち。一人でも多く、自分の担当から指名してもらいたいのが本心だ。選手の映像、データ等を整理し、上層部にプレゼンテーションを行う。スカウトにとっての仕事の集大成は、実はこの日にあると言ってもいいだろう。

 長時間に及ぶ会議を経て、監督、GMら責任者が報道陣に対応する。この場で1位指名が決定していれば、他球団との競合をけん制して公表する場合もあり、当然、隠す場合もある。そのほか、育成を含めた指名人数、即戦力もしくは将来性を重視するなどの指名方針など、支障にない範囲内でアナウンスする。決まっていなければ、当日の会議前までに決定することになる。

夕方からギリギリまで情報収集…当日は必勝祈願、若手は入力役で会議に出席も?

 そして、前日のスカウト会議後から夜にかけ、アマ球界関係者の電話が多く鳴る時間帯だ。ドラフト候補を抱える大学、社会人チームなどに事前に指名方針を水面下で伝える場合など、さまざまな裏情報が各方面から漏れ伝わってくる。もちろん、当たっている場合も外れている場合もある。しかし、スカウトは信頼できる人脈を駆使し、ギリギリまで他球団の情報入手に奔走する。

 迎えた会議当日。午後の集合前に良縁を願い、神社で神頼みに出向くスカウトもいる。会場の各球団の控室に入ると、持ち越した事項、最新情報の共有などを行い、会議に臨む。出席者はテレビ中継でおなじみの監督ら。ちなみに、指名選手のNPBへの通達方法はパソコンのため、ミスなどが起こらないように入力役で若手スカウト、球団職員が参席する場合もある。

 ほかの担当スカウトたちは控室で情勢を見守り、狙い通りの指名が叶えば歓声を上げる。ファンと同様にスカウトたちも緊張感を持っている。担当選手が指名されれば、即座に所属先の監督に挨拶の電話を入れ、1位選手の場合はそのまま監督らとともに直接挨拶に出向くこともある。そして、息つく暇もなく、翌日から無事に入団してもらるよう、指名挨拶に散っていく。

 アマ野球シーズン中はほぼ休みなく働いているスカウトもざら。あるスカウトは「自分がいいと思った選手を上司に認めてもらえるように。指名した選手をチームの監督から安心して預けてもらえるように、日々できることをやっている」と仕事の理念を話す。その思いを実らせるため――。スカウトたちにとっての“運命のドラフト前日”が今年もやってきた。