読み終えてから何年か経ってその本を手にした時、当時自分がどんな環境にいたのかとか、誰とどんな感想を交わしたのかとか、社会でどんなことが起こっていたのかとか、記憶が溢れ出してくるような小説がある。心に残る素晴らしい小説はたくさんあるけれど、そんなふうに一緒に生きていたような気持ちがする小説に出会うことは、それほど多くはない。辻村深月氏の3年ぶりの新刊であるこの小説は、私にとって、そして多くの人にと