[Report Now!]4Kコンテンツと放送のトップランナーが一堂。全国で唯一のイベント「とくしま4Kフォーラム」
4K / 8K映像に関する技術やサービスが一堂に会するイベント
6月15日から20日までの5日間、4K / 8K映像に関する技術やサービスが一堂に会するイベント「とくしま4Kフォーラム2014」が開催された。開催場所は徳島市山城町の多目的コンベンション施設“アスティとくしま”。徳島県は昨年9月に神山町で4K映像の制作や伝送実験に取り組む、株式会社えんがわが先導して開催された「全国4K祭 2013 in Kamiyama」により映像関連事業者から一目置かれた。今回は昨年の規模を拡大するために実行委員会を設け、運営側と県が中心となって開催された。総務省、衛星放送協会、日本ケーブルテレビ連盟、NHK徳島放送局や四国放送が後援。
イベント開催期間では、18日から20日がプロ向けメインイベント。3つの会議室で放送、通信、放送機器メーカー各社による特別講演が3日間で40近いセッションが終日開かれ、4K映像や4K撮影カメラについてのワークショップが実施された。展示スペースでは、東芝、パナソニック、ソニーなど12社が出展し、4Kテレビや4K放送に至るまでの最新機器・技術を紹介した。
気になる展示内容は…?
エントランスホールには、次世代放送システムとして日本ケーブル連盟とNexTV-FによるChannel4K受信デモが行われた。NexTV-F側では衛星伝送で、シャープAQUOS 4Kレコーダー(TU-UD1000)が受信し、パナソニック4K対応ビエラに表示テレビとくしま側では光IP経由でのデモ写真左:東芝4KレグザにHUMAX製の試作機STB「HMX-4KJP」経由でChannel4K番組を再生
写真右:テレビとくしまが用意したパナソニックAX-800に試作機STB経由でChannel4K番組を再生。またChannel4K放送時間外では、YouTubeの4Kコンテンツストリームを再生し、徳島ならではの高速ネットワークをアピール
ホワイエには、NHK徳島からハイブリッドキャストとデータ放送についても紹介。東京とは違う地方のコンテンツとデータ情報が体験できて興味深い。
FIFAワールドカップ開催期間中ということもあり、NHKが実施している8K中継パブリックビューイングが会場内で実現した。300インチスクリーンに21チャンネルサラウンドの8Kシアターには80席が用意されていた。15日の日本×コートジボワール戦、17日のアメリカ×ガーナ戦、20日の日本×ギリシャ戦が8K映像でライブ中継された。
生中継時間以外も日本戦の録画のほか、NHKが8Kカメラで撮影した阿波踊りや紅白歌合戦が上映された。ワールドカップ会期中での8Kライブシアターは全国で4か所だけ。東京、大阪、横浜の大都市に並んで今回のイベント会場が選ばれた。
写真提供:とくしま4Kフォーラム実行委員会20日には、B-SATから車載型地球局が到着。4K / 8K放送方式の実験試験局としての免許を取得している
4K実践トップランナーからの講演
基調講演には、徳島県の飯泉知事をトップバッターに、総務省情報流通行政局の南官房審議官が登壇。そして、次世代放送推進フォーラムの元橋事務局長や日本ケーブル連盟審議役の岡村氏、日本デジタル配信の執行役員安田専務、ジュピターテレコムの田口執行役員からの特別講演。
4K事業推進をしているNTTぷらら、KDDI、NTT西、ケイ・オプティコムなどの通信事業者から、スカパーJSAT、WOWOW、放送衛星システム、ジャパンケーブルキャスト、中讃ケーブルビジョン、テレビ鳴門、ケーブルテレビ徳島、NHK、日本テレビ、TBS、関西テレビといった放送事業者に、アーカイブスの実践を行っている京都大学、東京現像所、プラットイーズ&えんがわ、そして10社近いメーカーからセッションが繰り広げられた。
メインイベント初日の基調講演では、とくしま4Kフォーラム実行委員会の会長でもある徳島県知事の飯泉嘉門氏が関連産業の集積の背景について説明。徳島県は3年前の地上波デジタル放送移行時、約7割の世帯が近畿地方からの電波を受信できなくなる問題に直面している。その対策として県などが276億円を投じてケーブルテレビ兼用の光ファイバー網を敷設した。
この「ピンチをチャンスに!」した結果、ケーブルテレビの普及率は現在、徳島が東京を越して全国トップ(88.9%)である(平成25年12月末総務省調べ)。インターネット速度では東京の5〜20倍の速度が実現する。この県内全域に広がる光通信網といった立地環境の優位性を挙げて「4Kの実証実験は徳島で」と、4K実証実験事業を開始。年内には、4Kコンテンツ制作のプログラムを開始し、産学官共同で人材育成にも力を入れていくという。
■スカパーJSAT
4Kスポーツ中継をいかに現在と同じ手法とワークフローで行えるか。積み重ねてきた実地検証のトライアンドエラーを惜しみなく開示。また世界でもこれほど完備されたところはないだろうと自負する4Kマスターコントロールも今回写真公開された。
■日本テレビ
2013年に東京国立博物館で開催された「特別展 京都」で上映した「龍安寺・石庭の四季」の4Kパノラマ映像制作から、プロ野球4K中継の実験の経験をもとに4K環境でのライブスポーツ番組制作における課題などを発表。4Kパノラマの収録では、キヤノンのC500を4台使い、RAWで収録。
既存の編集ソフトウェアを駆使し、グレーディングからパノラマ合成を施した。実際にその場にいるような体験をしてもらうために実物大のスクリーン(620インチ)に10K×2Kの映像を投影したという。後者のトピックでは、カメラワークといった演出面から、確立していない記録形式、記録メディアのコスト問題などが上がった。編集の取り扱いやすさ、最終的な放送コーデックを総合的に検討するとXAVCは有力な選択肢であるという。
■NTTぷらら
4K VODトライアルの取り組みとして、システムワークフローから“下町ボブスレー大田区の挑戦”といった評価検証コンテンツの収録、制作内容を紹介。セッション会場に準備された4Kテレビにて、評価検証コンテンツを再生した。
■日本ケーブルテレビ連盟四国支部 / 中讃テレビ
日本ケーブルテレビ連盟四国支部と中讃ケーブルビジョン(中讃テレビ)における4K試験放送の取り組みについて進捗を発表。ゆめタウン丸亀(香川県)にて6月2日から4K試験放送のパブリックビューイングを実施するまでのシステム構築や実地設置の説明があった。
5月末に4K試験放送の受信用機材が到着。専用回線を敷き、短期間で現地調整しなければならなく、STBとの受信調整では苦戦したようだった。会場で体験した一般の方々からは、やはり4Kという言葉は聞き覚えあるものの、実際に何かということについては十分な認識がある状態ではないことが分かったという。
■ケイ・オプティコム
昨年秋、ケイ・オプティコムがスポンサーとなっている大阪マラソンで実施した、世界初の4K / HEVCライブ伝送のワークフローをはじめ、4K対応技術のテーマを挙げてCATVにおける次世代サービスの方向性を検討。また韓国放送機器展示会(KOBA)に見られた4K放送にまつわる動向を紹介した。
展示ギャラリー
ローカル局からの取材が入っていた■東芝
家庭用4Kテレビを他社に先駆けて提案したのは東芝だ。今回、4K画質品質を追及した最新の4KレグザZ9Xシリーズを展示。自社開発のLEDバックライトモジュールを採用し、BT.2020の色域をも考慮した。
開発段階でイマジカの協力を得たという、マスター画質を目指した「モニターD93」「モニターD65」モードは貴重だ。4Kアップコンバート「レグザエンジンCEVO 4K」が発揮するBlu-ray向けの「4KマスターBD」そして4Kネイティブ映像入力に対応する「4Kネイティブ」モードが加わっている。
■パナソニック
ルミックスGH4から出力した4Kストリームを直接再生。4K試験放送で採用されているSTBを介して、自社で収録したソチオリンピック開幕式などの4Kコンテンツを再生していた。
■富士通&PFU
両社で4K中継放送の伝送システムを紹介PFUは、非圧縮4K映像を10GpsのIPネットワーク伝送できるQoolTornado QG70の実機を展示。QG70はスカパーJSATによる4K生中継放送実験でも採用されている。富士通は今春のNABで展示した、4Kソフトウェアシュミレーション(HEVC符号化)のデモを行った。HEVC(10bit,4:2:2)@25Mbpsでモニターに再生。現在はソフトウェアベースだが、2015年中にはSoCでリアルタイム処理するエンコーダー製品となる予定。
■グラスバレー
4K / XAVC編集対応のEDIUS Pro 7を搭載した編集システムを展示。DaVinci Resolve側とEDL連携がとれ、最大3レイヤーの4Kリアルタイム編集が実現する。
■Harmonic / HUMAX
Harmonic社のProMedia Xpressでの4K60p / HEVCストリーミング(@20Mbps)品質を披露。自社コンテンツをHEVC main@5.0でエンコード(8bit,4:2:0)。ViXSのXcode 6400チップセット搭載のデコーダーを介して再生。HUMAX(代理店SCSK)からは現在J:COMの4K試験放送でも採用されているSTB「HMX-4KJP」をショーケース展示。会場では、エントランスホールにて行われているChannel4K受信デモでも使用されていた。
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