「私は魔術師ではない」謙虚に語るチュニジア新監督は“死に体”のチームでミラクルを起こせるのか。巻き返しの鍵は「一つになること」【現地発】
そのラムシ監督解任を受けて、ルナール監督が急きょパリからはせ参じたのが、6月16日のこと。試合前日会見までは3回の練習を行なっただけで「正直言って、厳しい1週間だった」と激動の期間を振り返った。チュニジアには「知っている選手もいる」というものの、日本戦までの準備時間は短く、できることは限られるだろう。まずは、日本と同じ土俵に立てるだけの精神力を回復することだ。
W杯直前の国際親善試合でベルギーに0−5、そしてスウェーデン戦の惨事。チームの意気も消沈するなか、ルナール監督が強調していたのは一体感だ。日本戦での巻き返しの鍵を「一つになることに懸かっている」と見る。今回のアジア最終予選ではサウジアラビアを率いて日本と戦った指揮官は「日本は規律のあるチーム。それを越える意気込みを見せなければ」と強い意志を口にした。
会見に同席したキャプテンのエリス・スヒリにとっても、個人的なリベンジの戦いとなる。スヒリはスウェーデン戦のチーム3失点目の場面で、アレクサンデル・イサクに不用意にもボールを奪われ、ヴィクトル・ヨケレスにやすやすと決められた。「エラーを恥じるか、立ち直るのか。誇りを持って次の試合に臨みたい」と決意を込めた。
ルナール監督に希望を与えているのは、今大会におけるアフリカ勢の活躍だ。モロッコやコートジボワールなど自身もアフリカでの経験が豊富な指揮官は、優勝候補スペインとスコアレスドローを演じた初出場のカーボベルデなどを引き合いに「大きな希望を持つことが可能となっている」と望みを託す。
自ら「私は魔術師ではない」と謙虚に語るが、はたして「死に体と思われている」(ルナール監督)チームをよみがえらせることができるのか。まさに奇跡への挑戦。短期間でチームを劇的に変えることができるようだと、日本もさらに気を引き締めて臨まないといけない。前回カタール大会では初戦でドイツを逆転して2−1と破りながら、次戦でコスタリカに苦杯を喫したのは記憶に新しい。
「気をつけよう 甘い言葉と 第2戦」
取材・文●石川 聡
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