「大型連休」が生産性低下と低賃金を招く “一斉に休む日本”はもう限界? 休みの分散化で渋滞も観光業も変わる
ゴールデンウィークが終わり、行楽地への行き帰りや観光地での大混雑に疲れたと感じている人も多いだろう。構想日本の加藤秀樹代表は、日本の長期休暇における渋滞や混雑の背景には、「国が決めた休日特殊性」があると指摘する。OBSラジオ番組「加藤秀樹が語る日本の未来構想」から、日本特有の休みの構造と、混雑緩和に向けた柔軟な働き方・休み方のヒントを探る。
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記録的な渋滞と混雑、原因は「一斉に休むから」
今年の旅行者数はコロナ禍前の2019年とほぼ同水準に回復し、2450万人と言われている。高速道路では中央道で45キロ、関越道や東北道で40キロの渋滞が発生し、全国で10キロ以上の渋滞が375か所に上った。
また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)やディズニーリゾートなどのテーマパークでも入場制限がかかるほどの混雑が見られ、新幹線の自由席乗車率が150%に達するなど交通機関も連休後半にピークを迎えた。
加藤氏は、この大混雑の理由は「皆が同じときに休むから」という単純な事実にあると語る。その極端な例が中国の「春節」や「国慶節」であり、国が定めた休日に全国民が一斉に移動するため、日本以上の大渋滞や混雑が起きているのだ。
祝日が多い日本、有給で柔軟に休む欧州
日本の祝日は年間16日(年によって変動あり)と世界でもトップクラスに多い。1960~70年代に比べ「山の日」などが新設され、祝日が増加してきた背景には、政治家の人気取りの側面もあると加藤氏は指摘する。
一方で、日本の有給休暇の取得日数は平均で17~18日程度にとどまっている。これに対し、ドイツは有給休暇が30日あり、イギリスも国が定めた祝日は日本の半分の8日程度だが、有給休暇を柔軟に取得することで実質的に年間30日程度の休みを確保している。
日本のように国が休みを指定する「一斉休業」のシステムが、ゴールデンウィークや年末年始の大混雑を生み出す背景となっているのだ。
「ピークに合わせる」観光業の非効率
この「一斉に休む」システムは、観光業にとっても大きな負担となっている。宿泊施設や飲食店はピーク時に大勢の客を確保したいため、その客数に合わせて設備(部屋、食器、調理器具など)やスタッフを整備すると、閑散期にはそれらが過剰になってしまう。
加藤氏は「山と谷の差が大きいと、設備投資や人件費のコストが分散できず、結果として利用者への平均単価が高くなったり、従業員の給与も抑えられてしまったりする可能性が大きい」と指摘し、これが日本の観光業・宿泊業の生産性の低さの一因になっていると分析する。
「休日の分散化」がもたらすハッピーな未来
こうした課題に対し、誰もが自分の都合に合わせて休める柔軟な仕組みへの転換が求められる。その先行事例として、大分県別府市が導入している「たびスタ」という制度がある。これは、土日や祝日に休めない観光業などの保護者に合わせ、平日に子どもが学校を休んでも「出席停止等」と同じ扱いになり、家族旅行に行けるという仕組みだ。
加藤氏はこの取り組みを「賢いやり方」と高く評価し、他の地域への波及に期待を寄せる。海外でも「キッズウィーク」として子どもの休みを柔軟にする仕組みが存在するという。
「祝日そのものをなくす必要はない。祝日には休まず、その分の休みを別の日で取得できるよう、労使協定などを活用して柔軟に対応すればいい」と加藤氏は提案する。
日本の祝日と有給休暇を合わせれば36日となり、ドイツをも超える日数になるため、これを分散させて柔軟に休めるようになれば渋滞や混雑が緩和され、観光業の生産性も向上し「みんながハッピーになる」と結んだ。
