この記事をまとめると

■日産セレナに4WDとなるe-4ORCEモデルを追加

■足まわりを見直してフレームの一部は新規設計のパーツを採用した

■NMCからはセレナ スポーツスペックなる新グレードが登場する

待望の4WDモデルを追加!

 日本で長年支持されているカテゴリーといえば、軽自動車とSUV、そしてミニバンだ。そんなミニバン市場のなかでもMクラスと呼ばれる、かつて5ナンバーサイズが主流だったクラスのミニバンの「ノア&ヴォクシー」、「ステップワゴン」、「セレナ」は、子育て層を中心に高い人気を博していた。

 とくにセレナに関しては、ミニバン市場で1番売れているモデルでもあったので、まさにMクラス界の金字塔的モデル。

 実際、2024年8月における6人以上が乗れるミニバンでは、売上第1位を記録しているほか、登録車の販売ランキングでも7位という好成績を収めている。

 今回、そんなセレナになんと、日産が誇る電動4WD技術「e-4ORCE」を投入した新モデルが追加された。降雪地のユーザーやウインタースポーツを愛する人には待望のモデルといえるだろう。

※画像はイメージ

 e-4ORCEモデルは、e-POWER搭載車のうち、ハイウェイスターV、XV、Xの3モデルとなっており、最上級モデルのルキシオンには非搭載。これは、プロパイロット2.0に関係するハーネス類の関係や、生産工程、制御面の問題などから見送ったとのこと。

 セレナe-4ORCEは、「1年中どんな場面でも、家族に安心、安全を」をテーマとしており、雪道などの悪路ではなく、ドライの路面や高速域でも電動四輪制御技術により、安定したパフォーマンスを発揮する。

 モーターのスペックは、フロントモーターの出力が120kW/350Nm、リヤモーターは60kW/195Nmとし、ドライブモードに「ECO」「NOMAL」「SPORTS」のほかに「SNOW」モードも追加されている点が、e-4ORCEモデルの特徴だ。4WDモデルということもあり、最低地上高は150mmにアップしている。

 モーター駆動により、雪の路面における上り坂や深雪などでも空転を最小限に抑えて、クルマを前に進めることもできるそうだ。

 こうなると、ミニバンで重要な室内空間がリヤモーターにより圧迫されるのでは? という疑問をもつ人もいるかもしれないが、スペースの圧迫は最小限に抑えているので、2WDモデルと比較してほとんど使い勝手に違いはないという。ラゲッジ下の収納スペースが縮小されているが、それでも完全にはなくなっていないので、洗車道具や傘などの小物類を格納できるよう、デッドスペースを上手く使えるよう工夫されている。

サスペンションまわりの一部を新規に設計

 なお、このセレナ、既存のボディにただe-4ORCEを採用しただけには留まらず、リヤセクションのフロアやサスペンションまわりのサブフレームは新規で開発して起こしている点も見逃せない。走りの面も2WDモデルと比較してかなり違うテイストになっていることだろう。実際、モーターが前後につくので、車重がアップしていても、それを感じさせないパワフルな走りを期待できるはずだ。ちなみに、もともと2WDモデルで採用していたエアカーテンに加えて、パワーアップや車重のアップによって、横風にも強くなっているとのこと。

 そのほかにも、e-4ORCE化によってより安定した路面追従性を実現したことにより、車酔い抑制効果も得られているというので、まさに家族で使うミニバンとしてピッタリの要素ばかりが詰め込まれている。

 先日、日産からはノートオーラNISMOの4WDモデルも登場しているが、こちらはe-4ORCEを名乗っていない。一方で、今回のセレナはe-4ORCEを名乗っている。その理由について関係者は、「前者はモーター単体の制御となっているだけに対して、e-4ORCEはブレーキなどとリンクしてモーターを制御しているので、広い意味では同じ4WDでも、制御の違いからこのように棲み分けしています」と語った。

 今回追加されたセレナe-4ORCEは、回転シートやスロープなどを備えたライフケアビークルにも設定されるので、さまざまなユーザーに選んでもらえるような商品ラインアップとしている。

 最後に、NISMOモデルやオーテックモデルを手がけるNMCから、今回のセレナe-4ORCE追加のタイミングで、セレナAUTECHにもe-4ORCEが追加されたことのほかに、AUTECH SPORTS SPECなる新モデルを投入するというニュースも発表された。

 このセレナは、ミニバンでありながらも走ることの楽しさを重視したモデルとなっており、専用セッティングが施されたサスペンションキットや、シリーズで唯一となる17インチアルミとミシュラン パイロットスポーツ5というスポーツコンフォートタイヤを採用したタイヤホイールセット、メンバーブレースによるボディ補強、ヤマハが開発するパフォーマンスダンパーも採用する、走り好きには無視できない注目のモデルだ。さらにはコンピュータまで専用チューニングする徹底ぶり。ちなみにこちらは2WDモデルのみとなる。

 価格は、セレナe -POWER(e-4ORCE)が361万4600〜408万8700円。ライフケアビークルシリーズが407万9000〜503万5800円。e-4ORCE採用のオーテックが448万6900円、SPORTS SPECが438万6800円だ。

 日産の看板技術でもあるe-4ORCEが追加されたセレナは、今シーズンの冬に向けて手に入れたい注目の1台となること必至。気になったユーザーはディーラーへ急ぐべし!