後回しにしていた仕事に追われる。空気が読めず浮いてしまう… その原因は「発達障害」かもしれません

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「空気が読めなくてミーティングで浮いてしまった」「つい後回しにしていた仕事で焦った」「約束の日程が変更になってたことに気付いていなかった」「また遅刻しちゃった…」――この手の「やっちまったー」という経験、あなたにもないだろうか。「次は気をつければ大丈夫!」ならいいけれど、もしもこうした失敗を繰り返して「生きづらさ」まで感じているならば、一度「大人の発達障害」の可能性を考えてもいいかもしれない。

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「発達障害」と言われるとちょっと身構えてしまいそうだが、発達障害とは実は脳の機能のアンバランスで、生まれつきの「クセ」のようなもの。体の機能を掌握する「脳」のクセだけに、生活の中での困り事や悩み事につながりやすいのだ。発達障害に関する著書を多数出している医師の司馬理英子先生によれば「発達障害の人は能力が低いわけでも性格や人間性に問題があるのでもありません。『クセ』を理解して、上手に付き合っていけば、困り事を減らすことができるはずです」とのこと。先生の最新刊『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』(主婦の友社)では、タイトルにある通り「こういう失敗って、発達障害なの?」とモヤモヤしがちな困り事の事例を多数紹介し、発達障害の可能性を、実は誰にでもあるようなものから障害の診断につながるレベルまで、5段階の星の数で評価している。「もしかして?」と思っている人にぜひ手に取ってもらいたい。

 たとえばADHDの症状の一つでよく言われるのが、「片付けが苦手で、いつも部屋が散らかっている」という困り事。

 この場合、鍵をなくすことが「ときどきある」なら星2つだが、「そもそも鍵の置き場所を決めていない」となると星4つとされている。ADHDタイプの人は「ワーキングメモリー」と呼ばれる脳の中の「記憶のおぼん」が小さいために、覚えておくことが多いとすぐに容量オーバーしてしまう(上の漫画のAさんの場合は、鍵をソファの上に置いたことをすっかり忘れてしまったわけだ)。衝動性も強く物を使い終わった瞬間に次のことに意識が向かってしまうので「出したら片付ける」が苦手だし、面倒なことは先送りにするクセもあるので片付けは後回し…で、あっという間に汚部屋になってしまうのだ。

 本書によれば、こうした悩みからラクになるには、「100点満点の片付けを目指さない」ことが大事とのこと。部屋全体がざっくり片付いているくらいをゴールに、ひとまず「床に物を直置きしたり詰んだりしない!」を目標にするといいだろう。また「収納する場所を決める」のも大切で(とはいえ、あまり細かく決めすぎないようにしよう)、「使ったら決めた場所に戻す」を心がけること。以下のイラストのようなアイディアも参考になるはずだ。

 またASDタイプには「人との関わり方が独特」という特色があり、本人に悪気はなくてもコミュニケーション上のトラブルが起きてしまうことも多い。下の漫画のJさんのように、自分の考えをそのまま口にして相手を怒らせてしまうこともある。

 このマンガのように「サービス業なのにお客さんを責めてしまう」となると、発達障害なのでは?という評価に星5つがつく。こういう困り事に覚えがある方は、まず「相手が自分とは違うことを考えている可能性がある」ということを知識としてしっかりと頭に入れておくようにしよう。その上で、「話しだす前に立ち止まって考える習慣」をつけることがトラブル回避につながる。シンプルな解決策のようだが、こういうことを日頃から意識しておくだけで困り事が減るならばうれしい話だ。

 本書をパラパラめくりながら、「この失敗に困ってるの、私だけじゃないんだ!」と発見するだけでも、少し心がラクになるだろう。

文=荒井理恵