ロシアと中国「核の脅威」両にらみする米国の悲鳴「史上初」

写真拡大 (全3枚)

知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化していた日本

日本にとっての「最悪のシナリオ」とは?

政府による巧妙な「ウソ」とは一体…?

国際情勢が混迷を極める「いま」、知っておきたい日米安全保障の「衝撃の裏側」が、『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。

※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。

ロシアだけを見ていればよかった米国

2030年代までに、米国は歴史上初めて二つの主要な核保有国を(同時に)抑止する必要が生じる。

国家安全保障戦略を読んだ時、この一文に目が留まりました。

これまで核兵器については、ロシアに対する抑止だけを考えていればよかったが、今後はロシアと中国の2ヵ国に対する抑止を考えなければならないという指摘です。

これまでも中国は核兵器を保有していましたが、最大の核保有国であるロシアに比べれば圧倒的に少ない数でした。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2024年1月時点の中国の核兵器の保有数は500発と推定されています。一方、米国は5044発(うち1336発は退役・解体待ち)、ロシアは5580発(うち1200発は退役・解体待ち)です。

このような状況であれば、「大は小を兼ねる」の論理で、ロシアを抑止するための核戦力で中国も十分抑止できるという考えでした。

中国の核軍拡と2035年問題

しかし、米国は中国の核兵器保有数が2030年には1000発以上に増えると予測しています(米国防総省「中国の軍事及び安全保障の進展に関する年次報告書〈2023年〉」)。さらに「この増強ペースは2035年まで続く」としており、その頃には米国とロシアが現在配備している核兵器数(1600〜1800)のレベルに近づきます。そうなれば前述の「大は小を兼ねる」の論理が成立しなくなる可能性があります。

中国は核兵器の保有数を公表していませんが、速いペースで核戦力の増強を図っている兆候があります。

2021年、中国が内陸部のウイグル自治区や内モンゴル自治区などに新たに約300基のICBM(大陸間弾道ミサイル)用の地下サイロを建設している可能性が高いことが、米シンクタンクなどが行った商用衛星写真の分析によって明らかになりました。

中国は潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)の強化も進めています。これまで主力だった「巨浪2(JL2)」は射程が8000キロ以下でしたが、これを大幅に延ばすJL3(推定射程1万2000キロ以上)の開発・配備を進めています。

米国が台湾の防衛にこだわるのは、仮に台湾が中国に統一された場合、中国の戦略原潜は台湾を基地として自由に太平洋に出ていけるようになるからという見方もあります。そうなった場合、南シナ海の海南島に基地が置かれている現在と比べて戦略原潜の発見が困難になり、米国本土に対する中国のSLBMの脅威が飛躍的に増大します。

中国はこれまで、いかなる国とも核兵器の軍拡競争を行わないこと、そして、保有する核兵器は他国からの先制核攻撃を抑止するために必要な最低水準にする方針を公言してきました。

中国が公式にこの方針を転換したという事実はありませんが、米国は、中国がロシアと同じように「力の均衡」に基づく戦略的安定を目指しているのではないかと見ています。

>>つづく「アジア「壊滅」させる米中「軍拡競争」最恐のシナリオに戦慄…!」では、「核軍拡競争」の時代に逆戻りしかねない、米中間の緊張関係について、詳説します。

習近平の巨大な欲望!「中華民族の恥」回復急ぐ中国に焦る米国…