美容外科大手・東京中央美容外科(TCB)で、無資格者がオペ室に入り、医療行為に関わっていたことが「週刊文春」の取材で分かった。

【画像】「給与の話をしたら減給、降格も」「すべてが狂っています」TCB東京中央美容外科の青木剛志会長


美容業界大手の東京中央美容外科(TCB) ©︎文藝春秋

 TCBは2014年12月に福島県で医師の青木剛志氏が創業し、2023年9月には美容外科業界最速の8年9カ月で、全国100院を達成した「急成長クリニック」だ。24年2月期の売上高は680億円を突破し、湘南美容クリニック(SBC)に次ぐ業界第2位の大手クリニックとなっている。

「週刊文春」はこれまで社内で行われている新入社員の“一斉クビ切り”、理不尽すぎる罰金制度、患者を閉じ込め契約を迫る圧迫商法を報じてきた。

美容アシスタント”が医療行為に関わっていた

 そして今回、判明したのが「美容アシスタント」という無資格者がオペ室に入り、医療行為に関わっていた事実だ。

 2018年から都内のクリニックに数年間務めてきた美容アシスタントが語る。

「アシスタントがオペ室に入って、オペの介助を行っています」

 その中でも無資格のアシスタントが戦々恐々としているのが笑気麻酔だ。過去には使用後に救急搬送された事故も消費者庁に届出がされている「取り扱い注意」の医療用ガスだ。

「機械を出して、濃度を調節し、患者さんにつけてスイッチを押すまでの全工程をアシスタントが自らやっています。入社時からそう教えられていますし、先輩達もみんな当たり前にしています」(同前)

 また、中部エリア勤務の別の美容アシスタントもこう語る。

「ヤバくない?」「表に出たらマズいよね」

「最初からアシスタントがやるものだって教わったので、私もダメだという認識はなかった。でも新入社員“一斉クビ切り”を報じた文春の記事が出た後に『これ、医療行為って言われたらヤバくない? 表に出たらマズいよね』ってみんな話し始めました」

 こうした無資格者による医療行為に、問題はないのか。美容医療に関わる法律に詳しい、弁護士の松村大介氏はこう語る。

「アシスタントが医療行為を行うことはできません。特に麻酔については非常に危険で、厚労省の通達にも違反している。違法行為にあたります」

 美容外科クリニックを管轄する厚労省医政局医事課の担当者も「あくまで一般論として」と前置きした上で、こう説明する。

「厚労省も昭和40年に『麻酔行為を無資格者が行うのは違法』との通達を出しています」

 事実関係について、TCBに質問状を送ったが、期日までに回答はなかった。

 現在配信中の「週刊文春電子版」では、看護師と偽って名乗っていた事実や美容アシスタントが行っていた数々の医療行為、そして麻酔などについて明記されたマニュアルの存在などを詳しく報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)