「とんでもない『煙仏』さんだ!」消防車まで駆けつける事態に…火葬場職員が思わずパニックを起こした壮絶体験

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これまでに1万人のご遺体を見送った下駄華緒さんが火葬場職員時代の体験を明かし、注目を集めているYouTubeチャンネル「火葬場奇談」。その壮絶な体験は「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」(原案:下駄華緒/漫画:蓮古田二郎)として漫画化され、話題を集めている。

寄せられた反響について下駄華緒さんはこう話す。

「感想もそうなのですが、思っていた以上に感謝の声が多くてびっくりしました。1番数が多く頂いたのは、本を読んでから自分の親族のお骨あげに行かれた方が、その時の記憶が鮮明に残り良かったというお声です。今まで何も知らずに行った時は、なかなか記憶に残らなかったそうですが、本で知識を得てから行かれたお骨あげは『記憶に残る』ということです」

記事前編では、下駄さんたち火葬場職員を騒然とさせた「煙仏さん」と呼ばれるご遺体のエピソードを紹介した。ベテラン職員も血相を変えた大量の煙を放つご遺体…いったい何があったのだろうか――。

非常事態発生

火葬場には日々様々なクレームが寄せられるが、中でも火葬場職員たちが気をつけているのが「煙」に対する苦情だという。しかし、ご遺体には一体一体それぞれに個性があり、みんな同じように燃えるわけではなく、煙が出やすい人・出にくい人が確実に存在する。

ある日、ご遺体から信じ難いほどの煙が発生する「煙仏さん」に下駄さんらは遭遇する。火葬炉には黒煙が立ち込めている、まさに非常事態だった。

「炎の勢いが強すぎて炉内が酸欠になり、不完全燃焼を起こしているんです。この際、バーナーの火は切ってしまいましょう。酸素の投入もお願いします!」

ベテラン職員の指示に従い、職員たちはすぐさま対応に動きまわった。

「これは苦情の電話が殺到するよ…」

鳴りやまない電話

先輩の予感は正しく、下駄さんたちはクレーム電話の対応に追われることに。何度も電話越しに頭を下げ謝罪しても、電話は鳴りやむことはない。

そしてこの後、最も厄介なことが…。この煙が火事ではないとわかっているにもかかわらず、あえて苦情のつもりで近隣住民が消防車を呼んでしまったのだ。

「こうなると今度は、不安でざわつくご遺族様や駆けつけた消防士の方々への説明に奔走しなければなりません」(下駄さん)

参列した遺族の方々も「生前もあれだけみんなに迷惑をかけまくってたのに、最後の最後までこんな事…」と苦虫を嚙み潰したような顔をしている。

「迷惑をかけたり、かけられたり。私たち人間はいろいろ大変ですね」

「でも見てよ、煙仏さんは今ではもうそんなせせこましい人間世界から解き放たれて…」

疲労困憊の下駄さんたちがふと見上げると、もくもくと煙が空へと昇っている。下駄さんたちは思わず手を振って故人を見送ったのだった。

いかがだろうか。人生の最後に携わる人々の物語――今一度「生きること」や「命の尊さ」について考えてみるきっかけになるかもしれない。

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下駄華緒/元火葬場職員。2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。怪談最恐戦2019怪談最恐位。火葬場職員時代の経験を生かしたYouTubeチャンネル「火葬場奇談」が話題。Twitterアカウント⇒@geta_hanao

蓮古田二郎/千葉県在住。二児の父。背景は妻が担当。主な著書に「しあわせ団地」(講談社)がある

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