女子プロを襲った“まさかの悲劇”!ボールはフェアウェイにあるのに困り顔…なぜ?

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今年の米LPGAでは、笹生優花(全米女子オープン)と古江彩佳(エビアン選手権)のメジャー優勝が注目を集めたが、もう一人、大きな記録を残そうとしている選手がいる。

今年から米ツアールーキーとして戦っている西郷真央だ。

注目ルーキーの西郷真央、最終日にまさかのアンラッキー

西郷が狙っているのは、ルイス・サッグズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーのタイトルだ。西郷は、2020年から日本ツアーに参戦し、2022年には年間5勝を挙げているが、米ツアーのメンバーとして戦い始めたのは今年が最初。

8月末の「FM選手権」まで20試合に出場して16試合で予選通過。「CPKC女子オープン(カナダ)」の単独2位を含めてトップ10は5試合ある。そして、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのランキングではトップをひた足っている。

「これまで“賞”のような、1位を取ってもらえるものを意外に取ってきてないな、と思い、またこれは今年しか取れない賞なので取れたらいいな、と思います」

と西郷はいう。日本人で米ツアーのルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したのは、1990年の小林浩美のみ。過去の受賞者はアニカ・ソレンスタムやパク・セリ・ロレーナ・オチョア、リディア・コなど、その後のメジャー優勝者ばかり。チャンスは1回限りということもあり、価値の高い賞でもある。

「FM選手権」の最終日、最終ホール(パー5)。ティーショットでバンカー越えを成功してフェアウェイをキープできれば、2オンも可能という場面で、西郷は珍しくドライバーをマン振りした。

難しい狙いを正確に捉え、ボールはフェアウェイの真ん中に止まった。

ところが、セカンド地点に行ってみて、がっくり!ボールはディボットに入っていたのだ。しかもちょうど7番ウッドで2オンできてしまう距離。どう見ても、どのように見てもボールはディボット。

「なんとか(ボールが)浮いているように見えないかな?」とボールに顔を近づけて見てみても、やはり打てそうもない。

最終的には、キャディーからも2オンを諦めるように止められ、泣く泣くアイアンを持った。このアンラッキーを諦めきれなかった気持ちは、ロープの外からでも痛いほどよくわかった。

西郷は9月の「クローガー選手権」から最終戦の「CMEグループ・ツアー選手権」までの9試合をフル出場する予定。場所も、アメリカ、中国、マレーシア、韓国、日本、そしてアメリカ(ハワイ、フロリダ)と6カ国以上を渡り歩く過酷な移動になる。

「日本ではもっと連戦していたので、連戦自体の不安はないですが、移動がね‥」 と移動途中でトラブルに不安がよぎる。それでも、11月に西郷の笑顔が撮影できることを、今から楽しみにしている。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE