バスルームでは「ゴーゴー」と、ジェットバスの音が響いていましたが、私はスマホのメール返信に夢中になっていました。

「しばらくスマホと格闘していたのですが、ふと顔を上げると、バスタオル1枚でベッドに横たわる女性が視界に入り、『すみません、このパネルはどうやって操作するのですか?』と、今度は照明パネルに興味がわいたようなので、私は彼女のそばまで移動しました。しかし、次の瞬間、部屋中の照明が全部消えてしまったのです」

◆あぶない、理性を失うところだった

 慌てた小峰さんは、女性の体を踏みつけないように枕元にある照明パネルに近づき、操作を行おうとした次の瞬間、「照明そのままでいいです」と言いながら女性が背後から覆い被さってきたそうです。

「一瞬、ドキッとしました。生暖かい感触が私の背中を覆ってきたのですから。真っ暗な部屋と同様、それと同じように私の理性のともしびも消えかかりそうになりました」

 小峰さんは、それでも必死になってパネルのスイッチを押しまくったところ、部屋全体の照明が一斉に点灯し、2人ともわれに返ることができたそうです。

「自分を褒めたいです。10年前の私だったらブレーキが効かなかったと思います。ただ、あの感触は当分忘れられません。あの日ホテルを出てから彼女には会っていません。なので、どういう意図があったのかは今でもわかりません。ちょっと“オイシイ”仕事だったと思い、明日からまたがんばります!」
 
<TEXT/ベルクちゃん>

―[ラブホの珍エピソード]―

【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営