【酒屋と飲食店のおいしい関係】vol.1 隠れ家『からふぇDINING』で呑む、“浜千鳥 山廃仕込純米酒”の旨さ
食楽web
●川崎においしいお酒を扱う酒屋があります。
蔵元の情熱とこだわりを深く理解し、酒一滴一滴に込められた物語を感じ取る。味と風味を熟知し、来店する地元の人や飲食店の好みに合わせたお酒を提供する酒屋、『地酒や たけくま酒店』。川崎の日本酒を扱う飲食店界隈では有名な、こだわりの酒屋です。
『地酒や たけくま酒店』の2号店となる元住吉店店長・佐藤温志さんは、一つ一つの銘柄を丁寧に説明してくれます。「この酒は、冷やしても温めてもおいしいんですよ。特に夏の夕方、冷やして飲むと最高です」と微笑む彼の姿からは、お酒に対する愛情とこだわりがひしひしと伝わってきます。
"こだわりの酒屋はおいしいお酒を知っている、おいしい飲食店はこだわりの酒屋からお酒を仕入れているはず"という仮説から、佐藤さんに相談して実現した、地域に根付いた酒屋と飲食店のおいしい関係を発掘する本企画。
カウンター10席の隠れ家的居酒屋「からふぇDINING」は2024年、20周年を迎えた
第一回は佐藤さんと、東急東横線元住吉駅より徒歩8分程の住宅街にひっそりと佇むカウンター10席の居酒屋『からふぇ DINING』からお届けします。
紹介するお酒は日本酒「浜千鳥 山廃仕込純米酒」。岩手県釜石市に蔵元があります。
食事とともに楽しみたい「浜千鳥 山廃仕込純米酒」
「浜千鳥 山廃仕込純米酒」を囲む『からふぇ DINING』の料理
創業約100年、川崎を拠点に日本酒・地酒を専門としてから40数年営業してきた『地酒や たけくま酒店』。元々懇意だった元住吉の石澤酒店が閉店すると聞き、その地場を引き継ぐカタチで2号店となる元住吉店をオープンしたのが2020年。「浜千鳥 山廃仕込純米酒」は佐藤さんにとって思い出深いお酒だと言います。
『地酒や たけくま酒店』元住吉店店長・佐藤温志さん
「石澤酒店さんが広めたと思うんですけど、この辺りには『浜千鳥 本醸造』を仕入れていた飲食店さんが多かったんです。元々お付き合いがあった蔵元ではなかったのですが、たけくま酒店に変わったからといって、このお酒を扱わなくなってしまうのは、町にとっても飲食店さんにとっても良くないんじゃないか、という気持ちがありました」
「浜千鳥」を扱うからには、どういう蔵元でどういうお酒があるのか、季節酒含め様々な種類を仕入れた。
「派手なお酒ではないんです。ですが、食事と合わせても馴染むお酒で、流行には乗らないけれども日本酒として正当な味わいを持っている酒だと感じました。特に『浜千鳥 山廃仕込純米酒』は食中酒として、とてもいいと思ったんです」
「山廃仕込み」とは空気中から取り込んだ天然の乳酸菌の力により、酵母を純粋に育て、力強い酒母をつくる伝統の手法。独特の酸味、飲みごたえのある味わい、キリッとした後口が特徴とのこと。
豊富な銘柄を扱う『地酒や たけくま酒店』元住吉店の棚の一部。「浜千鳥 本醸造」と「浜千鳥 山廃仕込純米酒」はレギュラー日本酒
「蔵元を訪問すると、最新の設備と伝統的な技術を融合させ、常に品質の向上に努めていました。数年前に麹室の設備に菌が入りづらい光触媒の装置を導入したことで、よりすっきりと洗練された飲み口になったと話してらっしゃいました。とても綺麗な山廃仕込みなので、なんでこんなに綺麗なんですか?と質問すると、『丁寧に作ったらこうなりますよ』とおっしゃっていました」(佐藤さん)
『からふぇ DINING』の店主・櫻井剛さん。大の日本酒好き
「そうなんです、作りがすごく丁寧なんですよ。『浜千鳥 山廃仕込純米酒』は本当にいろんな料理に合う。蔵元が漁港の町・釜石市なので魚介類にも合わせやすいんですけど、山廃仕込みにはコクがある。しっかりとお酒の余韻は残るんだけれども、ベタつかない。当店では、季節はもちろんその日に仕入れる素材によってメニューを変えています。今日は、スモーキーな料理や揚げ物にも合うお酒なのでこちらを作らせていただきました」と語るのは、『からふぇ DINING』の店主・櫻井剛さん。
『からふぇ DINING』の料理を浜千鳥 山廃仕込純米酒とともに堪能
「津軽鴨の軽いスモーク サラダ仕立て」1300円
鴨の旨みに加え、鼻を抜けるスモーキーな香り、トマトが彩りはもちろん、爽やかさと旨みを増幅させる一品。「浜千鳥 山廃仕込純米酒」を合わせてみる。料理の旨みがまろやか且つ深く感じられ、スモーキーな香りに芳醇さが加わる。トマトの爽やかさとお酒のキレの良さが後から追いかけてきて、すっきりとした後口に。
「鱧と隠元の梅紫蘇巻き揚げ」950円
さっぱりとした鱧の甘みとインゲンの苦味、梅しその風味を一つにまとめ揚げ、丁寧に出汁をとった自家製天つゆでいただく一品。熱々のところ一口頬張り「浜千鳥 山廃仕込純米酒」を流し込む。より一層まとまった旨みが通り過ぎた後、油っぽさがなくなりすっきりしつつも旨みの余韻が残る。
櫻井さん:日本酒と料理、お互いがお互いを引き立て合うものだから、日本酒と料理、両方があって完成するのが当店の味だと思っています。そして味だけではなく、酒と料理を通じて季節を感じたり、色どりを楽しんで食事をしていただきたい。そう思っていただけるメニュー構成を、日々考えています。また、日本酒は温度変化で印象がかなり変わるのも面白くて深いところです。
佐藤さん:「浜千鳥 山廃仕込純米酒」の熱燗はハズせないですよね。本当に日本酒はいろんな楽しみ方があります。どこで誰と何を食べるか、飲んでいるシーンによって甘さ、辛さ、熱燗、冷酒など味わいや温度を変えて楽しむのがおすすめ。シーンによって変わる“おいしさ”を知っていて選べる方がいいじゃないですか(笑)
櫻井さん:「お燗にしたらこんなにまろやかになるんだ!」「こんな時は冷酒がいい!」とか、いろんな温度を試して発見するのが楽しいんですよね。こんな料理が合うんじゃないか? とか考えちゃいます。ちょっと話がマニアックになっていきますが……笑
日本酒の話をしだすと止まらない2人
本連載第一回は、佐藤さんの思い入れのある一本と、櫻井さんの手がけるこだわりの料理を堪能しました。お酒の芳醇な香りと豊かな味わい、すっきりした飲み口、それぞれの料理が一層引き立つ瞬間を味わいました。
『地酒や たけくま酒店』と『からふぇ DINING』のおいしい関係、いかがでしたでしょうか?
引き続き、地域に根付いた酒屋と飲食店のおいしい関係を追いかけます。次回はどんなお酒とどんな飲食店が登場するのか、お楽しみに!
*みなさんの好きなお酒の銘柄を教えてください。好きなお酒の思い出、エピソードなどもあると思います。是非、『好きなお酒の銘柄』を下記のフォームにお寄せください。
●『好きなお酒の銘柄』書き込みフォーム
https://forms.gle/ayiCm2vadPRo9A4x9
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『からふぇ DINING』のご協力のもと、お店で「食楽webのinstagram」をフォローし、フォロー画面を見せると「浜千鳥 山廃仕込」を一杯サービス! 無くなり次第終了です!
●SHOP INFO
からふぇ DINING
住:神奈川県川崎市中原区木月1-5-15
TEL:044-411-1222
営業時間:18:00~22:00
定休日:月・火曜
https://www.instagram.com/carafedining/
*営業時間などは店舗SNSでご確認ください
●SHOP INFO
毎日書き換えられる元住吉店店頭のボード。こちらでおすすめをチェックするのも楽しみのひとつ
地酒や たけくま酒店
本店
住:神奈川県川崎市幸区紺屋町92
TEL:044-522-0022
元住吉店
住:神奈川県川崎市中原区木月3丁目10-17
TEL:044789-5561
オンラインストア
(企画・取材◎ヨネダ商店)