お金を貯めるにはゴールを決めることと、先取り貯金が鉄則。そのためのルールづくりができたら、ほったらかしでも「勝手に貯まる」好循環ができます。気づかず赤字…な危険家計はボーナスを機に見直しを図りましょう。目標設定から始める家計管理術を、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんが4ステップでわかりやすく解説します。

「なんとなく」ではなく仕組みづくりで貯める!

「先々のことを考えて」「なにかあったときのために」など漠然とした理由で、「なんとなく」お金を貯め始める人がよくいます。でも「なんとなく」貯め始めると、「もう十分貯まったから大丈夫」とは、なかなかなりません。なぜなら「いくら貯める必要があるのか?」がわかっていないから。目標額が決まっていないと、貯めても、貯めても「まだたりないかも」と不安になり、一生お金の不安から解放されません。

【画像】勝手にお金が貯まる家計

お金を貯めようと思ったら、まずゴール設定することが大事。ゴールとは「なんのために、いつまでに、いくら」貯めるかを明確にすることです。ゴールが決まったら、次は「貯まる仕組み」をつくります。「たまたまお金が余ったから今月は貯金できる」ではなく、毎月、決まった金額が自動的に貯まる仕組みをつくってしまえば、あとはほったらかしでゴールに向けて前進するのみ。

ボーナス時期の6月は、積み重なった生活費の赤字を解消してお金のことを考え直すよい機会。いったん仕組みをつくれば、必要なときまでに、必要な金額が貯まるようになり、お金の不安から解放されますよ。

STEP1 わが家の総資産額を知る

勝手にお金が貯まる仕組みをつくる第一歩は、わが家の現在の総資産額を知ること。通帳の残高はときどきチェックしていても、保険の解約返戻金や運用中の投資商品の評価額を聞かれると、「はて?」となりがち。すべて書き出して、現状把握をすることが大事です。

共働き世帯の場合、相手の年収や貯蓄額を知らないケースもありますが、本気でわが家の貯蓄額を増やそうと思うなら、いったん全部をオープンにした方が貯まりやすくなります。プラスの資産だけではなく、住宅ローンや自動車ローンなどマイナスの資産の確認もしましょう。

チェックすべき資産は下記の4つです。

●銀行口座の残高

銀行の普通預金、定期預金、積立預金などの残高をチェック。普段使っていない口座や財形貯蓄も忘れずに。

●保険の解約返戻金

貯蓄型保険の解約時に戻ってくるお金「解約返戻金」は資産です。現時点で解約した場合の返戻金を確認。

●投資の評価額

NISA、iDeCo、企業型DC、証券会社の特定口座などの投資商品(投資信託や株式)の現時点での評価額。

●負債額

住宅ローン、自動車ローン、奨学金、クレジットカードのリボ払いなどの借入残高、保険からの借入残高など。

STEP2 必要貯蓄額を計算する

次にいくら貯める必要があるのか? を計算します。まずは住宅資金、教育資金、老後資金。この人生における「三大支出」は、金額が大きいので、時間をかけて貯める必要があります。下記を参考にして必要貯蓄額の目安を立てましょう。

さらに固定資産税、自動車税、車検代、家電の買い替え費、誕生日などの家族イベント代といった、年に1〜2回や数年に1回必要になる「特別支出」も必要な時期に備えて貯めておきます。月収内では賄いきれないため、三大支出の貯蓄を取り崩す原因に。リスト化し、予算立てしておきましょう。

●住宅資金

住宅ローンを利用する場合は、初期費用として購入したい物件価格の1〜3割。

●教育資金

大学4年間でかかる費用は国公立大学で500万円、私立文系で700万円、私立理系で800万円程度(奨学金を利用しない場合)。

●老後資金

公的年金ではたりない生活費×生きている期間分(65歳定年で90歳まで生きると想定すると25年間)。

STEP3 変動費=使えるお金を知る

赤字を生まないためには、毎月の変動費を予算内に収めることが重要。変動費とは、住宅ローンや家賃、水道光熱費、保険料、通信費などの毎月ほぼ決まった支出ではなく、食費、日用品費、レジャー費など日々の生活で使うお金のこと。

毎月の手取り月収から、固定費、STEP2で算出した貯蓄額を引いた額が、「いくら使えるのか?」という変動費の上限額。なににいくら使ったかは関係なく、赤字にさえならなければOK。右の方法などを参考にし、予算内に収めるようにやりくりすれば、使いすぎて、貯蓄分を取り崩してしまうということもありません。

●変動費のやりくり方法

変動費の残額を「見える化」。月1回まとめて現金で下ろして、ジッパーつきポリ袋などに入れ、そこから使います。

交際、趣味や美容など個人の支出は、予算を決めて各自で管理。個人費を独立させ、変動費を赤字から守ります。

STEP4 はみ出し部分を整える

収入に貯蓄、固定費、変動費を収めましょう。貯まる仕組みの家計は下図。貯蓄、固定費、変動費が収入内に収まっている状態です。

固定費や変動費で収入を使いきっていたり、収入を上回る支出があると、結局貯蓄は増えないので注意。「はみ出し」を整える見直しが必要です。

支出を減らす場合は、金額の大きな固定費の見直しから。また収入に対して貯蓄が多すぎるのもありがち。将来の備えは万全でも、今の生活がギリギリでは本末転倒です。全部見直しても調整できない場合は、妻の働き方をパートからフルタイムに変えるなど、世帯収入を増やすことも検討して。

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ESSE7月号には、書き込み式の貯まる貯蓄シートがついています。ほったらかしでも勝手に貯まる家計を目指しましょう!