「年金月20万円」もらえる人の現役時代の年収は?年金で“ゆうゆう自適”な老後生活を送る「高笑いの勝ち組夫婦」現役時代の給与額が衝撃的でした…
「どうやら年金だけでは老後、暮らすことはできないらしい……」そんな事実が広く知られ、老後を見据えて資産形成に取り組む人が増えています。一方で年金だけで十分暮らしていける、そんな「勝ち組」といえる人たちが存在するのもまた事実。年金だけで暮らせるのはどんな人たちなのか、年金制度をおさらいしながらみていきましょう。
平均値で考える「会社員×専業主婦」の高齢夫婦が手にできる年金額
登場人物
・ゆめこさん……大正時代からタイムスリップしてきた26歳女性。なぜか、現代社会にめちゃくちゃ詳しい。全文太字部分
・おじさん(以下、解説)……解説担当
・ワイ(以下、ワ)……ゆめこさんの白い飼い犬。お菓子好き。ミーハー。
みなさんは、「ねんきん定期便」って知ってますか?
毎月、誕生月に日本年金機構から届くハガキや封書です。
「ねんきん定期便」には次のことが記載されています。
・もしあなたが、50歳未満の場合は、これまでの加入実績に基づいた年金額
・もしあなたが、50歳以降の場合は、現在と同じ給与水準で60歳まで働いたと仮定した見込み額です。
あくまでも現段階の見通しなので、正確な金額ではありません。
ですがおおよその年金額を知ることができます。
ワ:じゃあわいはどれくらいもらえるの?
国民年金の年間受給額の計算方法は次のとおりです。
「年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」
2022年度は、満額で77万7,800円を受給することが可能なんですよ。
ワ:え、1年で77万円しかもらえないの? 少なくない?
解説:実は、会社員であれば
と手厚い2段階構造になってるんだよ。
つまり、この77万円プラス厚生年金がもらえちゃうんです。
ワ:この、年金の2階建て部分の厚生年金ってどれくらいもらえるの?
もちろんもらえる厚生年金は人によってバラバラです。
厚生年金の計算方法は次の通りです!
もしあなたの加入期間が、2003年3月までだったら、
平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数
もしあなたの加入期間が、2003年4月以降だったら、
平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数
みなさんも自分の給与を当てはめて計算してみてはいかが?
解説:厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、公的年金被保険者数は6,756万人(2020年末)。
そのうち厚生年金の被保険者数(第1〜4号)は4,513万人でした。
給付状況をみていくと、国民年金受給者数は3,596万人で、受給額は平均月5万6,358円。
厚生年金保険(第1号)受給者数は3,581万人で、受給額は月14万6,145円。
厚生年金の受給額は、国民年金の受給額より8万9,787円も高いんだね。
ワ:なんだあ、安心!
解説:また、現在の年金制度では基本的に65歳から年金を受け取ることができますが、希望によって60〜70歳の好きなタイミングで受給を開始できます。
受給開始を60〜64歳へ前倒しする「繰り上げ受給」では、受給額は1ヵ月早めるごとに0.5%ずつ減額、65歳以後から70歳まで遅らせる「繰り下げ受給」では1ヵ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えていきます。
繰り下げ受給を加味すると、65歳で年金を受け取る人の平均受給額はもう少し高くなります。
厚生年金保険(第1号)、65歳以上の平均受給額は男性で17万0,391円、女性で10万9,205円です。
たとえば、会社員と専業主婦という組み合わせの夫婦が、国民年金を満額もらえると仮定した場合、月に平均23万5,207円がもらえる、ということになります。
ワ:なんだあ、これでみんな高笑いの勝ち組夫婦じゃん!
ここからが重要なんだよ。
年金だけで生活するには、年収いくらあればいいの?
総務省『家計調査』によると、高齢者夫婦のみの世帯の平均支出は26万円ほどです。
ワ:食費、医療費……孫へのおこづかいとか、色々出費があるよね
平均支出で考えると、さきほどの夫婦の場合、年金受給額は月に23万5,207円なので、月々2万5,000円、年間で30万円ほど貯蓄を切り崩して生活していかなければなりません。
ですがこれはあくまで平均値を組み合わせて計算したものです。
厚生年金は現役時代の給与によって受給額は変わりますし、支出額も世帯によってそれぞれ異なります。
その他にも持ち家に住んでいるのか、賃貸なのか、住んでいる地域はどこなのか……などさまざまな要因が影響します
平均的な老後を考えるならば、年金だけではどうも足りなさそうですよね。
ここでは、世帯の月の支出を平均の26万円と仮定して考えてみましょう。月に夫婦で26万円以上の年金をもらえれば、「年金だけで老後を暮らすことができる」ということになります。
先ほどの会社員と専業主婦、という夫婦の組み合わせであれば、会社員の配偶者は月20万円の年金を手にできれば年金だけで暮らすことができます。
ワ:月に20万円の年金をもらえる元会社員の人の現役時代の年収ってどれくらいなの?
厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者のおよそ16.5%が月20万円以上の年金を手にしているんです。
そんな「高年収」ならぬ「高年金」の元会社員。
先ほどの計算式の「加入期間2003年4月以降」の設定で考えてみましょう。
公的年金を月20万円を手にするということは、国民年金+厚生年金で年額で240万円を手にする、ということになります。
国民年金部分は77万7,800円ですから、残りの厚生年金部分は162万2,200円となります。
そうなると、「平均標準報酬額」は66万円となりますが、標準報酬月額の上限は65万円です。
標準報酬月額65万円の場合、標準月額は63万5,000円〜66万5,000円となるので、年収は「約762万円」ということになります。
ワ:えっ⁉ 年収762万円⁉
しかもこれは、40年間年収が一定だった場合の話なんです。
40年間、平均年762万円を稼ぎつづけ……生涯年収3億480万円を手にした会社員は、専業主婦の配偶者と2人、年金だけで暮らしていけるということになります。
ワ:年収762万円を40年間キープし続けたなんて? ハイスペック……
まとめ
というわけで、今回は「年金だけで老後の生活を送れる夫婦は、現役時代にどれくらい稼いでいたのか?」というテーマでお送りしてきました。
あくまでも、現行の制度の計算式に基づいて算出した1例なので、実際に年金20万円強を手にしている世帯と内情は異なるでしょう。
ですが、いかに「年金だけで老後暮らす」ということがハードルが高く、一部の「勝ち組」だけが実現できる夢物語かということかお分かりいただけたのではないでしょうか。
解説:地道に資産形成の準備を進めていくことが大切ということですね。