飾り巻き寿司の権威に聞く「最も簡単な飾り巻き寿司」とは!?

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切った際の断面図が、様々な絵柄や模様になることで知られる飾り巻き寿司。昔ながらの細工寿司、握り寿司、ちらし寿司、押し寿司などの技法を使い絵柄に盛りつけるものです。

一見するだけでは「どこがどうなっているのか」全く想像できない飾り巻き寿司ですが、この呼称を名付け、権威として知られるのが寿司職人・川澄健さんです。

▲飾り巻き寿司の権威として知られ、数多くの著書を持つ寿司職人・川澄健さん

▲川澄さんがこれまでに考案した飾り巻き寿司は数知れず…

元々は東京や神奈川の寿司店で修業を重ね、江戸前握りの職人として高級店寿司店に身を置きながら、伝統の細工寿司などの研鑽も積み続け、現在は寿司職人養成の「GINZA ONODERA鮨アカデミー」の講師としての活動を行っています。

これまでに考案した飾り巻き寿司の種類は数知れず、現在も奥様と一緒に日々新作考案に余念がないとのこと。

一見、かなり難しそうに見える飾り巻き寿司ですが、川澄さんによれば「プラモデルみたいでしょ。基本を覚えれば、その人ならではのアレンジもできるようになりますよ」とのこと。

そこで今回は、川澄さんから「最も簡単」という「プードル」の飾り巻き寿司を教えてもらいながら、後半で飾り巻き寿司の美学と大切なコツについても聞きました。

■パーツごとに巻き寿司を作り、最後に合体させて完成!

さっそく「プードル」の作り方を聞きつつ実践で教わりました。
用意するものと作り方は以下の通りです。

<用意するもの>

■茶色のすし飯……260g(すし飯230ℊ+市販の鳥そぼろ30g)。これを80g×2個、50g×2個に丸めておく

■海苔……(半切海苔を1枚として)3分の2=3枚、4分の1=1枚、半切=1枚

<パーツ作り>
(1)プードルの「口元」のパーツとして「3分の2の海苔」に「80gの茶色のすし飯」を4cm幅の棒状に置き、楕円形に巻く
(2)プードルの「耳」のパーツとして、「3分の2の海苔」に「50gの茶色のすし飯」を5cm幅にしずく型に広げ、海苔を被せるように巻く。これを2つ作る

<組み立て>
(1)「半切の海苔」1枚と「4分の1の海苔」をすし飯の粒でつなげる
(2)中央に「組み立て(1)で巻いた「口元」のパーツをのせ、その上に「80gの茶色のすし飯」を棒状にのせる
(3)そのその両側に「組み立て(2)」で巻いた「耳」のパーツを両側に貼り付ける
(4)これらを左手に持ち、海苔がゆるくならないように左右からやや締めながら巻く
(5)これを4等分に切り、「海苔パンチ」や「ハサミ」などで切った目と口を付けて完成

▲最初にプードルの耳と口元の部分の巻き寿司を作ります。これがパーツになります

▲次にプードルの頭の部分の巻き寿司を作ります

▲後にこの2つを合体させ、丸く巻きます

▲巻き上がった断面図

▲これを切り出し、「のりパンチ」で切り出した目や口を加えれば…

▲完成!

 

■いびつでも完成すると感無量。飾り巻き寿司「沼」にハマりそう…

川澄さんが手際良く「プードル」を巻き上げていくのに対し、筆者はいちいちつまずき、ちょっと「巻き」に躊躇すると途端にいびつな仕上がりになったりもしました。しかし、そこは優しい川澄さん。取材中、優しく親身に教えてくださり、複数回やり直しをさせていただきました。

完成した「プードル」は、川澄さんのそれと並べれば、いびつ過ぎて恥ずかしい限りですが、それでも出来上がったものを見ると、なかなか感無量。そして、飾り巻き寿司の「沼」にハマる人の気持ちがよくわかりました。

「プードル」と合わせて別途「梅」も作らせていただきました(かなりいびつな仕上がりですが…)

 

■大切なのは仕込みと段取り。見た目だけでなく美味しくなければいけない

▲かつての川澄さん。『TVチャンピオン』の「すし職人握り技選手権」に出場し優勝されました

今回川澄さんに教えていただいた「プードル」を前に、改めて飾り巻き寿司の美学と大切なコツを教えていただきました。川澄さんいわく、「まず仕込みが大事」だと言います。

「初心者の方は、巻いていく際に失敗することはよくありますが、これは仕方ないにしても、まず大切なことはやはり仕込みです。見た目は華やかで楽しい飾り巻き寿司ですが、『日本の寿司』であり、食べ物です。やはり食べた方から『美味しい』『うまい』と言っていただかなくてはいけません。そのためにも『口にする時間』をよく計算し、それを逆算した仕込みや段取りを行うことが大切だと思っています」(川澄さん)

その上で、飾り巻き寿司にハマった際、どのような段取りを経てステップアップしていくかについても教えてくれました。

「今回の『プードル』のような簡単なものから始めてみると良いでしょう。その上で徐々にステップアップしていくと良いと思います。最初から凝った柄、絵に挑戦してもうまく表現できず、そこで挫折して作らなくなってしまう人も多くいます。そうならないためにも、『丸を巻く』『山をつくる』『輪郭を巻く』といった基本の形をまず習得することが大切です。これらをマスターすれば、応用次第でさらに自分ならではの飾り巻き寿司も作れるようになりますよ」(川澄さん)

▲近年もその創作意欲に余念はなく、こんな飾り巻き寿司まで!

冒頭でも触れた通り、川澄さんは「GINZA ONODERA鮨アカデミー」の講師としての活動のほかに、自身が主宰する「川澄飾り巻き寿司協会」での講習なども不定期で実施されています。川澄さんの複数の著書と合わせて、こういった講習会に参加すれば、その上達は早くなりそうだとも思いました。

▲▲最後まで親身に教えてくださった川澄さん(ありがとうございました!)

最後に川澄さんに改めて飾り巻き寿司に対する思いを聞きました。

「私にとっての飾り巻き寿司も、実はまだ発展途上です。さらに切磋琢磨して美味しく、見た目も楽しい飾り巻き寿司を目指していきたいと思っています。ぜひ、これをお読みの方でも技術を覚えて、ご家族や来客の方に喜ばれる飾り巻き寿司を作っていただければ嬉しいですね」(川澄さん)

なかなか奥が深く、そして一度始めるとドハマリする飾り巻き寿司の世界。ぜひ本記事を参考にトライしてみてはいかがでしょうか。

>> GINZA ONODERA鮨アカデミー

>> 川澄飾り巻き寿司協会

<取材・文/松田義人(deco)>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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