ライブの模様

YOSHIKI、HYDE、SUGIZO、MIYAVIによるスーパーバンド・THE LAST ROCKSTARSが21日〜23日の3日間、東京・有明アリーナで『THE LAST ROCKSTARS The 2nd Tour 2023 “PSYCHO LOVE”』を開催した。2022年11月に結成を発表し、12月に1st single「THE LAST ROCKSTARS (Paris Mix)」をリリース。2023年1月、2月には日米4会場で初ライブとなる『THE LAST ROCKSTARS

Live Debut 2023 Tokyo - New York - Los Angeles』を開催。約10カ月ぶりとなる2回目のツアーは東京とロサンゼルスの2カ所で開催されるというもの。11月29日に行われる予定だったロサンゼルス公演は2024年8月に延期が発表されたが、東京公演3days(総動員数:30,000人) を無事に完走。3日間すべての公演に、X JAPANのギタリストPATAがサプライズ出演、11月20日に誕生日を迎えたYOSHIKIを3日連続で祝福、2曲の新曲披露など。MusicVoiceでは、東京公演3日目の模様を以下にレポートする。

最終日、完璧にやり切ってやるぜ!

X JAPANのYOSHIKI、L'Arc〜en〜Ciel のHYDE、LUNA SEAのSUGIZO、、サムライ・ギタリストのMIYAVIの4人で結成された、ロック界のアベンジャーズと言っても過言ではないTHE LAST ROCKSTARS。昨年、結成を発表し注目を集めたのも記憶に新しい。

ライブは今年8月にリリースされ、 ツアータイトルにもなっている「PSYCHO LOVE」で幕は開けた。今年1月に行われたライブでは本編の最後に演奏された曲だ。楽曲のスケール感の大きさも相まって、序盤からクライマックスのような盛り上がりを見せた。続いてHYDEの楽曲「6or9」では、オーディエンスのシンガロングと連続して吹き上がる火柱の演出が印象的で、さらに会場のテンションが高まっていくの感じた。HYDEは「最終日、完璧にやり切ってやるぜ!」と意気込みを力強く叫び、「スリリングなバンドですが、しっかり新曲があります!」と告げ、新曲「Tonight, The World Is Mine」を披露。MIYAVIが手がけた疾走感のあるロックナンバーで、バンドに新たな色を加えた。

SUGIZOとMIYAVIによるギターバトルは、唯一無二の2人の個性とサウンドが相乗効果を生み出し、エキサイティングな空間を作り出していく。ギターという刀を武器に相見るような、緊張感のあるセクションだった。

熱いサウンドから一転、SUGIZOによる美しいバイオリンの音色に導かれるようにHYDEが登場。妖艶さを感じさせるミディアムナンバー「Folly」、MIYAVIによるスパニッシュなアコースティックギターからはじまった「Hallelujah」の流れは、様々な音楽性に対応する姿勢を感じさせ、THE LAST ROCKSTARSの振り幅と多彩さを提示。

続いて、YOSHIKIのドラムソロへ。ストリングスのサウンドをバックに展開されるダイナミックなドラミングによって、会場の空気感が変わっていく。ドラムセットが設置されたステージが上昇するなか、YOSHIKIは感情を叩きつけるかのように全身全霊のプレイ。そんな鬼気迫る演奏からピアノソロへと流れていく。X JAPANの名バラード「ENDLESS RAIN」を優しく、時に熱く奏でていくと、オーディエンスはYOSHIKIの演奏に合わせシンガロングが巻き起こり、一体感のある空間を作り上げた。

PATAがサプライズ出演し「Rusty Nail」を演奏!

YOSHIKIは、「みんないけるか!」と投げかけ、再びメンバーを1人づつ呼び込むなか、X JAPANのギタリストPATAが登場!

21日、22日の公演でもPATAがゲスト登場し「Rusty Nail」が演奏され話題となっていた。最終日もその期待を裏切らずPATAが参戦し、バンドの垣根を超えたスペシャルな編成で「Rusty Nail」をパフォーマンス。会場はメンバーとオーディエンスによる熱気に包まれ、このライブのハイライトの一つとなっていた。

YOSHIKIは今回のPATAの参加について、「メンバー1人ひとりに直談判した。みんなが喜んでくれている顔を見て、(このメンバーが)集まってくれて良かったんだなって。だからPATAはあと5〜60年...」と涙ぐみながら話すと、それを受けたPATAは「頑張らないといけないな」とぽつり。和気あいあいとしたMCコーナーの最後にはワインが用意され5人で乾杯。YOSHIKIはPATAに「長生きしてね」と声をかける場面も。PATAは、「楽しかった」と笑顔でステージを後にした。

MIYAVIはワインを飲んで、「若干お腹がタップンタップンなんですけど。“紅”の胃袋に...」という会話の流れから、YOSHIKIがおもむろにピアノに移動し「紅」を演奏。オーディエンスによるシンガロングが起こり、えも言われぬ一体感のなかL'Arc〜en〜Cielのカバー「HONEY」でライブは後半戦に突入。MIYAVIの楽曲「Bang!」ではHYDEがステージを降り、オーディエンスとハイタッチをする場面も。そして、HYDEが作曲した「GLAMOROUS SKY」と盛り上がるナンバーを立て続けにパフォーマンス。

YOSHIKIは、「人生はいつ終わるかわからない。この瞬間を思いっきり生きようよ」と語り、「この数ヶ月、タイトロープを渡っているような感じで、もう落ちてもいいじゃないかと思う時もあった」と心境を吐露。「でも、みんなと一緒に歩んでいけばいい。ボロボロの翼でもみんなが風を送ってくれる。だから飛び立てるんだと思う。一緒に血だらけの翼を広げる?」とオーディエンスに語りかけ、本編ラストは、アニメ『進撃の巨人』の主題歌でYOSHIKI feat.HYDEとしてリリースされた「Red Swan」を投下。会場はオーディエンスのペンライトで真っ赤に染まるなか、ドラマティックな演奏と歌で本編を締めくくった。

新曲「MASTERY」を披露

オーディエンスからの“THE LAST ROCKSTARSコール”に応えて、再びメンバーがステージに。アンコールは3D対戦格闘ゲーム『鉄拳』シリーズの最新作『鉄拳8』 とのコラボがスクリーンで発表され、そのイメージソングとなる新曲「MASTERY」を披露。“MASTERY=習熟”を意味する言葉で、『鉄拳』のイメージはもちろんのこと、THE LAST ROCKSTARSメンバーそれぞれのイメージにも重なると感じた。楽曲は対戦格闘ゲームらしく攻撃的でエネルギッシュなロックチューンだが、エンディングではYOSHIKIのピアノとHYDEのファルセットで紡ぐセクションがあり、静と動のバランスが見事な1曲で、THE LAST ROCKSTARSの魅力を凝縮。

ここで11月20日が誕生日だったYOSHIKIをお祝い。ケーキを頬張るYOSHIKIの姿が印象的。そんなお祝いムードで満たされる中、「Shine」へと紡がれていく。今年1月のライブで披露された楽曲で“みんなで歌える曲”をテーマに制作されたライブならではのナンバー。会場はオーディエンスが灯したスマホのライトがキャンドルライトのようで、その美しい光景にYOSHIKIも感動。オーディエンスによるシンガロングも響き渡り、会場が多幸感で満たされていく。

「Shine」を終えYOSHIKIはステージを降り「CO2ジェットガン」を使用しオーディエンスを煽る。HYDEはステージ上でマイクスタンドを叩きつけテンションを上げていく。ヒートアップする中ラストに披露されたのはバンド名をそのままタイトルにしたダンサブルなロックチューン「THE LAST ROCKSTARS」を投下。バンドのアイデンティティをぶつけるかのような気迫に満ちたパフォーマンスで、ボルテージは最高潮に高まるなかライブの幕は閉じた。

YOSHIKIの体調が万全ではないなか開催されたライブだが、全くそんなことを感じさせないパフォーマンスで、会場全体が心地よい音圧と熱気に包まれていた。メンバーも3日間やりきった、といった表情で、これがTHE LAST ROCKSTARSだと言わんばかりの説得力に満ちていた。4人のエネルギーの凄みを終始感じさせてくれたステージだった。【取材=村上順一】セットリスト「THE LAST ROCKSTARS The 2nd Tour 2023 “PSYCHO LOVE”」 日本公演 01.PSYCHO LOVE02.6or903.Tonight, The World Is Mine04.Here’s The Love
05.Beneath The Skin -SUGIZO x MIYAVI Guitar Battle -SUGIZO Violin solo06.Folly -MIYAVI Acoustic Guitar solo07.Hallelujah YOSHIKI Drum solo YOSHIKI Piano solo 08.Rusty Nail
09.HONEY
10.UP 'N DOWN 11.Bang!
12.GLAMOROUS SKY13.Red Swan ENCORE
14.MASTERY
15.Shine
16.THE LAST ROCKSTARS