豚肉とピーマンを使った「そうめんチャンプルー」の作り方を伝授します

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。

今回は豚肉とピーマンを使った「そうめんチャンプルー」です。

ダマを防ぐために必要なのは「水」

冷たいそうめんもいいですが、温かいそうめんもおいしいもの。おなじみの煮麺だけではなく、鹿児島県の郷土料理「油そうめん」や沖縄の「そうめんチャンプルー」のように、そうめんを炒めるレシピもたくさんあります。今回はそうめん、豚肉、ピーマンを一緒に炒めてみましょう。

炒めそうめんの失敗パターンは麺同士がくっついて、ダマになってしまうこと。そそれを防ぐために必要な材料が「水」です。その理由は後ほど紹介するとして、まずは材料をご紹介します。

そうめんとピーマンのチャンプルーの材料
そうめん      2束
豚バラ薄切り肉   80g
しょうゆ      小さじ1
酒         小さじ1
サラダ油      大さじ1(または太白ごま油大さじ1)
ピーマン      5個
塩         小さじ1/4
黒胡椒       適量

★合わせ調味料
しょうゆ      小さじ1
みりん       小さじ1
酒         大さじ1
水         大さじ1


材料であるそうめんとピーマン、豚肉

豚バラ薄切り肉は7〜8mm幅に切り、しょうゆ小さじ1と酒小さじ1で下味をつけておきます。軽く和えて、2〜3分置きましょう。そのあいだに肉が酒を吸うので水分が補われ、やわらかくなりますし、炒めたときの油ハネも減ります。


しょうゆ小さじ1の塩分量は0.8gなので、80g〜100gの下味にちょうどいい量です

ピーマンを切っていきましょう。いろいろな切り方がありますが、今回はまず半分に切ります。


半分にカット

手で綿と種を取り除きましょう。


綿や種も食べられるのですが、今回は除去します。なるべく無駄が出ないように丁寧に

ピーマンの繊維は縦に走っているので、それを断ち切るように横に切っていきます。

ピーマンは切り方で風味が変わる野菜の一つ。縦に切ると繊維が残るので食感が強くなりますが、細胞が壊れないので風味は穏やか。横に切ると繊維が断ち切れるのでシャキシャキとした食感になり、ピーマンの風味が生きてきます。どちらの切り方でもいいので、好みで選ぶといいでしょう。


ピーマンは縦に切るか、横に切るかで風味が大きく違います

フッ素樹脂加工のフライパンにサラダ油と下味をつけた豚肉を入れ、中火にかけます。豚肉を広げ、片面に焦げ目をつけましょう。


サラダ油の代わりに太白ごま油を使うと味のレベルがワンランク上がります

焦げ目がついたらピーマンを一気に加えて、ざっくりと混ぜます。塩小さじ1/4で下味をつけ、フライパンの底に広げ、2〜3回混ぜながら1分〜1分30秒加熱し、全体がしんなりしたら一度、火を止めます。


この段階で豚肉とピーマンの炒めものとしておいしく食べられます

合わせ調味料をつくります。ポイントはここに加える「水」です。


炒める時間を短くするためにあらかじめ調味料を準備しておきます

そうめんを炒めるとき「ダマになってしまった」という経験はありませんか? それを防ぐために調べてみるとゆでたそうめんに油を絡めたり、マヨネーズで和えたり……とさまざまな工夫が散見されますが、もっといい方法があります。

そうめん同士がくっつくのは、麺の表面から溶け出したデンプンが接着剤になるからです。炒めそうめんの場合、加熱時間が長くなると水分が蒸発し、麺同士がくっついてしまいます。デンプンを希釈すれば麺同士は離れるので、油ではなく水を加えるのが正解なのです。

総菜として販売されるそうめんには「ほぐし水」という小さなパックがついていますが、それと同じ原理。仕上がりの水分量を意識するだけで、料理のレベルは上がるはずです。

そうめんをゆでます。そうめんをゆでるときは湯が沸騰したことを確認したら弱火に落とし、そうめんを投入します。弱火でゆでれば吹きこぼれる心配はありません。


パラパラと広げるように

ゆで時間は袋の表示時間に従います。1分30秒〜2分という具合に指定のゆで時間に幅がある場合は、短めの時間を選びます。ザルに上げ、流水で粗熱をとってから冷水で冷やすことで、麺にコシが生まれます。


夏場の水道水は温度が高いので、氷を準備するのがベター

フライパンを再び中火にかけ、水気を切ったそうめんと合わせ調味料を加えます。


ここからは加熱しすぎないように

そうめんが熱くなったら火を止めて、好みで黒胡椒を振ったら出来上がり。必要以上に加熱しすぎないことで水分が残るので、麺がくっつかないのです。


市販されている粗挽き黒こしょうが便利です

熱々を食べましょう。好みでレモンを絞っても爽やかです。ピーマンの代わりにキャベツでもよく、意外とミョウガなどもおいしいもの。そうめんは麺自体に塩気があるので味が決まりやすく、味付けで失敗はしづらいので、加熱の具合だけを意識すれば大丈夫。夏の暑い時期は冷たい食べ物ばかりになりがちなので、温かいものを意識的に食べたいものです。


ピーマンと豚肉を細く切っているので麺と一体感が出ます

(写真はすべて筆者撮影)


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(樋口 直哉 : 作家・料理家)