1番人気で18着大敗 血統面からは見直しの余地あり
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返るアイビスSD
【Pick Up】ファイアダンサー:18着
1番人気ファイアダンサーはパイロ産駒。2番人気シンシティはサウスヴィグラス産駒。いずれもゴリゴリのダート種牡馬です。しかし、アイビスサマーダッシュとはそういうタイプが好走するレースであるのも事実で、ここ10年間だけでも、バトルプラン、ヨハネスブルグ、メイショウボーラー、アルデバランII、サウスヴィグラスの仔が3着以内になっています。
アイビスSDはわが国で唯一の直線重賞。緩急がなく、一定のスピードを持続する力を必要とします。ダート血統は切れ味には欠けるものの、スピードの持続力に秀でているので、そうした特性がモノをいうアイビスSDと相性がいい、というわけです。
ファイアダンサーはスタートで出遅れた上に、行き脚がつかず最後方に置かれ、見せ場なくしんがりの18着大敗。心身どちらかに問題があった可能性が高いでしょう。シンシティは果敢にハナを切ったものの、ラストでバテてしまい6着。3ハロン通過32秒2は、史上7位タイと速いペースだったため、さすがに苦しくなりました。
1、2番人気は掲示板に載れませんでしたが、それぞれ理由があってのことであり、血統に起因するものではありません。同じ条件で走る機会があれば見直したいところです。
◆血統で振り返るクイーンS
【Pick Up】ドゥーラ:1着
芝1800mのクイーンSは、3歳牝馬の成績がとくに秀でているわけではありません。ドゥーラが1番人気に応えたのは、高い能力のなせる業でしょう。そして、洋芝への適性の高さがモノを言ったと思います。
母イシスは、函館2歳Sを勝ったクリスマスの半妹。同馬は全5勝のうち4勝を北海道シリーズの洋芝で挙げ、函館スプリントSで3着という戦績もあります。2代母アラマサスナイパーが、洋芝を得意とするステイゴールドの仔であることが適性面に影響を与えたのでしょう。
ステイゴールドは、オルフェーヴルやゴールドシップの父で、高速馬場よりも少し時計のかかるコンディションのほうが持ち味を発揮しやすいタイプです。
ドゥーラは札幌芝1800mで4戦3勝。札幌2歳Sに次いで重賞2勝目と、このコースでは強さが際立ちます。
父ドゥラメンテは、タイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランド、シャンパンカラーなどの父で、今年に入り重賞8勝目。2年前の夏、9歳の若さで死んでしまったことがあらためて惜しまれます。