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プロ野球セ・パ両リーグが2023年7月17日にそれぞれ各地で6試合を行い、前半戦を終了した。セ・リーグは阪神が首位で折り返し、2位広島が1ゲーム差で追っている。セ・パ交流戦(5月開幕)直後に一時首位に浮上したDeNAは3位につけ、巨人、ヤクルト、中日と続く。

前半戦は阪神、広島、DeNAの3チームが勝率5割以上をキープ。首位阪神から3位DeNAまでのゲーム差はわずか「3」で混戦の様相を呈している。オールスター戦(7月19日、20日)明けの22日から後半戦がスタートするが、セ・リーグはどのような展開が待ち受けるのか。J-CASTニュースは、巨人で戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(57)に展望を聞いた。

「打てるキャッチャーがいるチームは強い」

阪神は7月11日から行われたDeNAとの前半戦最後の直接対決を2勝1敗で勝ち越し首位の座を死守した。一方のDeNAは前半戦最後のカードとなった広島3連戦で3連敗を喫し3位転落。広島がDeNAと入れ替わって2位に浮上した。

橋上氏は、後半戦も阪神、広島、DeNAによる優勝争いが展開され、接戦が続くだろうと予想。その中で「広島の前半戦最後の戦いが印象に残ります」とし、広島の現状を次のように分析した。

「抑えを栗林(良吏)投手から矢崎(拓也)投手に代え、野村(祐輔)投手が出てきたのが大きい。野村投手は6月からやっと出てきて安定したピッチングをしている。坂倉(将吾)捕手の存在も大きい。打撃が本来の数字になってきている。これは広島の大きなアドバンテージ。打てるキャッチャーがいるチームは強い。広島は投手力が安定していてバランスが良い。そこに坂倉捕手の打撃が戻ってきている。ここ最近の勝因はここにある」

今季出遅れていた野村は6月29日のDeNA戦で今季初先発し7月6日の阪神戦で今季初勝利を挙げた。16日のDeNAでは勝敗こそ付かなかったが5回を投げて5安打無失点と好投し試合を作った。ここまで3試合に先発して17イニングを無四球無失点。チームの快進撃を支えている。

一方の坂倉は今季74試合に出場して打率.281、8本塁打31打点を記録。7月15日のDeNA戦では9回に山崎康晃投手(30)から貴重な同点ソロ本塁打を放ち、チームの逆転勝利に貢献した。

前半戦を首位で折り返した阪神に関しては、「後半も投手力の強さを前面に出して戦う展開になると思います」とし、「優勝争いで頭ひとつ抜け出すためにはもう少し攻撃力が何とかならないと難しい」と分析した。

「ディフェンス面でのプラスを考えると...」

橋上氏はシェルドン・ノイジー外野手(28)とヨハン・ミエセス外野手(28)の両外国人選手を「大きな誤算」と評し、「助っ人として獲得しているわけなので攻撃面での上積みがほしい。現状では助っ人と言えるような数字ではない」と指摘した。

そして「阪神は得点(304点)が失点(254点)を50点上回っている。得失点でいうと阪神だけ抜けている。それだけ投手力が安定している証。この状況で両外国人選手が打てるようになればかなり変わってくるでしょう」との見解を示した。

優勝争いに関して橋上氏は「ディフェンス面でのプラスを考えると、阪神と広島が優勝に近いチームという感じがする」とする一方で、「潜在的な戦力ではDeNAが阪神と広島を上回っている」と高く評価した。

DeNAの課題としたのは、抑えの山崎に代わる投手とタイラー・オースティン外野手(31)の復調だ。山崎は今季33試合に登板して20セーブ3ホールド6敗。15日の広島戦ではセーブに失敗し、スポーツ紙などの報道によると三浦大輔監督(49)は山崎を配置転換する方針を明かしたという。

今季4年目のオースティンは右肩鎖関節の捻挫で6月20日に出場選手登録を抹消され、現在は2軍で調整している。今季は22試合の出場にとどまり打率.277、6打点で本塁打はゼロだ。

橋上氏は「懸念していた抑えの山崎投手が広島3連戦初戦の9回に試合をひっくり返された。これはチームにとって非常にこたえたでしょうし、これが3連敗につながったと思います。山崎投手本人も不安でしょうから違うポジションを与えることでプラスの面が出てくるでしょう。攻撃でいえば今季期待に応えられずにいるオースティン選手です。オースティン選手が戻ってきてきっちり打線にはまれば大きなプラスになる。今いるメンバーのプラスアルファとして考えられるのはオースティン選手です」との見解を示した。